鉄道の魅力を熱くお伝えする野川キャスターの『てつたま』です。
野川さんお願いします。
【野川諭生アナウンサー】
てつたまスタートから4年目。ついに!ついにこの日がやってきました!
鉄道界に名を轟かす、広島市の会社を取材してきました。
【GKデザイン創建広島 コミュニケーションデザイン部 佐藤伸矢シニアディレクター/プラクティカル・アドバイザー唐澤龍児さん/野川アナ】
「さあ、やってまいりました。とある広島市内のビルの一角。こちらが伝説のデザイン会社とのことで…。もちろん、てつたまでお伝えするわけですから、鉄道のデザインを数多く手掛けていると会社ですね。緊張します。本当にすごい会社ですよ。こんにちは」
「こんにちは」
「よろしくお願いいたします。佐藤さん!どうもお久しぶりでございます」
「お久しぶりでございます」
「特急まほろばの際に取材でお世話になりましたデザイナーの佐藤さんと…そして、隣にいらっしゃる方ですけれども?」
「弊社、伝説の…」
「伝説ではありませんが(苦笑)」
「伝説の会社の、伝説のデザイナーさん!」
唐澤さんと佐藤さんは鉄道界に名を轟かせるGKデザイン総研広島のデザイナー。
会社は1988年に東京のデザイン会社、GKデザインとマツダによって設立されました。
これまでにJR西日本の227系・レッドウィングや広島電鉄のグリーンムーバーもデザイン。
さらに、広島高速交通のアストラムラインに至っては、トータルデザインという形で関わる創業後初のビッグプロジェクトだったといいます。
【GKデザイン創建広島 コミュニケーションデザイン部 佐藤伸矢シニアディレクター/プラクティカル・アドバイザー唐澤龍児さん/野川アナ】
「とある一室にご案内いただきまして、アストラムラインのデザインの部分、深く伺っていきます。トータル(デザイン)といった時に、どの辺りから含まれてくるものなんでしょうか?」
「皆さんご存知なのは、車両デザインがそうですね。それから人々を誘導して行くサインのシステムとか」
「看板とかですかね?」
「看板ですね。こっちに行けば、プラットフォームがありますよとか、この駅は○○駅ですよというようなもの。それから会社そのものもちゃんとデザインしていかなきゃいけない。シンボルマークも必要だし、そこに携わる人たちの制服だったりとか。そういったもの全て、デザインなんですけれど、今まではバラバラにデザインされていたので、『この会社はこういう会社ですよ』っていうのはなかなか伝わりづらい。それを『一つのコンセプトで繋げていく』っていうのがトータルデザイン。日本でトータルデザインした鉄道会社はそれまで、ここまでやったケースがなかったんです」
「日本にとって初めてのトータルデザインというところがスタートしたのが、この広島、そしてこのGKデザイン総研広島だったということで。まさに伝説の会社の、伝説たる所以が最初から見えるわけですけどね」
今回、GKデザイン総研広島を取材するにあたって、貴重な資料をゲットしました。
この冊子からアストラムラインをデザインする過程が見えてきます。
【GKデザイン創建広島 コミュニケーションデザイン部 佐藤伸矢シニアディレクター/プラクティカル・アドバイザー唐澤龍児さん/野川アナ】
「とにかく中身がすごいんです、ここです!『第2章・ベーシックエレメントの策定』ということですが、シンボルマーク、いくつあるのかな・・・これだけやっぱり描くんですね」
「いろんな考え方がありますからね」
「形も様々ですし、いろんな願いが込められて作られているんだなという気がします。もう1ページめくりますと、これは検討案ですね。この5案を見ただけでも、全くそれぞれ違いますね」
「そうなんです。会社のマークとかは、その時点でまだなかったのですね。とはいえ地元を走るもの。それから、地元のシンボルでありたいとか、広島とは何なのかということから、マークにそれを落とし込んでいかなきゃいけない。『広島にふさわしいものってなんだろう』という所から、デザインを詰めていきました」
会社の顔となるシンボルマークが決まるまで数多くの案が検討され、最終的に5つに絞られました。
【GKデザイン創建広島 コミュニケーションデザイン部 佐藤伸矢シニアディレクター/プラクティカル・アドバイザー唐澤龍児さん/野川アナ】
「例えば1のマークなんか、斬新だなという気がしたんですけども」
