職員のキャリア形成をする上で模範となる取り組みを行う企業を表彰する「グッドキャリア企業アワード」。2022年度は、えびの市の企業が宮崎県内で初めて大賞に選ばれた。SDGsにつながる“改革”を取材した。

「グッドキャリア企業アワード」大賞に

武田華奈アナウンサー:
皆さんは「グッドキャリア企業アワード」を知っていますか? 職員のキャリア形成をする上で、模範となる取り組みを行っている企業を厚生労働省が表彰するというものです。2022年度は全国から約90社のエントリーがあり、その中から大賞5社が決定しました。そのうちの一社に選ばれたのが、えびの市の「えびの電子工業」です。大賞の受賞は県内で初めてとなります

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従業員約700人を抱える「えびの電子工業」。県内5カ所、鹿児島1カ所の工場で、自動車部品や電子部品を製造している。

えびの電子工業・津曲慎哉社長
えびの電子工業・津曲慎哉社長

大賞を受賞したえびの電子工業を率いるのが、2代目の社長・津曲慎哉さん(42)だ。津曲社長は、えびの電子工業を2代目として継ぐまで北海道でホテルマンとして活躍していた。地元に戻ってからはホテルマンの経験を生かし、“社員はお客さま”と考え、サービス業として会社経営にあたっているという。

津田社長の取り組みで、女性管理職の割合や男性の育休取得率、パートから正社員へ転向する人も大きく増え、会社の生産性も向上。職員の声をしっかりとすくい上げる取り組みで、グッドキャリア企業アワード最高位の大賞を受賞した。

今いる人に活躍してもらえているのか

2月22日、津曲社長が全国に向けて会社の取り組みを発信した。津曲社長が向かった先は…。

武田華奈アナウンサー:
おはようございます。大阪まで…きょうはなにが?

えびの電子工業・津曲慎哉社長:
この前受賞したアワードの企業向けセミナーがこのあと行われます

武田華奈アナウンサー:
このビルで…大きいですね

受賞を記念して、全国の企業の経営者や人事担当者など約400人に向けてセミナーを行うことに。同じく大賞をとった雪印メグミルクなど大手企業の代表者と一緒に、入念な打ち合わせが行われた。

武田華奈アナウンサー:
いよいよセミナーが始まります。若き社長が全国に向けて、地元で自分らしく働くことについてのメッセージを発信します

下請けの中小企業であるえびの電子工業。「自社ブランドや有名な商品がなく、就職説明会のブースへ訪れる人がゼロだった」という逆境の話から始まった。

えびの電子工業・津曲慎哉社長:
自社の知名度がないからCMを打てるお金もないし…と嘆いていたんですけど、今いる人をそもそも大切にして活躍してもらえているのかということに思いが至りまして、「自社のブランドは何ですか」と聞かれたら、「うちの優れた人たちです」となぜ言えないのかと疑問が湧いたのがきっかけになります

思いやりのキャリア支援

津曲社長は、今回評価を受けた3つの取り組みについて話した。まずは一つ目の取り組み“加点式の育成型人事制度「成長チェック」”について。

えびの電子工業・津曲慎哉社長:
「どうなったら評価されるか、どうなったら課長になれるか」というのが分かるようにしました。全社員共通で有休を取得しながら、かつ目標達成している人の方が高く評価されるということを明文化したりしました

続いて二つ目、“育成型コミュニケーション「コーチング」”について。唯一のルールは「アドバイス」をしてはいけないことだという。

えびの電子工業・津曲慎哉社長:
うまい人って、自分ですいすいできちゃうんですね。なので教えるのが下手な人の方がうまかったりします

そして三つ目。津曲社長は、“多様性のある働き方”について語った。

えびの電子工業・津曲慎哉社長:
うちは田舎の農村なので、「親の介護をしたい」と長男の人が帰ってくることが多いんですね。「会社を辞めたい」という相談を受けた際は、「パートになって続けたらどう?」、「いいんですか?」という感じで…

地元出身、地元密着の企業を目指す津曲社長。従業員と目線を合わせた思いやりのキャリア支援を日本中に発信した。

えびの電子工業・津曲慎哉社長:
「あなたの会社どんなですか」と社員のみんなが聞かれたときに、「うちのブランドはこういった働き方、そして自分も含めた優秀な人が多いことです」と胸を張って言えるように、この受賞を誇りに思ってこれからも頑張っていきたいと思っています

参加者:
従業員の要望やそういうものをとても丁寧にされていて、それから制度の改革に乗り出していらっしゃるんだなと感じました

参加者:
社長自ら先頭を切ってやっておられるのは、すばらしいと思います。もうちょっと細かく教えていただきたいくらいです

えびの電子工業・津曲慎哉社長:
こういう風に伝えさせてもらうことで、地元の頑張っている他の仲間の企業とかもっと宮崎全体も元気になっていったらいいなと思って。えびのという地元の名前を(社名に)もらっている企業として、これからも地元とともに、家族と一緒に自分らしく頑張っていきたいと思っています

(テレビ宮崎)

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