注意すべきは、空腹時や喉が渇いた時です。早いピッチで飲んでしまって、結果として飲みすぎてしまいやすい。さらに、空腹だとアルコールの吸収が早いため、変な酔い方をする危険性が非常に高いのです。

外食の際にお酒の摂取量を控えたい場合には、料理の提供に時間のかかる店を避けた方がいいでしょう。そうした店では、料理を待つ間に軽いおつまみだけでお酒をどんどん飲んでしまいがちです。

もしくは、いっそのこと先にファストフードや立ち食いそばでお腹を満たしてから飲みに行くくらいのほうが安全です。お腹がいっぱいになると、実はそこまで飲酒欲求がなかったことに気づくんですよね。

(イメージ)
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また、最初の一杯だけノンアルコールビールに変えてみるという手段もあります。そうすると、その飲み会全体でのトータルの飲酒量を少なくできるはずです。

とはいえ、実際は喉が渇いた時に飲む最初の一杯こそ美味しい、という気持ちもわかります。ただ、そういう人であっても、何杯も続けて飲んでいる場合はどうでしょう。目の前のお酒を本当に美味しいと思いながら飲んでいるのか、怪しいですよね。

コーヒーだって最初の一杯は美味しいけど、仕事をしながら惰性で何杯も飲んでいると、自分が何を飲んでいるのか、わからなくなってくるはずです。きっと、お酒も同じではないでしょうか。

つい飲みすぎてしまうという人こそ、先に紹介した専用のアプリなどで飲酒量を記録する習慣をつけることが有効です。大切なのは、その日のうちに記録できる程度の酒量で済ませること。ぜひ試してみてください。

松本俊彦(まつもと・としひこ)
精神科医。薬物依存症や自傷行為に苦しむ人を対象に診療を行う。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長。

構成=高木さおり

松本俊彦
松本俊彦

精神科医。薬物依存症や自傷行為に苦しむ人を対象に診療を行う。国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部部長。1993年佐賀医科大学卒。横浜市立大学医学部附属病院精神科、国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所司法精神医学研究部、同研究所自殺予防総合対策センターなどを経て、2015年より現職。著書に『自傷行為の理解と援助』(日本評論社 2009)、『自分を傷つけずにはいられない』(講談社 2015)、『もしも「死にたい」と言われたら』(中外医学社 2015)、『薬物依存症』(ちくま新書 2018)、『誰がために医師はいる』(みすず書房 2021、第70回日本エッセイスト・クラブ賞受賞)、『身近な薬物のはなし──タバコ・カフェイン・酒・くすり』(岩波書店)他多数。