徳島の夏の夜を彩る一大行事、屋外会場での阿波おどりが12日スタートした。
「踊る阿呆に見る阿呆」のお囃子とともに踊り手たちが勇壮かつ華麗な舞いを披露する「阿波おどり」。
15日まで4日間にわたり、徳島市内の複数の屋外会場で行われる。
しかし、今年は阿波おどりの開催にあたり、踊り手たちから「不安の声」が聞かれた。
「観客による撮影マナー」の問題だ。
「怖い」「楽しく踊れない」
踊り手の女性は「色々な人に阿波おどりの魅力を知って欲しいということで撮ってくださってる方もいると思うが、“本来の目的ではない撮り方”によって、その動画が世界に発信されるわけで、すごく怖い」と話す。
“本来の目的ではない撮り方”について聞くと。
踊り手の女性:
お尻のあたりをズームしているような動画でした。
こちらも慎重になったり、楽しく踊れなかったりすると思うので、悲しいです。
阿波おどり400年の歴史で、驚くべき事態…。
臀部や胸など、踊り手の女性の体の一部を一般のカメラマンが撮り続けるなどする動画が、撮影された本人が知らないうちに、ネットに投稿・拡散しているのだ。
約160人の踊り手が所属する「阿呆連」の責任者は、少なくとも数年前からこうした動画の存在をいくつも確認していると言う。
阿呆連 立川真千連長:
体の一部を抜き取るような映像であったりとか、サムネイルにして(投稿している)。
やはり不快感もありながら、(撮影された)その子たちが怖さを感じる動画になっているなという気がしました。
練習にも影響
踊り手や関係者が心配するのは、阿波おどりの本番だけではない。
「阿呆連」の公式SNSに掲載されている練習の様子の動画からは、踊り手同士の動きを合わせ、一同が鍛練を積む様子が伝わる。
一方、あるネットユーザーが投稿し拡散されている練習の映像では、薄着の女性たちを繰り返し追いかけ撮影しているようにも見えるものもある。
こうした状況を受け、踊り手たちは普段の練習でも自らを守る対策をせざるを得ないという。
阿呆連 立川真千連長:
夏なので、あまり長袖長ズボンというわけにはいかないんですが、できるだけ透けない、ボディーラインが出ないような服にしてもらう。
基本的に練習の撮影は、どこの「連」もOKになっていて、それ(練習)を見に来ていただいて楽しんでいただくことも観光資源のひとつ。
撮影禁止にできないジレンマがあるという。
「芸術」と主張する投稿者
踊り手の女性が知らないうちに撮影された“体の一部が強調された動画”の拡散…。
「見る阿呆」ではすまされない現状を、観客たちはどう思っているのか。
東京から来た女性:
衝撃というか、踊りはすごくいいものなので、そういうふうに(性的に)捉えて欲しくないというか、伝統もあるし。
初めて撮影に来た男性:
阿波おどりは1人で踊るイメージがなくて、1人を映すんじゃなくて、みんなで踊っているのを撮っていきたいと思っている。
一部そういう人がいるせいで変に規制がかかっちゃったりとかもあるので、やめてほしいなと率直に思う…見る場所はそこじゃないですよね。

こうした状況に、阿波おどりの実行委員会はホームページを更新し、「一般の個人カメラマン・撮影者へのお願い」として公序良俗に反する発信を控えるなど、撮影マナーの徹底を呼びかけている。
阿波おどり未来へつなぐ実行委員会 庄野浩司 委員長:
実行委員会のほうに(踊り手から)どうにかできませんかと相談がありました。
どんどん(状況は)悪くなっているなと。
実行委員会側は、踊り手が“性的で不快な動画”だと訴える動画の投稿者の1人にコンタクトを取り、投稿をやめるよう直接話をしたという。しかし―。
阿波おどり未来へつなぐ実行委員会 庄野浩司 委員長:
(投稿者は)「あれは芸術だと、そういう感覚で撮ったと、だからひとつも恥ずかしいことはない」と言われまして、そこの線引きがかなり難しいなと感じている。
もちろんSNS等で動画を撮影して発信していただくというのは、大変助かっています。
やっぱりやっている方のモラルですね、モラルを持った撮影をしていただきたい。
3歳からはじめた阿波おどりを20年以上続けているという人も、こう訴える。
踊り手歴20年以上の女性:
綺麗に踊っているからこそ、その人の良さが出ると思うんですけれど、それを再生回数稼ぐためとか、そういうことのために撮られるのは違うかなと思う。
撮って頂けること自体はありがたいですし、素直に阿波おどりを楽しんで欲しい。
(Q.これからも阿波おどりを続けていく?)
そうですね、一生続けたいです。
400年の歴史を汚さぬためにも…阿波おどりの撮影マナーが問われている。
(「イット!」8月12日放送より)

