私がお伝えしたいのは「韓国・政界の若きプリンスが失脚の危機」です。
与党の李俊錫代表(37)が、性的な接待疑惑で懲戒処分を受け、事実上の職務停止となりました。
政権交代の立役者にもなった与党トップのスキャンダルで、尹錫悦政権は発足から2カ月で早くもピンチを迎えています。
ポイントはこちら!「支持率低下に拍車かかるか…懲戒処分の裏でうごめくベテラン議員たち?」
「国民の力」の李俊錫代表(37)は、韓国随一の進学校として知られるソウル科学高校を出たあと、米ハーバード大学を卒業。
議員経験はないが2021年6月、弱冠36歳で党の代表に就任すると、2022年3月の大統領選では20~30代の支持を集め、尹錫悦氏当選に貢献した。
「将来の大統領候補」とも目され(大統領の被選挙権は40歳以上)期待されてきたが、性的スキャンダルで一転、政治生命の危機を迎えた。
問題となっている疑惑は、李氏が2013年にIT企業から性的な接待を受け、さらに側近が証拠隠滅を図ったとの内容だ。
李氏は疑惑を全面否定してきたが、「国民の力」の倫理委員会は7日夜から約8時間にわたり審議を行い、党員資格停止6カ月の懲戒処分を決めた。
党の代表が党から懲戒されるという前代未聞の事態だが、注目すべきは党の委員会の決定が性接待の有無などに関する警察の捜査結果を待たずして下されたことだ。
その裏では、大統領選の頃から関係がギクシャクしていた尹大統領の側近らが主導し、李氏の「追い落とし」を図ったとの見方もある。
だが、当の李氏は委員会の決定後も「懲戒処分の権限は党代表にある」として、職を退く考えはない」と猛反発。
法的措置も視野に徹底抗戦する構えで、党の「内紛」はますます激しくなるかもしれない。
この騒動は、5月に発足したばかりの尹政権にも打撃となるだろう。
尹大統領は李氏の懲戒処分について「党務に言及するのは適切ではない」と述べ距離を置いたが、その足元はすでに揺らいでいる。
最新の世論調査で、尹大統領の支持率(37%)は就任後初めて40%を割り込み、求心力の低下が鮮明だ。
ここに、李氏の去就を巡る党内の混乱が長引き追い打ちを掛ける形となれば、厳しい内政運営に縛られ、日韓の懸案解決に向けた思い切った舵取りも一層難しくなるとみられる。
7月4日には、最大の懸案とされる元徴用工問題の解決に向けた官民による協議体を発足させ、具体的に動き出した尹大統領だが、「若きプリンス」の騒動が今後、足かせとなる可能性もある。