50年近く寄り添い、3人の子供を育て上げた夫婦。妻も夫も70代となった今、病に倒れ意思疎通が難しい状態となった夫には“愛人”がいた…。それを知った妻は、法廷で“愛人”と対峙する。争点は“夫の性交能力”だった。
“愛人”を提訴
田中聡子さん(仮名)は現在70代。同じく70代の夫・隆さんとの間には3人の子供を授かり、間もなく結婚50年を迎えようとしていた。
隆さんは2023年に脳出血を発症。意思疎通が難しい状態になっていた。
そんな夫には、実は愛人がいた。
病に倒れる前に何度も逢瀬を重ねていたのではないか…。聡子さんは調査を進め、相手を特定した。
聡子さんは、2020年頃から4年あまりにわたり不貞行為がなされていたとして、相手の女性である佐藤亜由美さん(仮名)を相手取り、650万円の慰謝料を求めて提訴した。亜由美さんは、40代の女性で、隆さんとは父と娘ほどの年の差があった。
多額の金銭を…
妻・聡子さんの主張はこうだ。
夫の隆さんと亜由美さんは2021年以降、ゴルフ旅行と称して頻繁に旅行に行っていて、ホテルの同室に宿泊していた。
隆さんと亜由美さんは、LINEでその関係を隆さんの家族には知られないように工作していた。亜由美さんは隆さんから毎月多額の金銭を受け取っていて、愛人関係にあった。
また、隆さんは10年ほど前に前立腺がんを患っていることがわかった。
外科手術は受けずに、放射線治療とホルモン治療・光免疫療法を受けた結果、数値が良好になり、通院する事もなくなったという。
そのため、病気が原因で性交が出来ないという事はなかったとして、被告の亜由美さんが夫の隆さんと不貞行為に及んでいたのは明らかだと主張。不貞行為により別居を余儀なくされ、夫婦の共有財産から多額の金銭が亜由美さんに流れたなどとして、精神的な苦痛への慰謝料として650万円を請求した。
愛人ではなく秘書
一方、被告の亜由美さんは2人でホテルに同宿したことは無いと不貞行為を完全否定した。
そもそも亜由美さんは隆さんの秘書業務を行っていて、毎月30万円の支払いを受けていたと主張。その上で、隆さんはがんの治療のために小線源療法やホルモン治療を受けたことや、年齢や飲酒・喫煙の影響などで性交はできなかったとも主張した。
裁判所の判断は?
裁判所は、隆さんの宿泊先に関する証拠を20以上、詳細に検討した。
その結果、2022年8月と9月の宿泊については、隆さんは亜由美さんと2人でホテルの同じ部屋に宿泊したと認定した。
その他の10の証拠についても、2人での利用が確認できるとし、亜由美さんが隆さんのゴルフに同行したのを認めていることと合わせて、隆さんと亜由美さんは同じ部屋に宿泊したと認めるのが相当とした。
