2023年1月下旬、福井県内を大寒波が襲った。降り積もった大雪は農作物に甚大な被害をもたらし、多くが出荷できない事態に陥った。その逆境を打開しようと、福井市の農家が一風変わった方法で支援を呼びかけた。
動画投稿サイトで顔を出し、「助けてください!!」と本音でお願いしたのだ。そしてこれが大当たり。一発逆転となったその背景を取材した。

大雪でネギが…ネットで窮状を訴え

福井市高屋町にある小西農園。作付面積は約7万平方メートルで、10種類の白ネギを栽培している。1月下旬に県内を覆った寒波で、福井市内では50cm以上の雪が積もった。

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代表の小西大作さんは、大雪でネギが押しつぶされた時の状況を振り返る。

小西大作さん:
葉っぱが完全に見えないくらい雪に覆われていた。雪でつぶれて葉がボロボロになったり、折れたりといった被害が広がっていた

このため、正規品として出荷できず、一部は規格外として半値以下での出荷を余儀なくされた。しかし、多くのネギは出荷すらできず、大量廃棄へと追い込まれる事態になっていた。

そこで小西さんは、ある挑戦を決意した。

小西大作さん:
売り先がないので、やるしかないと。兄弟で出るのは恥ずかしいが、とりあえずやってみよう

新たに踏み出したフロンティアとは、動画投稿アプリの活用だった。兄弟で「ネギを買ってほしい」と切実に訴えた動画を撮影し、それをインターネット上に投稿したのだ。

小西さんは、動画で「助けてください! 僕たちはこのままだと、30日間毎日廃棄がでてしまう白ネギ農家」などと訴えた。

動画は大反響 励ましや注文が殺到

知り合いを通じて動画の撮影と配信に初挑戦した。苦しい胸の内を吐露し、どうすることもできない現状を訴えた。
すると、この投稿は評判を呼び、インターネット上で一気に拡散した。投稿から3日間で、高評価を意味する「いいね」は119万を超えた。

さらに思いもよらないことが起こった。「買います」や「頑張って」といった励ましのコメント、そして注文が殺到したのだ。

小西大作さん:
反響は全く想像していなかった。温かい言葉をかけてくれて勇気づけられた。北陸地方は、冬は雪が降るので、毎年このようなことを想定しないといけない。今後、見栄えは悪くても甘味が増したネギを冬の風物詩としてスーパーでも置いてもらえると、県内のネギ農家は全員が助かると思う

起死回生の一発逆転となった今回の動画投稿。挑戦を恐れず、一歩踏み出したことが大きな成果を生んだ。

(福井テレビ)

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