道路拡張工事現場にスーツケースの山

住宅に積み上げられた謎のスーツケース。近隣住民から不安の声が上がる中、FNNは所有者の男性を独自取材した。

「人から見れば“ゴミ屋敷”」と話す住宅の所有者だが、さらに取材を進めると、ある驚きの事実が明らかになった。

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取材班が訪れた福岡市城南区の住宅街は、重機が入り道路を拡張する工事の真っ最中。しかしその重機が作業するすぐ近くに大量のスーツケースが積み上げられていた。

桜井福大記者:
ここのものは?

工事の作業員:
「触らないでください」って言われています、持ち主から。片づけるの大変、(スーツケースが)落ちないようにしないと。

謎のスーツケースの中身は一体…

うずたかく積まれていたスーツケースなどは、近くに住む男性の所有物だという。

桜井福大記者:
かなりモノが積み上がっているのが確認できますが、ヒト1人が通れるくらいの隙間があります。ここから住人の方は出入りしているのでしょうか。

近づいて見てみると、大量のスーツケースのほか、人気キャラクターの置物。

サーフボードに家電製品など、多種多様な生活用品であることが分かる。よく見ると敷地外に飛び出しているものも。

壁のように積み上がったモノをたどっていくと、木に囲まれた住宅があった。

近所の人は「俗に言う“ゴミ屋敷”かなって」「地震が起きて倒れたら危ないからね」「台風の時に靴が飛んできた」などと話す。

生ごみなどの悪臭はしないものの、地震や台風などで倒壊しないかと心配する近隣住民。

10年前から徐々に広がったゴミの山

いつごろから、この状態なのだろうか?

近くに住む人は「私が住んでた時にはもうあったので、2016年にはもうあったのでは」と話す。

グーグルマップで調べてみると、2013年にはきれいな状態だったが、2015年には少しずつモノが置かれ始めたことがわかる。

2017年には少しずつ入り口付近まで広がってきていた。

“スーツケース屋敷”を近所にもう1軒発見

なぜ、スーツケースをはじめ、大量の物品が外に積み上げられているのか?家主の帰りを待ちながら住宅街で取材を続けると、さらに驚きの事実が分かってきた。

徒歩で5分ほどの同じ町内で発見したのは、先ほどの家と同じようにスーツケースが積み上がっている住宅。

敷地内はスーツケースの山でふさがれ、人が住んでいる気配はない。

近くに住む人:
持ち主が10年近く前かな、積み上げだして。ここから100メートルくらい行ったとこかな、左側にも積み上げているわけだよ。

桜井福大記者:
見ましたさっき。それを取材していたんですよ。向こうの人と同じオーナーなんですね?

近くに住む人:
そう。

近くに住む人たちの話を総合すると、10年ほど前から物が積み上がり始めた住宅と、道路沿いの“もう一軒”は、所有者が同一人物だという。

スーツケースを持った男性を直撃

1軒の住宅では、収納できないほどの大量の物品を所有する人物と接触しようと待っていると、1台の車が“あの住宅”の近くに停車した。

桜井福大記者:
すみません。

住宅の所有者(70代):
なんですか?

桜井福大記者:
TNC(テレビ西日本)の報道部の者ですが、そこの家の方ですか?

スーツケースを引くこの男性が住宅の所有者だった。

住宅の所有者(70代):
雑貨集めるのが好きなので、車の中もいっぱい入れてるけどためてるんです。

スーツケースが山積みになる理由

桜井福大記者:
スーツケースがものすごくありますね?

住宅の所有者(70代):
スーツケースにこんな風に荷物を入れて、これだったら強いんですよ。

桜井福大記者:
雨とか降ってきても?

住宅の所有者(70代):
そうそう。中には雑貨が入っています。

桜井福大記者:
どこからもらってくるんですか?

住宅の所有者(70代)
買うんですよ!

桜井福大記者:
あ!買ってきたんですか?

住宅の所有者(70代)
そうそう。

乗用車の中も雑貨で埋まっていた
乗用車の中も雑貨で埋まっていた

雑貨収集が趣味だと話す70代の男性。

約30年前からキャラクターのぬいぐるみや食器などを買い込み、住宅内に保管し始めたといいう。

いつしか収容できなくなり、家に続く通路にまで置くようになったと。

住宅の所有者(70代):
家の中に入りきらないから、外にこういう具合にスーツケースに入れて。

桜井福大記者:
もう1軒スーツケースの家も所有?

住宅の所有者(70代):
そうそうそう。倉庫代わりにしてる。

近くに住む人たちの不安の声を伝えると、…

住宅の所有者(70代):
有毒ガスが出るということはないと思う。(モノが)落ちてくるとかになったらいけないので、片づけないといけない。整理したいという気持ちはある。

桜井福大記者:
1人でできます?

住宅の所有者(70代):
業者に頼んだりとかしますよ

男性は体調が芳しくなく、また通路が道路の拡張工事の計画地に入っているため、近く業者を雇うなどして片づけたいと話しました。

住宅の所有者(70代):
人から見れば“ゴミ屋敷”と、自分からすれば趣味の範囲で品物集めている形です。

70代の男性の敷地内に積み上がった大量の物品。拡張工事も進む中、片づけに残された時間はもうほとんどない。
(イット! 2月24日放送より)