西日本豪雨で300人以上が孤立し、豪雨被害の象徴的な場所となった岡山・倉敷市真備町のまび記念病院。町の住民に寄り添い、豪雨の教訓を伝える病院の今を追った。

水害を経て…さらに地域に根ざした病院に

まび記念病院・村上和春理事長:
患者さんの数であるとか、外来患者・入院患者すべて水害前の状態に戻っている。まび記念病院は、よくここまで復興したと思う

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地域医療を支える町の中核病院「まび記念病院」。4年前、3メートルを超える高さまで茶色く濁った水が押し寄せた。

2018年7月、豪雨で約700メートル離れた小田川の堤防が決壊し、病院は浸水。職員や入院患者など335人が一時 孤立状態となり、病院内は1階の診療室のほか、多くの医療機器が水没した。

水害を受けた病院内の写真
水害を受けた病院内の写真

まび記念病院・村上和春理事長:(2018年9月)
病院が復興しないと町は復興しない。特に地方においてはそうだと思う。そのつもりで、私たちもやっていかないといけない

復興作業中の病院内
復興作業中の病院内

1階の復旧工事を終え、被災から約7カ月後の2019年2月には全ての病院業務を再開した。

6月21日、倉敷市真備町にあるグループホーム「まきびの丘」。

まび記念病院・村上和春理事長:
食事とか、ちゃんと食べとるか?

患者:
食べています

まび記念病院・村上和春理事長:
食事はおいしいかな?

患者:
おいしいです

まび記念病院・村上和春理事長:
おいしいと思えることが大事

豪雨の前は行っていなかった、まび記念病院の新しい取り組み。それは、町の施設や住宅で暮らす約50人への訪問診療。

まび記念病院・村上和春理事長:
トータルで地域の人をケアしていくことが大事。水害を経て、地域の人と共通の気持ちを持ったということ。まび記念病院として、地域の中核病院でないといけないということ。地域の人のためにできることをやっていく

訪問診療する村上理事長
訪問診療する村上理事長

復興までの道のりを「水害の歴史」として残す

水害を後世に伝える取り組みも進めている。7月4日まで町内で開かれていた水害伝承の展示会では、病院の被災から復興までの道のりを伝える写真を展示した。

まび記念病院・村上和春理事長:
甚大な水害の被害から立ち直って、現在のまび記念病院がある。真備町に住んでいて被害にあった人も一緒。復興途上の人もいると思うけど、頑張ってほしいという気持ち

4年前、豪雨被害の象徴的な場所となったまび記念病院。医療で住民たちに寄り添う思いを胸に、これからも地域を支える。

まび記念病院・村上和春理事長:
今後も、豪雨災害は全国各地で起こるのではないかと思う。その時に医療機関がどういう風に立ち向かっていくかということを、我々は十分ではなかったかもしれないが、ある程度示すことができたのではないか

まび記念病院・村上和春理事長:
地域のための新しい医療機能を持たせていくということを考えて、これから先もっともっと進めていかないといけないことはたくさんある

(岡山放送)

岡山放送
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