発足後100日を超えた岸田政権にとって、コロナ対応、経済対策、来年度予算案の審議などで激しい論戦が予想される1月17日からの通常国会は正念場となる。一方、米中対立が激化する中、日本の対中政策は難しい対応を迫られている。

BSフジLIVE「プライムニュース」では、自民党の高市早苗政調会長を迎え、中国を念頭に置いた日本の安全保障を中心にうかがった。

怒涛の日程をこなす高市政調会長、判断の物差しは「リスクの最小化」

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新美有加キャスター:
「政調会長」について改めてご説明を。政策の調査研究・企画立案、公約の取りまとめを行う党内機関「政務調査会」のトップ、政務調査会長というポストです。高市さん、就任後3カ月を振り返ってのご感想は。

高市早苗 自民党政務調査会長:
2021年9月の総裁選後、10月1日に就任し、その月に衆院選。解散と同時に全国遊説、選挙後すぐに政調人事、正月明けもすぐに国会。怒涛の日程だった。なんといっても、全国の自治体の長や各団体の方からのご要望が多い。

反町理キャスター:
陳情・要望を受けたり、党内の様々な意見を束ねる上で、物差しをお持ちと思う。何を常に頭に置いて判断しているのか。

高市早苗 自民党政務調査会長:
リスクの最小化です。それに資するものは最優先。陳情に関しては、少しでも行政を歪めるものについてはバシッとお断りします。ただ予算・税制要望については非常に幅広い業界の方から意見を伺い、それを反映させる。

コロナ対策については、丁寧な科学的根拠の説明が必要

新美有加キャスター:
1月に入り、オミクロン株による新型コロナウイルス感染が拡大しています。岸田首相は新たな新型コロナ対策を発表。

高市早苗 自民党政務調査会長:
科学的根拠を丁寧に説明しないと納得感は得られない。例えば2021年末に厚生労働省ともめたのは、ワクチンの3回目接種まで8カ月と言い張っていたが、諸外国には接種後3〜4カ月で抗体価が下がるという知見があったため。ワクチンが調達できないということなら、はっきり言ってくれと。治療薬も、必要量を調達することに全力を挙げてほしい。自民党としては重症者数・死亡者数の極小化に努める。

反町理キャスター:
在日米軍の感染状況についてどう物申すか。信頼感に影響は。

高市早苗 自民党政務調査会長:
保健衛生の問題は、合同委員会で議論し守っていただく。日本政府が責任を持ってフォローアップすることに尽きます。

反町理キャスター:
感染症法改正案は、通常国会への提出が見送りに。特措法の改正は、6月までに強化策取りまとめの方針で、通常国会には間に合わない。

高市早苗 自民党政務調査会長:
法律とは備えとしてあるもので、法整備には時間がかかる。例えば新型コロナウイルスのさらに強い株やエボラウイルスのようなものが出てきたときに、どないすんねんと。ただ、通常国会で政府がどの法案を提出するかはまだ届いておらず、最終決定ではないと思う。自民党としてはいつでも法案審査で応じられるように議論を積み上げていく。

経済安全保障、対中リスクの啓発は小規模事業者に至るまで行っていく

新美有加キャスター:
通常国会で大きな焦点のひとつになると見られるのが、中国を念頭にした経済安全保障。今の日本の状況は。

高市早苗 自民党政務調査会長:
経済安全保障は非常に幅広い概念だが、3つのリスクがある。1つ目はコロナ禍で私たちが気づいた、日本のサプライチェーンの脆弱性。マスク、注射器などが足りなくなる。そして世界的な半導体の不足。生活、医療、産業の絶対に大事な部分は国内で生産・調達できるようにしなければ。2つ目はサイバー攻撃がかなり深刻で、重要インフラに使う様々なデバイスの安全性を完全に担保しなければいけない。3つ目は、日本政府は中国と名指ししているわけではないが、機微技術の流出。これらを確実になくす。それから、中国に嫌われとるんやと思うが……。

反町理キャスター:
はい(笑)。

高市早苗 自民党政務調査会長:
私が色んなところで話しているのは、中国の法律。中国の会社法、中国共産党規約、国家情報法によってリスクがあることに日本企業も気づかなければいけない。アメリカと中国の法律の板挟みで、日本企業が困る事態も出てきている。アメリカからの物資・技術を使って日本で製品を作り中国に再輸出する場合、外為法に加えてアメリカ法でも審査しなければならないことになった。中国もこれに仕返しする法律を作り、外国の法律によって正当な貿易をしない場合は企業に対して損害賠償請求ができると。つまり日本企業が訴えられる可能性がある。

高市早苗 自民党政務調査会長、習近平 中国国家主席(画面)

反町理キャスター:
中国やアメリカから制裁を受けた場合、日本政府が損失補償はできない。すると企業への情報提供しかない?

