愛媛・久万高原町に「転勤しないで」と慕われるお巡りさんがいる。
ニュースで取り上げられた動画は、YouTubeで大反響。
このほど新しい駐在所が完成し、さらに意外な「任務」も。大忙しの日常に密着した。

久万高原町民:
すごく、ええ人。親しみがある。本当に、あんな人だけだったらええのになと思う

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久万高原町民:
大塚さん、構わなかったら、このままここに居ってほしいということで(久万高原署長に)お願いにあがったんですが

「ここに残って」と住民から慕われるほどのお巡りさんは、久万高原町・川瀬駐在所の大塚聡巡査部長(54)だ。

朝は小学生の登校、昼は地域の見守りと、住民の顔を見る巡回を欠かさない日々。

待望の新駐在所が完成 “住民ファースト”で活動

その拠点となる駐在所は、老朽化のため2021年4月から建て替え中だったが、この秋の9月、ついに完成した。

9月に完成した新しい川瀬駐在所
9月に完成した新しい川瀬駐在所

久万高原警察署・重松真史署長:
今後も新駐在所を拠点として、管内住民の安心・安全のため、大塚部長のモットーであります“住民ファースト”の活動を行ってまいります

久万高原警察署・重松真史署長
久万高原警察署・重松真史署長

待ちに待った、新しい川瀬駐在所が完成した。

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:
おかげさまで、モダンで立派な駐在所ができました。久万高原町の木を使っているらしいので匂いもいいし

建物は、地元の木材をふんだんに使用。1階が事務所、2階が居住スペースとなっている。

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:
普段仕事する事務室です。こちらで書類を作ったりとか。例えば道を尋ねに来られた方の応対とか

楽しみにしていた相談室も、事務室の隣に用意された。

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:
被害届とかじゃなくて、普段でも寄ってもらえたら。お茶でも飲んで、ゆっくりお話をしたいなと思います

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長
川瀬駐在所・大塚聡巡査部長

新たな駐在所で、気合を入れて巡回を行う。

登山者にも気さくに…山岳パトロール

その1週間後、大塚さんの姿は意外な所にあった。

大塚さんが訪れたのは…
大塚さんが訪れたのは…

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:
隊長じゃありません。足手まといにならんように

大塚さんが背負った大きなリュックサック、何とそこには、「山岳警備救助隊」の腕章が。

「山岳警備救助隊」の腕章
「山岳警備救助隊」の腕章

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:
きょうは登山客に対しての安全広報と、事故とかあったらいけないので登山パトロールと、登山道の確認ですね

実は大塚さんは、山あいの警察署ならではの「山岳警備救助隊」の一員でもある。

山岳警備救助隊としても活動する大塚さん
山岳警備救助隊としても活動する大塚さん

この日集まったのは、西日本最高峰・石鎚山の登山口だった。

山岳警備救助隊・武智雄大巡査部長:
山岳警備隊です。土小屋付近車約200台。天候は見晴らしよし、どうぞ

山岳警備救助隊の任務は、転落事故などのけが人の救助や、登山道のチェックのための定期的なパトロールだ。

山頂まで4.5kmほどの道のりを隊員4人で登っていく。

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:
あぁ、しんど…

(Q.皆さん速いですね)
川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:

速い…

大塚さんは、ことし54歳。50代にとっては、楽な仕事ではない。
腕を組んで歩くのは、腕の疲労を減らすための工夫のひとつだという。

様々な工夫で疲労を軽減
様々な工夫で疲労を軽減

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:
(崩落現場を見て)こりゃひどいな。

(Q.いつ崩れた?)
川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:

夏の長雨やったと思います

雨で登山道が一部崩落したが、幸いにも大きな影響はなさそうだった。

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:
(登山客に)ファイト。ファイト。頑張っていきましょう

登山客に気さくに話しかける大塚さん
登山客に気さくに話しかける大塚さん

気さくに話しかける大塚さんの親しみやすさは、山岳パトロールでも存分に発揮。

登山客:
隊員さんだって。すごいね。山を守ってくれている人だ

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:
すごくはない。あそこにもおる

登山客:
落っこちたらどうしようって。助けられんぞ

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:
助けてあげる

けがをした女性が…急いで負傷者の元へ

山岳警備救助隊・武智雄大巡査部長:
石鎚山頂着。人は約300名程度。視界はガス充満、不良。どうぞ

この日の石鎚山の山頂は、足の踏み場がないほど登山客でぎっしり。

しかし、頂上について間もなく救助隊に緊張が走った。

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:
(女性が)足をくじいて歩けんなったということで、その救助に今から。とりあえず先行で、光田部長と小玉さんが多分、背負い搬送で

隊員に「救助要請」。下山中の女性が足を捻挫した状況のようだった。

救助隊に緊張が走る
救助隊に緊張が走る

山岳警備救助隊・光田琢郎巡査部長:
自分の荷物重たいので、第2ベンチのところに置いとくので

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:
持って下りようか

先行隊が女性を救助し、大塚さんらは後発隊として荷物を回収することに。急ぎ足で下山する。

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:
すみません、警察なんですが、けが人が出たので先に行かせていただきます

一刻も早く待っている負傷者の元へ。山を登る時の疲れなどなかったかのようだ。

負傷者の元へ急行する大塚さん
負傷者の元へ急行する大塚さん

山岳警備救助隊・武智雄大巡査部長:
(けが人と)ドッキングですか。まだまだ? 了解了解。分かりました

山岳警備救助隊・武智雄大巡査部長:
右足首捻挫。腫れあり。自力可能。自力歩行可能。本署にも連絡済みとのことです

山岳警備救助隊・武智雄大巡査部長
山岳警備救助隊・武智雄大巡査部長

先発隊からの報告では、けが人の負傷は大事に至ってないという。安堵の瞬間だ。

川瀬駐在所・大塚聡巡査部長:
きょうは無事、何事もなく終わってよかったです

報告を受け安堵する大塚さん
報告を受け安堵する大塚さん

いつ何時も“住民ファースト”。大塚巡査部長は、きょうも山あいで住民の安全のために奮闘している。

(テレビ愛媛)

テレビ愛媛
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