通常営業と同時並行で…書店員たちの1カ月に密着
2009年9月に松山市千舟町にオープンした、ジュンク堂書店松山店。
この記事の画像(19枚)豊富な専門書などを取り扱う書店として、地域に愛されてきたが、2022年2月に閉店。
そして3月3日、新店舗が移転オープンした。
この日に向けて、本35万冊が深夜の大移動。
1カ月以上に及んだ、大がかりな本の「引っ越し」に密着した。
3月3日にオープンした、ジュンク堂書店松山三越店。
専門書やコミックなど、35万冊の書籍を扱うほか、高級文房具などもあり、開店初日から店内は大にぎわい。
利用客:
見やすくていいんじゃないですか。前は階段使って行ったり、エレベーターで行ったりしてたから、ここだったらぐるっと見えるので、すごく楽だと思います
利用客:
今、見てたんだけど。東京っぽくなってきましたね
ジュンク堂書店 松山三越店・谷美智子店長:
平日にも関わらず、たくさん来ていただいて、本当にうれしいですし、これまで1カ月間、旧店舗を営業しながらの準備でしたけど、努力が報われたと思っています。正直、睡眠不足でしたし、腰も痛いし頭も使うし、本当に大変でした
この日を迎える、その裏には…
「詰めて!」「運んで!」「また詰める!」
本を愛する書店員たちの1カ月以上にも及ぶ、気が遠くなるような作業があった。
2月8日午後8時半。
開店まであと3週間あまりの営業終了後、フロアには空っぽになった本棚と、本が入った段ボールが山積みにされている。
通常営業を続けながら、同時並行で行われる引っ越し作業。
この日は、3階と4階にあった本を箱詰めして、新店舗ができる松山三越まで運ぶ。
段ボール4000箱以上…トラックに積み込み
作業終了見込みは、なんと翌朝の午前5時。
書店スタッフ:
新店舗でも出したりするので、朝ぐらいまで(かかる)
段ボールを、ひたすら上の階から下の階へ。
(Q.何往復目くらいですか?)
書店スタッフ:
もう数えてないです
何度も往復を繰り返して、1階はあっという間に段ボールだらけになった。
(Q.必ず腰に手を当てていますね)
書店スタッフ:
もうだいぶ痛いですからね
こうして運んだ段ボールを、今度はトラックに積み込み。この日は、4トントラック3台が2往復した。
2月22日、開店まであと9日。
松山三越の新店舗に運ばれてきた段ボールは、4,000箱以上。
箱を開けて、本を取り出し…
黙々と、ただひたすらに本を並べていく。
書店スタッフ:
ここら辺を、表紙を表に向けて陳列するので、そこをずらして下を作っていこうというところ
本を手に取ってもらえるように、売れ筋の本や新刊を目立つように配置して、棚のデザインにも工夫を凝らす。
(Q.高い位置とか大変ですね)
書店スタッフ:
見えないんですよ
松山市千舟町に松山店ができた時から働いている、谷美智子店長。
ジュンク堂書店 松山三越店・谷美智子店長:
こういう作業って、今あるジュンク堂がオープンするときもやってたんですよね。同じような感じで、作業はしてましたね
2年前に社員となり、店長に就任。
この引っ越し作業は、谷さんにとっても、店長として迎える最大にして最難関のミッションなのだ。
ジュンク堂書店 松山三越店・谷美智子店長:
店長になって、まだ日が経っていないので、全然わからないことばかりで大変です。だから気持ち的には同じ感じですかね。まだまだ新人なので
閉店迎え…新店舗に持ってきた「あるもの」
2月27日、ジュンク堂松山店の営業最終日。
この日は、別れを惜しむ客も見られた。
利用客:
文具を買いに。ジュンク堂がなくなるということで、最後に寄ってみようかなと
利用客:
本を本屋さんにふらっと寄って、たまたま見つけた本を読んで、自分の新たな世界が広がるのが好きで、そういう場所が変わるというのは残念だなと思います
常連客などに閉店を惜しまれ、迎えた午後8時。最後の営業を終え、シャッターがおろされた。
ジュンク堂書店 松山三越店・谷美智子店長:
シャッターが下りる瞬間、とても寂しく感じたんですけど、あすからの新しい場所での準備と、オープンと営業に向けて、すごくワクワクしております
静かに閉店を迎えた、ジュンク堂松山店。
そして3月3日、無事に新店舗への移転オープンを迎えた。
新店舗には、松山店からあるものを持ってきていた。
ジュンク堂書店 松山三越店・谷美智子店長:
あちらの看板もそうなんです。私が入社した時からずっとある看板で、さびとかちょっと古びた感じもあるんですけど、「きれいにもできるよ」とも言われたんですけど、やっぱりそのままの状態で松山三越店にも持ってきました
新店舗には、しっかりとジュンク堂の歴史が引き継がれていた。
ジュンク堂書店 松山三越店・谷美智子店長:
1カ月間の準備期間はあったものの、営業と同時にしていたので準備もかなり大変でしたし、私も店長として新人ですし、なかなか慣れないことも多くて、作業も進まないこともあったんですけど。今後たくさんのお客さまに来ていただいて、魅力ある売り場にしていきたいと、やる気に満ちあふれています
ジュンク堂松山三越店。
歴史ある文学の街・松山の書店として、また新たな歴史を紡ぐ。
(テレビ愛媛)