高市早苗 自民党政務調査会長:
そう。ご存じない経営者も多い。小規模事業者にまで、政府として根性入れて周知・啓発せないかん。

反町理キャスター:
特許の非公開制度について。

高市早苗 自民党政務調査会長:
まだ有識者会議を行い骨格を作っている段階だが、サプライチェーンの強化、基幹インフラの安全性を確保する措置をする。あとは先進的な重要技術のための官民の技術協力。ここで、民間企業への何らかの守秘の義務付けはするだろうと思う。

反町理キャスター:
官民、そこに学も入って産官学となる? 日本学術会議のことを思い出すが。

高市早苗 自民党政務調査会長:
学も入るのでしょう。学術分野の方に相当神経質になっていただかないと、経済安全保障の確立はできない。技術流出のリスクには、今までの不正競争防止法では対処しきれない。法律案は何回改正してもいいと思う。今国会で枠組みを通し、何段階も改正して仕上げていく。

中国の人権問題、対中非難決議は通常国会の頭で

新美有加キャスター:
岸田首相の番組出演時、「アメリカもヨーロッパも対中関係はしたたか。日本もしたたかに冷徹にならなければ」というお話があった。

高市早苗 自民党政務調査会長:
岸田総理はとっても優しい方で、林外務大臣もしたたか、冷徹という感じではない(笑)。ただ2022年は日中国交正常化50周年で、緩くなりがちだという懸念がある。だが、国防上の脅威とか様々な現状変更、経済安全保障の問題がある。しっかりと厳しく目配りをしなければ。人権問題に関しても言うべきことは言う。そこは分けて考えるべき。

反町理キャスター:
その人権問題について、国会での非難決議は?

高市早苗 自民党政務調査会長:
国権の最高機関である国会での決議はインパクトある有効な方法で、2021年の臨時国会で何が何でも決議をしたかった。だが国会決議は政調会長ではなく国対委員長の領域となり、幹事長が了解しなければ絶対に出来ない。2021年はタイミングが悪いということでだめだったが、もうタイミングの問題はないと思うので、通常国会の頭で決議できるよう頑張りたい。

新美有加キャスター(左)、反町理キャスター(中)、高市早苗 自民党政務調査会長

反町理キャスター:
しかし、やるなら北京冬季オリンピックより前に出さないと。

高市早苗 自民党政務調査会長:
そうです。2021年は、オリンピックに政府高官を送るかどうかの決断をまだ内閣がしておらず「タイミングが悪かった」のだと思うが、送らないことになった。衆院選で党の公約に「ウイグル、チベット、モンゴル民族、香港など、人権等を巡る諸問題に、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求める」と明記した。なんとしても成し遂げたい。

反町理キャスター:
日中間で前向きな話を進めたい人と、人権問題や尖閣などを重視する人、自民党内でもぶつかっていると思うが。

高市早苗 自民党政務調査会長:
やはり総理大臣、外務大臣がしっかり取り組まれることだと思う。中国は覇権主義的姿勢も、人権問題についても何ら改めていない。国交正常化50周年だからと、それらの問題に何の対応もしないというのはあり得ないと思っています。

「総理を支えていく中で、忖度して高市カラーを消すつもりはない」

反町理キャスター:
安倍元首相が月刊誌で「高市さんは真面目で勉強熱心、胆力もある。ただ、何でも自分で引き受けてしまうところが玉にキズ」と。

高市早苗 自民党政務調査会長:
真面目で勉強熱心というのは嬉しい。胆力イコール鈍感力でしょう。なんぼ叩かれてもヘラヘラ(笑)。ただ、なんでも引き受けるほうでもない、今は仕事を振りまくっています。経済安全保障本部以外は、別の国会議員に本部長になってもらって。何でもやれるほど器用ではないです。自分なりに積み上げてきて、絶対に国家経営に関わりたいという思いの中で岸田総理をお支えしている。ただ「高市カラー」を忖度して消すつもりはございません。

新美有加キャスター:
視聴者からのメールです。「世界経済が成長する中、日本経済はデフレ続き。成長させていくために積極財政が必要なのでは」。

高市早苗 自民党政務調査会長:
私は積極財政派。緊縮財政・財政再建ばかりで国が必要な投資をしなければジリ貧になる。日本は生産性が低いといわれるが、いいものを安く売りすぎている。いいものは高い値段で買ってもらえれば生産性は高まる。日本人が他国に劣っているということではない。ただ、デジタル化は遅れた。サイバーセキュリティを前提にどんどん進める。

BSフジLIVE「プライムニュース」1月11日放送

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