各地で桜の季節が終わりを迎える中、秋田・仙北市西木町でこれから見頃を迎える桜がある。2025年に記録的豪雨に見舞われた老舗旅館と、その再生を見守るように咲いた桜。女将は、ことしの春に特別な思いを重ねている。
水害に沈んだ老舗旅館
仙北市西木町上桧木内にある、創業約100年の「なか志ま旅館」。
2025年8月、この地域は記録的な大雨に襲われ、近くを流れる桧木内川が氾濫した。
旅館は床上70センチまで浸水し、併設する食事どころには泥が流れ込んだ。
営業再開のめどが立たない中、全国から集まったボランティアの支えにより、3カ月後の11月、ようやく旅館は再開にこぎ着けた。
桜を眺めながら料理をつくる日常
旅館を切り盛りするのは、3代目女将の中島勝子さん(84)。60年以上、この場所で客を迎えてきた。
春の朝、中島さんは採れたばかりの山菜を天ぷらにする。
調理場の窓の先には、淡いピンクの花をつけ始めた桜が見える。
水害で使えなくなった調理器具に代わり、ボランティアが持ち寄った道具が今も活躍している。
「料理を作るのは楽しい。『おいしい』と言ってもらえるのが一番」と中島さんは笑顔を見せる。
「必ず春は来る」と咲く桜
桜は約20年前、旅館のそばに植えられた。毎年、地域の人が集まり、成長を見守ってきた大切な木だ。
豪雨では、周囲に咲いていたヒマワリやアジサイがすべて流された。それでも桜は耐え、2026年も変わらず花を咲かせた。
中島さんは「ことしも咲いた。ことしも春が来た。必ず春は来るから」と静かに桜を見上げた。
桜に負けない、もてなしの心
大雨被害の後、なか志ま旅館が迎える初めての春。
「人と関わる仕事が好き」と言う中島さんは、「桜に負けていられない」と前を向く。
静かに咲く桜とともに、旅館は再び、人を迎える季節を歩み始めている。
(秋田テレビ)
