5歳以下の転落死亡事故が、2024年までの32年間で134件発生。消費者安全調査委員会が転落死を分析した報告書を発表した。7割以上で窓やベランダ周辺にベッド・椅子など足場があり、事故の約半数は保護者が在宅時に起きていた。専門家は補助錠や面格子の設置、足場となる物の撤去し、子どもを外に出さないための対策を呼びかけている。
転落事故の7割以上が足場が原因と判明
全国で相次ぐ子どもの転落事故を受け、消費者安全調査委員会は、5歳以下の転落死を分析した報告書を発表した。

分析したのは、2024年までの32年間で起きた転落死亡事故、134件だ。7割以上で、窓やベランダの周辺に足場となるものがあったことが分かった。
調査委員会が作った事故を再現したCG映像では、次のような例がある。

事故当時、子どもは大人用のベッドの上で寝ていた。ベッドは出窓の下に置かれており、枕を伝いながら、出窓によじ登って、半分ほど開いた出窓のガラス戸から転落したとみられる。
一方、ベランダでの例だ。
事故当時、リビングで1人いた子どもは鍵を開け、ベランダへ出た。子どもはイスによじ登り、手すりから身を乗り出し、転落したとみられる。
消費者安全調査委員会・中川丈久委員長:
これは一つの例であるが、おしゃれな椅子とテーブルが置いてある。かっこいいが、CGで見た通り、まさにそれが足場代わりになる。
実際に、2024年4月には広島市の高層マンションで、3歳の女の子がベランダから転落して死亡。2023年3月には名古屋市のマンションで、2歳の双子の兄弟が窓から転落し亡くなっている。

年齢別で見ると、窓からの転落死で最も多かったのが1歳だ。一方、ベランダからの転落死は3歳が最も多くなっていた。

また、事故の約半数近くは保護者の在宅中に起きていたことが分かった。
40代(子ども4歳):
1人でベランダに出て、ベランダを覗き込んだことがあるので、その時はちょっとヒヤリとしました。
30代(子ども4歳):
ベランダに物置いてたりすると登っちゃったり、怖い思いをする時がありますね。
補助錠と面格子が最も確実な対策に
一体、なぜ子どもは高いところに登りたがるのだろうか。保育園で話を聞いた。

にじのそら保育園芝浦・岩田美佳先生:
身体発達に大切な動きをきっとしてるんだろうなとは思いつつ、かといって危険箇所を認知できるかといったら、まだそれも勉強中の時期。
子どもの転落事故を防ぐためには、どのような対策があるのだろうか。子どもの安全を研究する専門家はこう指摘する。
日本技術士会 子どもの安全研究グループ・森山哲さん:
基本的にはベランダに鍵をかけて外に出さない。補助錠をつけることが推奨されている。ものすごく確実な方法は、面格子を全部張ってしまう。これが一番確実です。そうすると、外に出ることができない。マンションの新築の時から、子供の安全を考えた建物を造ってほしい。
(「イット!」6月26日放送より)