延長戦にもつれる111-109の激闘

111-109で試合終了を告げるスコアボード。
延長戦にまで及んだ千葉ジェッツとアルバルク東京の歴史に残るような激闘の“証”を多くのファンが写真に納め、会場を後にした。

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最終4Qショーターの“ショータイム”

千葉は69-75と6点ビハインドで迎えた最終第4クォーター、今季新加入のシャノン・ショーター(31)の"ショータイム"に。
相手に流れがいきそうな場面でショーターが得点を重ね点差を縮めると、オフィシャルタイムアウト明けにも得点をあげ、ついに83-83の同点に追いつく。

その後は互いに譲らぬ一進一退の攻防が続き、残り23秒だった。A東京の小島元基(27)にフリースローを1本許し、93-95に。

千葉の最後の攻撃はキャプテン富樫勇樹(27)の3Pシュートを選択し逆転を狙うも、無常にもリングに弾かれる。 

会場はファンのため息に包まれ、敗戦ムードが漂った。

最終4Q残り2.3秒の攻防

しかし、残り2.3秒だった。 
オフェンスリバウンドで再び千葉ボールになると、富樫からのパスを受けたゴール下のギャビン・エドワーズ(33)が「賢くプレーすることが求められる状況だったので、ファウルしないように気を付けた」と土壇場でねじ込み、同点に。
5分間の延長戦(オーバータイム)に突入する。

オーバータイム(延長戦)に突入

オーバータイム、先制は富樫の得点。その後、何度もA東京に追いつかれるものの、リードは許さない。

残り16.1秒。ショーターがファウルでフリースローを獲得する。フリースローの成功率は82%超の精度のショーター。重圧からか1本を外すももう1本は沈め、109-106とリードは3点に。

これで勝負は決まったかに思われたが、諦めないA東京はデション・トーマス(29)が土壇場7.4秒で3Pシュートを決め、またも同点に。

OT残り3.5秒ショーターのフリースロー

それでも残り3.5秒、109-109の同点の場面でショーターがファウルを誘い、フリースローを獲得する。
一度目を閉じ、腕を触り、左胸、右胸を触り、フリースローに臨むショーター。

©B.LEAGUE
©B.LEAGUE

重圧のかかる場面で、「自分のルーティーンに従っていつも通り打った」としっかり2本とも沈めて111-109で試合終了。ショーターが28得点7リバウンドの活躍で千葉が接戦を制した。

ルーティーン・準備の大切さ

「プレーオフまで2週間、勢いをつけなければいけない中でチームで勝ち取った本当にいい勝利だった」と振り返ったショーター。

最後の重圧のかかるフリースローの場面について、「重圧というのは自分はあまり信じていない。ああいう瞬間の準備をしっかりすることを自分は心がけている。いつも体育館を去る時にはフリースローを連続10本決めてから帰るというルーティーンを持っているし、自分のルーティンや準備してきたことを信じて打ったことがチームの勝利に繋がったと思う」とルーティーンの大切さを口にした。

練習©IKEMENKOHO/©CHIBAJETS FUNABASHI
練習©IKEMENKOHO/©CHIBAJETS FUNABASHI

また、「叔父が何年か前に亡くなったので、叔父のことを思って腕を触ってから、母と祖母の名前を胸に入れているので、左胸、右胸を触って天に『入るように願う』。その人たちのことを思っていつもフリースローに臨んでいる」と家族思いのショーター。「プレーオフでもしっかり準備をしていきたい」とチャンピオンシップへ意気込んだ。

「彼らしいプレーができている」

大野篤史ヘッドコーチ(43)も、「ここ数試合、彼らしいプレーができている。『バックコートからペイントエリアにそのままアタックする状況を自分から作らないといいリズムはできないよ』と伝えていて、それができていた。その証拠にファウルをもらう回数も増え、彼のフリースローの点数も増えている。これはチームにとってもいい傾向」とフリースローを獲得するプロセスを称えた。

延長戦で疲れている中、この日も10本連続でフリースローを沈めてからアリーナを後にした練習の虫・ショーター。「いくぜてっぺん」ーー万全の準備とルーティーンでチャンピオンシップに臨む。

千葉ジェッツ 111-109 アルバルク東京
(5月2日・船橋アリーナ)

加藤忍
加藤忍

早稲田大学卒業。フジテレビ入社。スポーツ局すぽると!ロッテ担当、ヤクルト野球中継などを経て現在は報道局兼スポーツ局。