世の中にあふれる様々な情報をチェックし、気になる人物や物事を徹底的に捜査するフジテレビ・めざまし8の「帰ってきた!走れ!三面刑事」。

今回捜査するのは、フリー素材のモデル。フリー素材とは、提供元のルールを守れば誰でも無料で利用できる写真やイラストなどのこと。インターネットニュースのイメージ画像や企業広告、商品のパッケージなど幅広く利用されています。

三面刑事・山下真司さんが捜査に向かったのは、自称「日本一インターネットで顔写真が使われている男」。一体どんな人物なのか?

今までに100社以上の企業広告に採用

さっそく三面刑事が東京都内の住宅街を訪れ、張り込みをしていると…。

山下真司:
お前か、日本一インターネットで顔が使われている男ってのは。

大川竜弥さん:
はい。そうです。フリー素材モデルの大川です。

この記事の画像(23枚)

どこかで見たことがあるようなこの方が、自称「日本一インターネットで顔写真が使われているフリー素材モデル」の大川竜弥さん(39)。

今回、新作フリー素材の撮影に来たという大川さんについて行くと、そこはマンションの1室にあるレンタルスペース。中にいたのは、カメラマンだけです。

山下真司:
2人だけ?

大川竜弥さん:
予算もないので。

大川さんは、2012年からフリー写真素材サイト「ぱくたそ」の専属モデルをしています。

いかにもイメージっぽい写真や時事ネタ、パロディ、何に使えるのかというような不思議なものまで。公開されている写真は、なんと3000枚以上。今までに100社以上の企業広告で写真が使われています。

例えば、こちらの壁ドンをしている写真は、養命酒のキャンペーンサイトの広告に。

(養命酒製造株式会社)
(養命酒製造株式会社)

さらに、暗闇でタバコを吸っているようなこの写真は、福岡市の受動喫煙防止啓発ポスターに使われています。

こういったフリー素材写真は、どのように撮影されるのでしょうか。三面刑事が実際の現場で捜査!

表情豊かに場面を表現「使う側も使いやすいフリー素材に」

今回の撮影テーマは「マスク会食」。撮影を進めていく大川さんの様子を見ると…。

カメラマン つるたまさん:
逆面のほうが…ああ、そうですね。

大川竜弥さん:
「盛り上がってます」みたいなのも撮っといて。

カメラマン つるたまさん:
知り合いが来て「おーいこっちだよ」みたいなやつ。

2人で会話をしながら、あうんの呼吸でシャッターが切られていきます。

大川さんは表情を次々と変えながら、様々なパターンの写真を撮影。その見事な表現力に、三面刑事は思わず…。

山下真司:
おいしそうだなあ。俺、焼き鳥大好きなんだ。

大川竜弥さん:
ナレーションがつくんですね。

山下真司:
もも肉、やっぱり弾力があっておいしいよな。口の中に焼き鳥の味が。あー幸せ。表情で今どうなんだって気持ちをやっぱり表現しないと、ただ単に無表情で食べてたら面白くないのね。

大川竜弥さん:
こういうシチュエーションですよっていうのを分かりやすく伝えると、使う側も使いやすいフリー素材になります。

山下真司:
俺、今もナレーション入れてたけど、すごく入れやすいもん。

大川竜弥さん:
やりやすかったです。

シチュエーションをわかりやすく伝えることで、使う側も使いやすいフリー素材になると指摘する大川さん。さらに、三面刑事が気になることを切り込みます。

山下真司:
一度に何枚くらい撮ってます?

カメラマン つるたまさん:
だいたい1000枚から3000枚、多い時だといきますね。

山下真司:
そんな撮るの!?

撮影から10日。この日撮った写真のいくつかはホームページに掲載され、誰でも無料で使用できるようになっています。

そんな大川さん、街で声をかけられることも。時には、家電量販店のポップや居酒屋のポスターなど、街中で偶然自分の写真を発見することもあるといいます。

たくさんの写真が使われているということは、やはりかなり稼いでいるのでしょうか。

フリー素材モデルのリアルな収入額 「人からの感謝」を大切に

山下真司:
3000枚も写真撮ってたら、収入すごいでしょう?

大川竜弥さん:
いくら使っても僕には1円も入ってこないんですね。仮に100万枚使われても、1円にもならない。

山下真司:
どうやって食いつないでたの?

大川竜弥さん:
2019年くらいまではアルバイトをして、週5回。

山下真司:
2019年!? つい最近じゃん。どうやって生活してるんですか?

大川竜弥さん:
フリー素材を見た企業から、うちの会社の広告に出てくださいとか、CMに出てくださいとか、そういう依頼をいただくようになったので。今はそれでなんとか生活できてますね。

山下真司:
失礼ですけど、今は収入はどれくらい?

大川竜弥さん:
去年の年商?年間の売り上げでいうと330万円くらい。

現在は、企業から依頼されたSNSモデルの出演料などで生計を立てている大川さん。最近ではテレビコマーシャルにも出演するなど、徐々に活躍の場を広げています。なのになぜ、お金にならないフリー素材のモデルを続けているのでしょうか。

大川竜弥さん:
人に感謝されることが多いんですよ。無料なのにこんな色んなフリー素材使わせてもらってありがとうございますとか。色んな人から感謝されるっていうのが大きいですね。

フリー素材を使用した人からの「感謝」を大切にしている大川さん。そこで、大川さんの提案により、三面刑事も実際にフリー素材のモデルを体験することに。

目立ってはいけない…“個性ナシ”で撮影

テーマは「ひとりぼっちのクリスマスを過ごす男性」。さっそく三面刑事が撮影したものを大川さんに見てもらいました。

山下真司:
どう?俺のおじいちゃんトナカイ。

大川竜弥さん:
絵になっちゃってますよ。

山下真司:
絵になっちゃってる?

大川竜弥さん:
フリー素材はやっぱり絵になっちゃいけないんですよね。ポスターのデザインの一部で使われたりするので、目立っちゃいけないんですよ。

フリー素材モデルは「目立ってはいけない」ことを指摘した大川さん。そこで、より良いフリー素材にする為のテクニックを披露しました。

大川竜弥さん:
向かいの席にグラスを置くと、本当は彼女が来るはずだったけど来なかった感がちょっと出るんですよね。脱力して、こう帽子をずっと見つめてるというのも。

できあがった写真を見た三面刑事は…。

山下真司:
影うすっ。自己主張が全くないね。

大川竜弥さん:
褒めてますか?

山下真司:
褒めてるよ。でも、本当に個性無いな。

大川竜弥さん:
ありがとうございます。

「個性がないように見せる」大川さんのプロの技が炸裂していました。その裏には大川さんの努力があったのです。

「生涯現役」フリー素材モデル・大川竜弥の向かう先

大川竜弥さん:
10年くらい髪型変わってないんですよ。体型も。週5でジムに行ってますね。なるべく見た目も個性がないように。

自身の見た目にも注意する徹底ぶり。そんな大川さんの夢とは。

大川竜弥さん:
生涯現役。死ぬまでやって、カメラマンさんにも言ってあるんですけど「僕のお葬式も遺影もフリー素材として出していいよ」って。

決して「収益」を重視するのではなく、フリー素材モデルとして「誇り」を持って活動する大川さん。これからさらに、たくさんの人が目にすることが多くなるのではないでしょうか。

(めざまし8 「三面刑事」12月6日放送)