9月12日の記録的大雨で、車274台が水没した三重県四日市市の地下駐車場で、22日から、車の所有者による確認が始まりました。変わり果てた愛車の姿に、持ち主からは落胆の声も上がりました。

■水没から10日…愛車が変わり果てた姿に
四日市市のくすの木パーキングに、車の持ち主たちが足早に下りていきます。12日の大雨で水没した274台のうち、254台の持ち主が判明していて、駐車場の管理会社は、22日からの3日間で現地の確認をしてもらうとしています。

地下1階へ、車の所有者に同行させてもらうと…。
地下1階に駐車した人:
「ダメやな。ドアも開きません」

男性は甥が乗る車を確認しに訪れましたが、スマートキーは反応せず、付属のカギで運転席のドアを開けました。
地下1階に駐車した人:
「(マットは)べちゃべちゃ。(シートは)カビが生えています。エンジンもかかることなく。地下2階にもともと止めてあって、大雨が降ってきて『やばい!』と地下1階に移動したんですよ。誰のせいでもなく天災ですから、しょうがないですね」

さらに被害が深刻な地下2階では…。
地下2階に駐車した人:
「天井まで水が。水が下もまだ完全に抜けていない。座布団もぐちゃぐちゃ。臭いがきつい」
■止水板は故障…車の水没は防げなかったか
四日市市では12日夜、観測史上最大となる1時間に123.5ミリの猛烈な雨が降りました。

三重大大学院の川口淳教授:
「今回のような大量の水が一気にたまってしまうと、おそらく電動ポンプが作用したとしても、適切に排水することがかなり困難だったなと感じます」
今回は、止水板を電動で上げる装置が故障していたことや、それ以外の箇所でも設置が間に合わなかったことがわかっていますが、専門家はそもそも想定を大きく超える大雨だったと指摘します。

川口教授:
「雨水管、下水管、ポンプの容量とかは、通常は時間雨量50ミリ程度を排水できる目標で設定されていることが多いんです。120ミリはかなり大幅に超えている可能性があるので、内水氾濫を防ぐのは今回の場合は難しかっただろうと」
変わり果てた愛車と対面した車の持ち主たちは…。
地下1階・2階に駐車した人:
「水没したのは2台。(気持ちが)沈んだよ。便利が悪いですよ、通勤に困ります」
地下2階に駐車した人:
「私の車はキーが電子だから開かない。ゴルフバッグが取れないですね、車検証も同様です。遅いですよね、初期対応は絶対あかんな」
駐車場の管理会社は車の所有者の確認を進め、レッカーによる搬出を急ぐ方針です。