「広島の頭文字がHなんですけれども、これは小文字のhでもあり、大文字のHでもあるんですけれど、それと移動の流れっていうもので、ストライプという要素を入れたりとか。そういったデザイン案ですね2つ目の案はまさに大文字の広島のH。アストラムラインはレールは無いのですけれど、一応、軌道のラインだとか。それから、楕円をモチーフにしたもの、丸をモチーフにしたものって言ったら、乗り物の車輪だとか、人々の輪だとか。それから三角形をモチーフにすると国際平和文化都市として、広島の三つのキーワードがあります、それのシンボルであったりとか。それから4つ目、これですね、16のドット。これは意味としてはヒトの集合だとか、整地に並んでいる状態。公共交通なので、時間に正確だとか、安全だとか確実だとか、そういった意味を持たせて、正方形に並んだ丸っていうものをモチーフにデザインして。当初、これはマークではないのではないか?という意見が出されました。配列された図形ですよね?っていう。でもこれはマークなんです。っていう話から、これは」
最終的に5つの案の中から、あの4×4の〇が並ぶ、『16ドット』がアストラムラインのシンボルマークに決まります。
【野川アナ】
「大事なのはマークもそうですが、やはりカラーですよね。その策定の流れもここに載っています」
アストラムラインのイメージカラー、クロムイエロー。
実はこの色に決まるまで、様々な色が検討されていました。
広島を走るバスや鉄道など公共交通のイメージカラーに加えて、全国の新交通システムの色も調べたといいます。
【GKデザイン創建広島 コミュニケーションデザイン部 佐藤伸矢シニアディレクター/プラクティカル・アドバイザー唐澤龍児さん/野川アナ】
「やっぱりオリジナリティというところは多いに認識をすると?」
「トータルデザインをやっていく上で、独自性がある方がいいのか、みんなが合意を得られる方がいいのか、これは考え方として2種類あると思うんです。こういう色には、こういう意味があります、この色にはこういう意味があります。っていうことを、ちゃんと説明して決めてもらうと」
こうして会社のシンボルマークやイメージカラーなどを絞り込み、最終的に車両や駅、制服などを含めた、2つのトータルデザイン案が広島高速交通に提案されました。
イメージカラーに採用されたクロムイエロー、16ドットのシンボルマークの対案となったのが…
【GKデザイン創建広島 コミュニケーションデザイン部 佐藤伸矢シニアディレクター/プラクティカル・アドバイザー唐澤龍児さん/野川アナ】
「これ!こちらはインパクト大ですね。これが唐澤さん、いわば幻のデザイン案。これは表に出たことは無いのではないですか?」
「美術館で展示されたことはありますが、でもそういう機会でない限りは…」
「テレビでは?」
「初…かも?」
「こちらになっていたら、だいぶイメージが違っただろうという、そんな1枚になっています」
青みがかかった緑でまとめられたもう一つのデザイン案。
シンボルマークも大文字のHのようなデザインになっています。
アストラムラインがもしかしたら、こうなっていたかもしれないもう一つの世界線です。
【GKデザイン創建広島 コミュニケーションデザイン部 佐藤伸矢シニアディレクター/プラクティカル・アドバイザー唐澤龍児さん/野川アナ】
「こうして並べてみると、それぞれの違い面白いですね」
「もう全く違う世界で、できるだけ全容を見せるために、車両も駅も、制服もいろんな要素を入れたら、こういう世界になりますよというものを2つ作りました」
「A案の世界になっていた…そんな世界もちょっと見てみたいような。唐沢さんとしては、どちらの方がよりピンと来ていたんですか?」
「それはもちろんクロムイエロー」
「どのあたりで、唐澤さんとしては、クロムイエローの方がより相応しいと考えられたんですか?」
「背景の中で、鮮やかな色っていうのは、ハッとしますよね。もちろん緑っていうのも、溶け込む色、調和する色で悪くはないのですけれど、期待値としては、やはり風景を変えてもくれるもの…未来を感じるもの?それがこのアストラムラインのデザインの中では求められていたと思うんですよ。なので、もう明らかに黄色の方が。デザイナー側はみんなそう思っていたと思います。ただ、そうは言っても、トータルデザインの策定業務の中で、最終的に了解を得ないといけないので、『これしかありません!』とは絶対できない。こちらも綺麗にまとめて」
「私が『走っていそうだな』と思ったのも当然のことであると思うわけですね。でも今になって思って見ると、やっぱり瀬戸内ですし、太陽に照らされているといいますか、イメージ的にも。またそしてよく晴れた空にクロムイエローの車両は映えますよね」
「ピースマークにしてもそうなんですけれど、やっぱりみんなが共有できる。誰もが黄色=平和って言ったら『あ、なるほど』って言ってくれる色なので。平和都市にふさわしい色だなと思っています」
シンボルマークとイメージカラーに続いて、次回は、車両デザインにまつわるデザイナーの思いをお伝えします。