第97回天皇杯決勝が12日、さいたまスーパーアリーナで行われ、千葉ジェッツは川崎ブレイブサンダースに72対82で敗れ、3大会ぶりの王座奪還を逃した。川崎は2大会連続5度目の頂点となった。

「この負けは悔しい。かなりやられてしまった印象。前半、問題はディフェンスだったのにオフェンスで取り返そうとしてしまい完全に悪い流れになってしまった」

川崎の歓喜の瞬間をコート脇でぼうぜんと見つめた千葉の主将・富樫勇樹(28)は敗因をこう分析した。

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試合直後は富樫と原修太(28)の連続得点でリードするも、川崎の堅守に阻まれる時間が続いた。攻撃の活路を見いだせないまま川崎に序盤から3ポイントシュートを高確率で沈められ、主将の藤井祐眞(30)に前半だけで17得点を許した。

前半の大量失点が重くのしかかり、後半に追い上げるも逃げ切られた。

冷静さを欠いた前半を反省した千葉。第3クオーターでディフェンス修正し、ムーニーらの得点で猛追を見せる。一時は20点以上開いていた差を8点差まで詰め寄った。それだけに富樫は「後半のプレーを前半から出せていれば」と悔やんだ。

天皇杯奪還は逃したが、シーズンは続く。地区優勝、リーグ連覇の目標が残っている。「Bリーグ連覇に向け、しっかり切り替えて戦いたい」と富樫。「ファイナルで負ける、相手の表彰式を見るのは本当につらいが、シーズンの中で成長していきたい。選手たちは本当に頑張ってくれた。まだまだこんなもんじゃないというのを表現したい」と大野篤史ヘッドコーチ(44)。

再び心に火をともし、この敗戦を糧にリーグ戦での挽回を期す。

川崎82-千葉72
(さいたまスーパーアリーナ・12日)

大会MVPは川崎の藤井祐眞に

また、大会MVPには川崎の藤井祐眞が選ばれた。

「前半すごくいい形で川崎のバスケットが出来たと思うが、後半我慢の時間帯が続いて、最後は気持ちの勝負だったのかなと思っている。僕たちの方が強い気持ちを持って戦うことが出来て、勝てたと思う。チーム内で「連覇しよう」ということはなく、一人ひとりが優勝に向かってやるべきことを遂行して、コートに出た選手がしっかり仕事をこなした結果だと思うので、連覇ということではなく、目の前の試合に集中して臨むことが出来たいいゲームだったと思う」

加藤忍
加藤忍

早稲田大学卒業。フジテレビ入社。スポーツ局すぽると!ロッテ担当、ヤクルト野球中継などを経て現在は報道局兼スポーツ局。