忙しさを増す街の電気店。記録的な暑さが続いた6月から、多くの店がエアコンの取りつけに追われている。店の現状と客の事情を取材した。

厳しい暑さの影響で、注文のペース早く

7月8日、33.4℃まで気温が上昇した長野県伊那市。炎天下でエアコンの取り付け作業が行われていた。作業は2人1組。この日、2軒目の作業だった。

エアコンの取り付け作業
エアコンの取り付け作業
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キタノヤ電器のスタッフ:
6月末に梅雨明けしたせいか、忙しくなりましたね。暑さでしんどいです

エアコンを取りつけたのは、伊那市のキタノヤ電器。6月の猛暑の影響でエアコンの注文は2021年より早いペースで推移し数も増えている。

キタノヤ電器 北原国人会長:
今年はちょっと足が早いですね。去年の1割5分くらい早いと思います

2021年5月~6月のエアコンの注文数は67台だったが、2022年は3割増しの87台。7月に入ってからも35台の注文が入っている。

迅速な対応が“街の電気店”のセールスポイント。スタッフのやりくりも大変になっている。

キタノヤ電器 北原国人会長:
今は大忙し。従業員に休みを与えないといけないので、交代で休んで作業日程に苦労しています

「うれしい、これで眠れる」家族のため設置

こちらは伊那市の宮下さんの家。ここに住んで52年、今は夫婦2人暮らしだ。これまでエアコンなしで過ごしてきたが、子どもたちに説得され初めて設置することにした。

宮下ます江さんの家(伊那市)
宮下ます江さんの家(伊那市)

宮下ます江さん(80):
息子たち夫婦が心配してくれて、主人も私も年齢が高いので熱中症になっては困ると。どうしてもつけてほしいと言いに来たので、そこで決断して

設置したのはリビングルーム。

キタノヤ電器のスタッフ:
寒い場合は温度を上げていただく、消すんじゃなくて

宮下ます江さん(80):
あ、これ上げるボタンね

操作方法を説明 「涼しい部屋での生活うれしい」と宮下さん
操作方法を説明 「涼しい部屋での生活うれしい」と宮下さん

宮下ます江さん(80):
あーいいね、これからこういう風でうれしいです。スポーツして疲れた時は、この涼しい部屋で休んでっていう生活。おかげさまで

一方、こちらは大沢寿恵さんの家。設置したのは長男の部屋だ。家には既に1台設置しているが、夜勤のため日中に家で過ごす時間が多い長男用に追加した。

キタノヤ電器のスタッフ:
冷たい空気は下に落ちますので、上向きでいいの

大沢寿恵さん:
風向きはこれでいいの?

キタノヤ電器のスタッフ:
暖房の場合はあったかい空気は上にいくので、風向きを一番下に下げておく。暖かい空気がきて部屋を循環します

大沢寿恵さん:
息子が夜勤の時に、昼間寝る時にどうしても暑くてお願いしました。これでやっと眠れると思います

在庫確保が課題「早めの注文を」

キタノヤ電器のスタッフ:
毎日だよ、こういう取り付け。毎年、暑くなってからつけるけど、今年は急に暑くなって。今は物はあるけど忙しい

販売好調の一方で店には心配事もある。ウクライナ侵攻による物価高や半導体の生産の遅れで、製品が思うように入ってくるか不透明な状況なのだ。

キタノヤ電器 北原国人会長:
物価が上がるということと、半導体が間に合わないということで今、あらゆる商品が思うように入っていないのが実態。うちはできるだけエアコンの買い取りを早くからして在庫を持っているが、7月は月末になると不足するでしょうね

このところ雨の日が多く暑さは一段落したが、8月、9月と厳しい暑さが予想される。北原会長は在庫の確保に努めながら、引き続きエアコン設置のニーズに応えたいとしている。

キタノヤ電器 北原国人会長:
この暑さに負けないためにも健康維持のためにも、できるだけ早めに注文を。早くて丁寧にできる街の電気屋をぜひ利用してもらいたい

(長野放送)

長野放送
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