「被告の強い嫉妬心で暴行」と認定
東京地裁はまず、暴行に至った経緯について、被告・佐藤さんの「原告にキスを迫られた妻から助けを求められた」との趣旨の説明を退けた。
佐藤さんの妻は、助けを求めた趣旨の陳述書を裁判所に提出しているが、その内容が暴行直後の佐藤夫妻の会話や、当時の警察官面前調書の記載内容などと整合しないと評価。
妻から返信がなかったため、「自分に言えない相手と飲んでいる」と強い嫉妬心を一方的に抱き、居場所を確認して店に向かい、暴行に及んだと認定した。
そして暴行に関しては、原告・山田さん側に落ち度はなく、過失相殺は認められないとした。
元ボクサーの暴行「極めて悪質」
また、被告・佐藤さんが元プロボクサーであることについて、「元プロボクサーである被告が、故意に、一方的かつ執拗に原告に殴る蹴るの強度の暴行を加えた」とし、「暴行の態様は極めて悪質」と評価し、入通院慰謝料は180万円と認定した。
原告・山田さんの外傷による後遺障害については、入院・手術・通院の経過や術後の評価、「眉間部の感覚異常の残存」を重視し、原告の主張通り「12級13号(局部に頑固な神経症状)」に該当すると判断。
これに対応する後遺障害慰謝料は290万円とした。
一方、不安障害やうつ病などの精神疾患に関する原告の主張は、通院開始が暴行があった日から時間を隔てていることや、主治医の診断書が「本人の申立によれば」と記載するなど、医学的連続性を裏づける記録が薄いことなどから、「暴行との相当因果関係があるとまでは認められない」と結論づけた。
そのため、精神疾患を前提とする損害請求は採用されなかった。
治療費や文書料、通院交通費については認定され、休業損害は、2021年12月の受傷直後から療養・複視の影響などに伴う34日分(約40万円)を相当とした。
東京地裁は1月、これらを合算した約719万円を支払うよう、元プロボクサーである被告・佐藤さんに命じた。
