安倍さんの国葬に反対の人が増えている

最近、「世論調査をやるたびに安倍さんの国葬反対が増えている」と話す人が多いのだが、確かにFNNの世論調査でも質問が少し違うので単純比較はできないものの、先月は賛成が50%で反対47%を上回っていたが、今月は反対51%、賛成41%と逆転した。安倍さんは国葬に値しない人なのだろうか。

7月23・24日に実施したFNN世論調査では、国葬決定について「よかった」「どちらかと言えばよかった」が50.1%だったが…
7月23・24日に実施したFNN世論調査では、国葬決定について「よかった」「どちらかと言えばよかった」が50.1%だったが…
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8月20・21日のFNN世論調査では「反対」が51.1%で「賛成」を上回った
8月20・21日のFNN世論調査では「反対」が51.1%で「賛成」を上回った

岸田首相は8/31の会見で、国葬に閣議決定した理由について以下の4点を改めて示した。

①8年8ヶ月間首相を務めた
②民主主義の根幹である選挙演説中に銃撃された
③外交、経済など歴史に残る業績を残した
④世界各国から敬意と弔意が示され多数の弔問の希望が来ている

なぜ安倍氏に対して世界は敬意と弔意を示すのか。それは業績をいくつか見て他国のリーダーと比べてみるとよくわかる。

例えば、安倍氏は本音では憲法9条を改正したかったが、日本を取り巻く安全保障の厳しさを見て、先に集団的自衛権の見直しをして、日米同盟を再構築した。「自由で開かれたインド太平洋」構想を提唱して、日本と米国、オーストラリア、インドによる戦略的枠組み「QUAD(クアッド)」という対中包囲網をつくり上げた。

今年の日米豪印「クアッド」首脳会合は日本で開催され、バイデン大統領が就任後初めて来日(5月24日・首相官邸)
今年の日米豪印「クアッド」首脳会合は日本で開催され、バイデン大統領が就任後初めて来日(5月24日・首相官邸)

また、自身は積極財政派だったが、「世界一の社会保障大国」である日本の消費税率が5%という異常な低さだったため、第2次政権以降、2度増税して10%にした。

世界はなぜ安倍氏に弔意を示すのか

いずれも自分の夢や主義より前に、世界を相手に日本がどういう国になるべきなのかを考えるリアリスト的な行動だった。集団的自衛権も消費増税も支持率を下げ政治的ダメージを負ったが、それをやり遂げる力があった。強いリーダーだったのだ。

2018年に、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)が発効したが、米国のトランプ前大統領は国内の反対に屈して離脱し、バイデン現大統領も反発が怖くて戻れないでいる。彼らと安倍氏の力の差は明らかだ。

海外の政治家たちはそれを知っているから各国の議会で追悼演説をし、弔問を希望している。だから岸田氏は国葬にしたのだ。ちなみに日本の国会の追悼演説は延期になったままいつ行われるのかもわからない。議員の皆さんは恥ずかしくないのか。

世論調査で国葬への反対が増えている理由は安倍氏の旧統一教会への関与らしいのだが、これを追及する立憲の幹部も関与していた。霊感商法や高額のお布施は問題だが、多額の寄付を要求する宗教団体も他にもたくさんある。政治と宗教の問題を国会でじっくり話し合うのはいいと思うが、今回の国葬と結びつけるのはおかしいのではないか。

また「モリカケサクラ」の問題が未解明だとして、「安倍氏の評価はまだ定まっていないから国葬はダメだ」と言う人もいるが、安倍氏の業績とモリカケサクラを同列に扱うのはさすがに無理があると思う。

もう静かに送りませんか

「国葬の客観的基準を作るべきではないか」との質問に首相は「その時の政府が責任を持って判断する」と答えた。それでいいんじゃないか。首相にはそれくらいの権限はある。また警備、接遇費を事前に示せと言う人がいるが、高すぎると思ったらカットしろということか。警備と接遇に恥ずかしくない必要な費用をかけるのは当たり前だ。

岸田首相は会見で、安倍氏の国葬について国会の場で自ら説明することを表明(31日)
岸田首相は会見で、安倍氏の国葬について国会の場で自ら説明することを表明(31日)

首相は国会の閉会中審査に自ら出席して国葬についての説明を行うという。これ以上の話が出るとは思えないが、これで野党も納得して国葬に出て来るのではないか。首相が国会で説明すると言う前に国葬欠席を発表した共産党は勇み足だったかもしれない。

維新の松井前代表は「(国葬が)おかしいという意見は自由に発信されたらいいけど、決まって、弔意を持って見送りたいという人たちが参加するんだから、それを邪魔する必要はない」と述べている。立憲も共産も国葬に来てもいいし来なくてもいい。でも邪魔するのはやめてくれ。一部メディアも含めみなさん、どうかもう少し静かに安倍さんを送りませんか。

【執筆:フジテレビ 上席解説委員 平井文夫】