“町の名店の味を探求する”元dancyu編集長の植野広生が営む『植野食堂』。番組開始から6年目でリニューアル。
町の食堂や洋食店の厨房に入り、“ふつうで美味しい”レシピを教わるスタイルはそのままにしながら、今回から新たにゲストを迎え、食の魅力をより深く味わっていく。
初回ゲストは「食べ物の中でうなぎが一番好き」と話す、俳優・八嶋智人さん。リクエストは「うなぎ」と「おつまみ」が楽しめるお店だ。
訪れたのは東高円寺にある、うなぎの名店「小満津」。職人技が光る逸品を堪能しながら、幼少期の思い出や食にまつわるエピソードや八嶋さんの俳優人生にも迫った。
文人たちに愛されたうなぎの名店
2人がやってきたのは東高円寺駅。東京メトロ「東高円寺駅」から徒歩5分の場所にあるのが、八嶋さんが「もしかしたらここかも!?」と思っていた店だ。

テーブル席が2つだけの予約制で、店内は街の喧騒を忘れさせてくれるような落ち着いた雰囲気。焼き台で赤々と燃える炭に向き合うのが3代目店主の前田治雄さん、接客担は女将・恭子さんが務めている。
「小満津」は明治初期に京橋で創業。うなぎの名店として北大路魯山人や谷崎潤一郎など、多くの文人たちに愛されていたが、2代目店主が高齢となり閉店してしまう。
1980年、2代目の孫にあたる治雄さんが祖父の技術と味を受け継ぎ、再びのれんを掲げたのが東高円寺「小満津」だ。
40年以上継ぎ足すたれは、醤油とみりんをじっくり煮詰めている。ふんわりと蒸してから備長炭でじっくり焼き上げるうなぎは、時期によって味がいいものを日本全国から取り寄せている。
宝箱みたいな思い出のうなぎ弁当
うなぎ屋の醍醐味は、酒のさかなとしてちびちびやること。目当ての「うな重」を待っている間に出てきたのが、お通しの盛り合わせ。
トマトを2時間塩に漬け込んだ塩トマトや、ほうれん草のごまよごし、さっぱりとした味わいのもずくと生クラゲの酢の物、そしてほろ苦いうなぎの肝の佃煮。
植野さんからうなぎが好きになったきっかけを聞かれると、八嶋さんはうなぎは「幸せな気持ちになるから」と答えた。

「子どもの頃におばあちゃんがお土産でうなぎ弁当を買ってきてくれた日があって、家族全員ですごく盛り上がったんです。“宝箱を開ける”みたいに、みんなの目が輝いていて。それで僕は幸せな食べ物なんだなって思って。めちゃくちゃ美味しかったという思い出もあって、そこからお祝いの日にはうなぎを食べています」
