ロシアの「戦勝記念日」。プーチン大統領は、批判を強める国際社会にどのような考えを示すのか。

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注目の「戦勝記念日」 プーチン大統領は…

ロシアの首都モスクワで、日本時間の午後4時から始まった「戦勝記念日」の記念式典。演説に立つプーチン大統領が、ウクライナへの戦争宣言をするのか。世界中が注目していた。

ロシアが制圧したと主張するウクライナ南東部のマリウポリ。町に掲げられたスローガンには、ロシア軍のシンボルとなったZのマークと”戦勝記念日おめでとうございます”の文字があった。

市民の避難が完了した製鉄所では、立てこもるウクライナ部隊に対するロシア軍の攻撃が激しさを増していた。

膠着状態が続き、戦争が長期化する中で、ロシアは9日の「戦勝記念日」を迎えた。

モスクワの赤の広場を埋め尽くす招待客。

日本時間の午後4時前、プーチン大統領は会場に姿を見せた。胸には愛国心を示すともいわれる、黒とオレンジの「聖ゲオルギーリボン」をつけている。プーチン大統領は、退役軍人ら一人一人と笑顔で握手をした。

ロシアにとって5月9日は、77回目の対ナチス・ドイツ戦勝記念日だ。

実況:
儀仗兵の兵士は、ロシア連邦の国旗と第2次世界大戦の旗を持って赤の広場に入ります

赤の広場では、盛大な記念式典が行われた。旧ソ連がナチス・ドイツに勝利したとする「戦勝記念日」は、1年のうちロシア人の愛国心が最も高まるとされる日だ。ウクライナへの軍事侵攻を続けるプーチン大統領が戦争を宣言するのか、国際社会の注目が集まっていた。

「最もタイミング捉えた、最も正しい決定」

そして午後4時15分。ショイグ国防相からあいさつを受けたプーチン大統領が演説に立った。

プーチン大統領:
親愛なるロシア国民のみなさん、本日偉大な戦勝記念日おめでとうございます

冒頭の挨拶の後、第2次世界大戦の犠牲者に対し黙祷。その後、プーチン大統領はウクライナ侵攻についてこう訴えた。

プーチン大統領:
我々が安全保障に関し、ロシアと共通の利益を呼びかけたが、西側諸国には聞いてもらえなかった。キエフ(キーウ)は核兵器の入手に関して検討していたという話がありました。NATOは我々(ロシア)に近い領地で、軍事的な開発を始めました。(ロシアは)それに対して対抗しました。それが最もタイミングを捉えた、最も正しい決定でした

プーチン大統領:
勝利のためウラー(万歳)

兵士たち:
ウラー(万歳)!

演説の中で、ウクライナへの戦争宣言を行わなかったプーチン大統領。

一方で、ウクライナへの軍事作戦は「唯一の正しい選択だった」と述べ、自らの選択を正当化したが、作戦の成果は語らず、勝利宣言も行わなかった。

(「イット!」5月9日放送分より)