中古品販売店の店長がSNSで“引退宣言”をしたところ、その動画の再生回数がたちまち130万回を超えた。多くの人を魅了する“元店長”の正体とは?
店長の“引退宣言”動画130万再生
福岡・久留米市にある『ハードオフ久留米国分店』。

店頭には、スマートフォンやカメラなど、たくさんの中古品が並ぶ。その中でも特に人気を集めているのが“訳アリ”のジャンク品だ。

「一部壊れたものだったり、使えるけれどかなり状態が劣化しているものを“ジャンク品”と呼んでいる。正常な中古品と比べるとかなり安く買える。これはいわゆるエアタオル。トイレに行った時にガーって乾かすやつ。僕が店長だった時はなかったが、使う人がいるんですよね、多分。500円で買えますから」と説明してくれたのは、2026年3月までこの店舗で店長を務めていた永田雄介さん(38)だ。

店内に設置されていた録画中の携帯電話。「あ、これですか?私、基本1人でやっていて、私の“ファンクラブ”があって、その写真用として風景を撮っとこうかなみたいな」と永田さんは、サラリと説明した。

ファンクラブ?中古販売店の元店長に、なぜ、ファンクラブが存在するのか?その理由は、YouTubeに投稿された動画にあった。「はい、私この度ですね、『ハードオフ』辞めます。ありがとうございます」。

永田さんが『店長を引退する』と知らせる1本の動画。この動画が4月に配信されると、投稿から僅か1ヵ月で、再生回数が130万回を超える驚きの事態となっているのだ。
閉店後の“ライブ”動画にファン多数
永田さんが店長時代に配信した動画を見ると、ファンクラブまである理由が理解できる。「紅だあ!ライブハウス『ハードオフ』へようこそ!」

そこには、店舗で販売されているジャンク品のエレキギターやドラムなど、あらゆる楽器を使い、迫力満点の音色を1人で奏でる永田さんの姿をあった。

圧倒的な声量のボーカルはもちろん、映像や音声の合成など、編集作業も自分1人で行う“名物店長”として人気を博していたのだ。

得意分野は、80年代から90年代を彩った名曲たち。永田さんは、12年前に入店して以降、300本近くの動画をYouTubeに投稿し、店のチャンネル登録者数は40万人を超えている。

これまでは、閉店後の店内で撮影するなど、空き時間を使って活動していた永田さんだったが、「『いろんな所で歌ってみたい』とか、『イベントに出てみたい』とか、やりたいことがかなり増えてきた。そうなると業務との両立が時間的に難しい」と店長引退を決断した。

特に、「動画だけではなく、ファンに生の声を届ける機会を増やしたい」という思いが強くなったという。

“宝物”は家電買取の際の領収書
永田さんが店長を引退してから初めての本格的なライブが久留米市内で開かれた。ライブハウスの外には、開場前から長い行列。

「永田さんが、どういう風な感情や笑顔が出てくるのかなとか、その表情と歌声を確かめたいと思って」と足を運んだ女性ファン。この女性が、大切に保管している宝物。「『ハードオフ』の永田さんから家電を買い取って頂きました!」と見せてくれのは、永田さんが担当した商品買い取りの『領収書』。
「これが永田さんの本当のサインです!ずっと肌身離さず持っています」と嬉しそうに語った。

別の女性が撮影していたのは、永田さんのアクリルスタンド。

「全部の楽器が演奏できて、動画の中に小ネタを交えることもできるし、ユーモアを持っているいろんなところが好き!」と熱心に永田さんの魅力を語っていた。

アーティストを志し挫折を味わう
開演前の楽屋。「専門学校に1年ぐらい通ったけど、19歳ぐらいで辞めて上京したんですよ。

最初はバンドを組んだり、その後は1人で弾き語りをしてたり…。ずっとやっていて、26歳ぐらいの時に『もう無理かな』みたいな感じで地元に戻ろうと…」と話す永田さん。

かつてアーティストを志し、挫折を味わった。

地元の福岡に帰ってすぐ、馴染みの楽器を取り揃えた『ハードオフ』で働き始めた永田さん。店長を任されるまでになった。

10代の頃に思い描いた未来とは違ったが、再び戻ってきたステージ。

「続けて続けて、予測もしていなかった場所に行けたり、会えるはずもなかった人に会えたりとかあるので、やっぱり1度続けてみる。好きだから続けられているというのもあると思うんですね」と語る永田さん。

中古販売店の名物店長からアーティストとして、ファンと共に新たな道を歩きはじめた。
(テレビ西日本)
