全国では去年、5月から9月までに熱中症で救急搬送された人が初めて10万人を超え、過去最多となった。こうした中で注目されているのが、暑い場所に出る前にあらかじめ体を冷やす「プレクーリング」。福井県内の現場や売り場にも、その変化が表れている。
あらかじめ体の中を冷やしておく
照りつける夏の暑い日差しの中、畑でジャガイモの収穫作業に汗を流す福井市の農家、野路直美さん。
「よいしょ!豊作だ」
最高気温30度を超えたこの日、当然、暑いはずだが―
「胸のあたりは全然なんともない」
こう言って黙々と作業を続ける野路さん。その秘密は、畑に出る前に飲んでいた凍らせて飲むタイプのスポーツ飲料にあった。
暑い場所に出る前に、手でもみほぐしシャーベット状になった冷たい飲料を体に入れておいたのだ。
「体の中から冷えるし、喉の付け根がすごく冷たいから息をするのが楽」だという。
暑くなる前に、あらかじめ体を冷やしておくこの対策は「プレクーリング」と呼ばれ、いま広がりつつある。
厚生労働省なども、職場の熱中症対策として、休憩場所の確保とあわせてプレクーリングを呼びかけている。
特に農作業や建設現場など暑い環境での作業では、効果的とされている。
基本的な対策と組み合わせることで効果が
対策の広がりは、身近な売り場にも表れている。
福井・坂井市内のドラッグストアでは、入り口の近くに凍らせて飲むタイプの飲料が置かれている。
また、暑さが長期化していることを背景に、飲料以外の冷却アイテムも需要が高まっていて、扱う期間も長くなっているという。
熱中症対策は真夏だけのものではなく、より長い期間意識されるものに変わり始めている。
熱中症対策で大切なのは、商品と基本的な対策を組み合わせること。県は、暑さが本格化する前からの対策を呼びかけている。
福井県健康福祉部・谷内乃彩主事は「昨年度は搬送者数が647人と、前年度よりも増加している。また、約6割が高齢者で特に注意が必要」とする。
県によると、高齢者は暑さやのどの渇きを感じにくいため、重症化につながりやすいという。
また「プレクーリングだけでは熱中症対策にはならないので、基本的な熱中症対策と合わせてやってもらえると有効的」と強調する。
水分、塩分を取って休む。そして、暑い場所に出る前に体を冷やす。今年の夏は、早めに、そして長く備える意識がより大切になりそうだ。

