愛媛・伊予市双海町に、新たな宿泊施設がまもなく開業する。オーナーは2年前に移住した、地域おこし協力隊の女性。念願のオープンまでの奮闘を追った。
祖父母が営む商店 居住スペースを宿泊施設に
上田沙耶さん:
こちらはリビングルームに使おうと思っている共有スペースですね。昭和レトロな、泊まれる喫茶店っていうのをコンセプトにしています
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上田沙耶さん(23)は2020年4月、青山学院大学4年生になった年に「地域おこし協力隊」として、東京から双海町に移住。それから約2年、上田さんの念願だった宿泊施設がついにオープンすることになった。
上田沙耶さん:
これは私のばあちゃんの家で。お店をやってるんですけど、ここでゲストハウスをしたいなって思ってます
JR伊予上灘駅のすぐそばに、上田さんの祖父母が営む商店がある。
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上田沙耶さん:
私の小さい頃の写真がこれ。私とお父さんです。今はもうほんと使ってないので、ただの持て余し。もったいないから
店の上、2階と3階の使っていない居住スペースを「ゲストハウス」として活用したいと上田さんは考えていた。
上田沙耶さん:
最高ですね、何回来ても。もっと自慢したいですよね、「うちの屋上いいでしょ」って。双海を知ってくれる人も好きになってくれる人も、この場所から増えていくといいなと
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「ファンを増やしたい」特産生かした商品開発も
幼い頃から何度も遊びに来た大好きなまち・双海の魅力を発信したいと、特産を生かした商品の開発に力を注いできた上田さん。
双海産のハモやタイの詰め合わせ、ミカンジュースにゼリーなど、新たな名物をいくつも生み出し、双海ファンを増やすために動いてきた。
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上田沙耶さん:
中華そばです。うちの看板。ばあちゃん直伝の
さらに2021年3月、ゲストハウスに先立って、商店の2階で祖母が営んでいたレストランを引き継いだ上田さん。地域の人口減少にともない休業していた店を約10年ぶりに再開させた。
上田沙耶さん:
食べたことありますか?
レストランの利用客:
あるある。ポパイのね、昔よ
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上田沙耶さん:
たぶん変わってないはず
レストランの利用客:
駅周辺でもありますしね、にぎわいが出てくるとうれしいですよね
双海に人を呼び込みたいと奮闘する孫の姿を祖母・千代子さんも笑顔で見守る。
祖母・上田千代子さん:
こんなにね、頑張ると思ってなかったから
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今でこそ上田さんを応援している千代子さん。実は当初、移住には反対だったという。
祖母・上田千代子さん:
ここへ帰っても、絶対やっていけれんよって言うてね。こんこんとね、主人も反対するしね。相当もめたんよな。これではやれんなっていうくらい(人口は)減って来とるけど、私らで最後くらいで頑張らななって
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上田沙耶さん:
町の中におらんのやったら、外から呼んでくればいいんじゃないのって
祖母・上田千代子さん:
涙が出る
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上田沙耶さん:
なんでなん?感動しとん?
祖母・上田千代子さん:
昔のこと考えてな
壁にぶつかりながら…理想の宿を目指して
祖父母が守ってきた店に、大好きな双海にかつての活気を取り戻したいと上田さんが構想してきたゲストハウス。2021年秋、オープンに向けて本格的に動き出した。
上田沙耶さん:
このベッドにするとかを融資受ける前までに決めとかないかんのですよね。変わっちゃダメ?
銀行の担当者:
変わってもいいですけど、金額が小さくなってしまったらよろしくないですよね
工事や家具購入などの資金調達も1人で担う。順調に進んだかに見えたゲストハウス計画だが、実際に動き出すとやはり壁にぶつかった。
上田沙耶さん:
法律とか、消防法とか建築基準法とか難しいですね
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上田さんが描いていた理想の形では、「食べて・遊んで・泊まれる」そんな複合施設を目指していた。
しかし、建物ができたのは今から40年以上前の1978年。当時とは建築基準が全く変わっているため、消防法などの規定で人を泊められるのは2階のみ。さらに年間を通して営業できる「ゲストハウス」ではなく、宿泊は年間180日までという「民泊」に制限された。
上田沙耶さん:
ここがドミトリールーム。1ベッド1人で、6人泊まれるようになってます。半個室風に、閉じたら外から見えない。上ももうちょっとだけ壁をつけたり工夫して、プライベートな空間を作ろうと思っています
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レストランの奥にできた宿泊スペース。元々あった部屋を半分に仕切った2つの個室と、シャワールームも新たに作った。
さらに、宿泊者の団らんの場にと共有のリビングも。
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上田沙耶さん:
赤電話は母方のばあちゃんの家からもらってきた。帰ってきた感、落ち着く感じを出せたらいいですね
かつての床の間は元の形を生かしつつキッチンに。
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昭和レトロな、その名も「宿ポパイ」。
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上田沙耶さん:
知らない人との一期一会とか、そういうものこそが旅の醍醐味だと思うし、その土地に対する愛着が湧く瞬間だと思うので。ここも、ただ泊まってすぐいなくなるというより、泊まって地元の人たちと触れあえたり、双海の日常に溶け込むことによって、また帰ってきたい場所になるっていうのが目指す姿かなって
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双海への愛が生んだ「宿ポパイ」は、2022年3月オープン予定。双海の新たなにぎわいの拠点として、期待がかかる。
(テレビ愛媛)