9月に青森県八戸市で目撃された、空飛ぶ「謎の白い球体」。2020年も東北で目撃されていたが気象庁は“正体不明“としていて、さまざまな憶測が飛び交っていた。しかしここで、謎に迫る新たな分析が明らかになった。

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FNN記者のイチオシのネタを集めた「取材部 ネタプレ」。今回は社会部の長坂哲夫記者が「謎の白い球体 その正体が明らかに」を伝える。

2020年に続き…今年も「謎の白い球体」出現

社会部 長坂哲夫記者:
9月3日の早朝、青森県などで空高く浮かぶ白い球体が目撃されました。同じような球体は2020年6月にも宮城県福島県上空に現れ、謎の飛行物体として話題になりました。住田さん、これ覚えてらっしゃいます?

住田裕子弁護士:
覚えていますよ。本当気持ち悪くて、普通だとわかるはずなのに謎なままなので。軍事上のものかって、ちょっと私悪い想像もしてしまいました

社会部 長坂哲夫記者:
憶測が飛び交いましたが、球体について地元で取材するとある注目すべき証言が得られました

地元住民:
ゾンデだよそれ。気象ゾンデ。山歩いていると、これ木の枝によくひっかかかってるんだ。珍しいもんでない

社会部 長坂哲夫記者:
山歩きで木に引っかかっているのを見かけるということなんですが、正式には「ラジオゾンデ」といい、白い気球につるした小さな発泡スチロールの容器の中に、さまざまな測定器やGPSを搭載しまして、無線で送られてくる位置情報から、上空の気温・湿度・風向き・風速・気圧などを調べる気象観測器なんですね。気象庁では国内16カ所と昭和基地も含めて、午前9時と午後9時の2回上空にあげて、地上から高度約30キロまでの大気の状態を観測しています

気象観測機「ラジオゾンデ」
気象観測機「ラジオゾンデ」

社会部 長坂哲夫記者:
打ち上げる時には1.5mぐらいの大きさに膨らまして打ち上げ、これが上空で気圧によって大きく膨れ上がって最終的には破裂する。観測が終わった後はパラシュートでゆっくりと地上に落下してくるんです。どこに落ちるかわからないので、容器には見つけた方用の気象庁の連絡先シールが貼ってありまして「危険物ではありません、見つけた方はこちらに連絡をしてください」と電話番号が書いてあるものなんです

社会部 長坂哲夫記者:
目撃された謎の飛行物体と「ラジオゾンデ」を見比べてみますと、確かに気球の部分は丸くて白くて大きくて、色や形も同じように見えますが…吊るされたものに注目してください。ラジオゾンデは筒型ちょっと縦長ですが、(謎の飛行物体は)十字に見えるというか横長で形が違いますよね

「ラジオゾンデ」を気象台は否定…正体は“ピコ機”!?

社会部 長坂哲夫記者:
目撃された時刻と打ち上げた時刻もずれていますので、地元の気象台も「ラジオゾンデではない」と否定しています。では一体何なのでしょうか?世界の無線事情に詳しい、静岡大学の鈴木康之教授が謎の飛行物体の正体をずばり明かしてくれています

静岡大学工学部 鈴木康之教授:
すばり!気球にアマチュア無線機をぶら下げて飛ばしているイベントに乗じた大人が、よく似た大きなモックアップ(模型)を飛ばしたものである、というふうに考えています。8月3日、アメリカ・アイオワ州のガールスカウトのイベントで打ち上げられたことがわかっています

加藤綾子キャスター:
打ち上げられた…そうなんですね!

社会部 長坂哲夫記者:
鈴木教授は8月にアメリカのイベントで打ち上げられたと言っていましたが、欧米では無線機を積んで飛ばすような科学イベント、気球のイベントがときどき行われています。大きなもの小さなものをあげてると思うんですけれども、子どもは小型の“ピコ機”と呼ばれる小さな気球に太陽光パネルをつけた、15センチくらいの小型の無線機を吊り下げたものを飛ばします

社会部 長坂哲夫記者:
そして、発信電波を追いかけながら上空の風の流れを学習したり、落下後でも電波は飛んでいますので位置情報を元に探して遊ぶようなイベントを行っているのですね。この無線機の形に注目してください。これです!目撃された球体のものとちょっと同じように見えませんか?

加藤綾子キャスター:
見えます!

社会部 長坂哲夫記者:
ただ、ピコ機のバルーンは非常に小さくて直径20センチ程度ですから、日本まで飛んでくることはまず考えられません。謎の飛行物体のバルーンは数メートルあると見られてますので、ぶら下がっているものは無線機と同じ形ですが、電波を飛ばしていません。なので、形を似せて作った模型をぶら下げて同じイベントで一緒に飛ばしたんじゃないかという風に見ているんです

“ノリ”で飛ばしたものが地球一周したか

社会部 長坂哲夫記者:
何のためにそんなことをするかと言いますと、これ…イベントを盛り上げるいわば“ノリ”のような感じで飛ばしたんじゃないかと思ってるんですね。そして、この大型のバルーンが破裂しないで地球を一周するほど飛び続けているんじゃないかという推理なんです

加藤綾子キャスター:
そうなんですね。アメリカから飛んできてたっていう…

社会部 長坂哲夫記者:
もう、40~50日飛んでいる。そして一緒に飛ばした、無線機を飛ばした風船も中にはあって、それからちょっと遅れてこれ(謎の飛行物体)が目撃されたので、大体の場所が分かってるというような状況なんです

住田裕子弁護士:
日本に落ちてくる可能性だってありますよね

社会部 長坂哲夫記者:
あったんですよね。ただ、上空の風の流れに乗っているのでその流れに任せてまだ破裂していなければ飛んでいるということです。鈴木教授は実際にアメリカのイベントで、青森で目撃されたバルーンを飛ばしたとみられるメンバーを特定しまして、メールを投げてました。ただ、連絡が取れなくなっています。ちょっとあまりの騒ぎになって、たぶん国からも連絡が入っている可能性があるんですよ。鈴木教授は政府にも報告してますので、言い出せなくなっちゃってるという気がしております

社会部 長坂哲夫記者:
(謎の飛行物体は)ハワイの上空から西海岸に向かってまだ飛び続けている可能性があるということで…。これはくれぐれもまねしないように。(鈴木教授は)飛行機の運航上に問題が出る恐れがありますので、まねしないようにと呼びかけていました

加藤綾子キャスター:
謎の飛行物体の正体は何なんだってニュースでもたくさん取り上げられていて、そのままになっていたので…ほっとしましたし、すっきりしました。ありがとうございました

(「イット!」9月22日放送より)

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