毎年夏になるたびに社会問題となる熱中症。福井市では現在、図書館や郵便局、スーパーなど130カ所をクーリングシェルターに指定し、市民が気軽に涼める環境づくりを進めている。ただ、制度の認知度はまだ十分とは言えない状況だ。地域と企業と行政が連携しながら取り組む熱中症対策の現状と課題を追った。

熱中症は「対策を知っていれば防ぐことができる」

5月の最終日、福井市内では早くも最高気温が30度を超える真夏日となった。そんな中、市内のショッピングモールで熱中症防止のための啓発イベントが初めて開催された。

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主催したのは福井市、イオンスタイル福井開発、医薬品メーカーの大塚製薬の3者。異なる立場の組織が連携し、熱中症対策について啓発した。

会場では、福井市の職員が熱中症について「重症になると意識障害などが起こり生命に関わる病気だが、対策を知っていれば防ぐことができる病気」と買い物客らに説明した。

会場には、VR(仮想現実)を使った熱中症の疑似体験コーナーも。ヘッドセットを装着した参加者が、重い熱中症になったときの視界の変化をリアルに体感。

熱中症をVRで体験
熱中症をVRで体験

視界がどんどん暗く、狭くなっていき、周りのものがぼやけて見える―そんな体験を通じて、症状の特徴を理解してもらうのが狙いだ。

立ちくらみや筋肉痛…熱中症の前触れかも
立ちくらみや筋肉痛…熱中症の前触れかも

体験した参加者からは「軽症だと、筋肉痛やめまい、立ちくらみがあると言っていたので、気をつけたいと思う」という声が聞かれた。また、小さな子供を持つ参加者は「クーラーを節約してしまうこともあるけど、子供もいるので、すぐ部屋を冷やすよう行動したい」と意識の変化を口にした。

「気軽に活用して」イートインスペースがクーリングシェルターに

イベントではあわせて「クーリングシェルター」の周知活動も行われた。クーリングシェルターとは、外出中に暑さをしのぐために立ち寄れる“涼み処”のことで、2年前から地方自治体が設置場所を指定できるようになった制度だ。

イートインスペースがクーリングシェルターになっている
イートインスペースがクーリングシェルターになっている

イオンスタイル福井開発の店舗内にあるイートインスペースも、その一つとして指定されている。担当者は「誰でもが気軽に休んで欲しい」と呼びかける。

イベントに訪れた人は「子供がまだ小さいので、こもった熱を冷やせるのはありがたい」と制度そのものへの期待感は高い。

認知度の向上が課題
認知度の向上が課題

一方でイオンの担当者は「まだまだお客様に認知されていない部分がある」と認知度の低さを課題として挙げる。

 福井市内130カ所を指定、公共施設も開放

クーリングシェルターは商業施設だけでなく、公共施設にも多く設けられている。福井市の健康管理センターでは1階のスペースをクーリングシェルターとして開放しており、冷房の効いた室内で、健康診査の利用者以外でも平日の午前8時半から午後5時15分まで涼みに来ることができる。

公共施設のロビーなども指定されている
公共施設のロビーなども指定されている

福井市は現在、図書館・郵便局・スーパーなどを合わせて市内130カ所をクーリングシェルターに指定している。西行茂市長は「施設がクーリングシェルターとして位置づけられることは市民にとって非常に安心感があるので、使ってもらいたい」と話す。

アラートが出ていなくても利用可能なスポットも
アラートが出ていなくても利用可能なスポットも

熱中症特別警戒アラートが発令された場合に住民に開放することになっているが、市はアラートが発令されていなくても暑さを感じたらいつでも立ち寄ってほしいと呼びかけている。

市の担当者は「一定の利用があり市民の熱中症予防に役立っている」としながらも、「利用者数や認知度の面では十分と言えない」とする。

福井市は公式LINEやSNSなどで啓発
福井市は公式LINEやSNSなどで啓発

課題となっている認知度向上に向けて市は、公式LINEなどSNSを通じた情報発信にも力を入れている。また、スマートフォンの地図アプリと連携した施設検索機能などもあり、外出先でも手軽に最寄りのクーリングシェルターを探せる。

福井県内にあるクーリングシェルターは650カ所。ただし、休める場所や使い方は施設ごとに異なる場合があるため、いざというときに迷わないよう、近くの施設を自治体のホームページなどで事前に確認しておくことが重要だ。

福井テレビ
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