山形市の東北芸術工科大学で卒業制作展が始まっている。学生生活の学びの集大成となる力作の数々に、訪れた人たちは熱心に見入っていた。
2026年で30回目を迎える東北芸術工科大学の卒業制作展は、学部生・大学院生合わせて595人の学生たちが“学びの集大成”として、個性あふれる作品・研究を発表する場。
中でも一番広い会場となっている体育館には、プロダクトデザイン学科で学ぶ学生たちの力作が並んだ。
木材を使ったからくりで、鳥の羽ばたきを再現した作品。
ほかにも、水中を魚が泳ぐ様子や波のうねりなど、かたい木を一つひとつ組み合わせることで、やわらかい自然界の揺らぎを表現している。
(プロダクトデザイン学科・湊一盛さん)
「小さいころから木工作品や物を作ることに興味があり、からくりにも興味があったので、木工とからくりを組み合わせた作品を作りたいと思った。からくり機構なのでミリ単位のズレがからくりに響いてくる。摩擦だったり間の間隔をしっかり調整するところに苦労した」
次は、AIを活用して作ったオリジナルのデザインを3Dプリンターで立体化した作品。
(プロダクトデザイン学科・鴫原朋花さん)
「例えば、この人は鉛筆とドレスを組み合わせて新しい洋服のデザインを考えたり、誰でも造形物を作れるように取り組んでみた」
プロダクトデザイン学科4年の鴫原朋花さんは、物づくりが苦手な人にも美術を身近に楽しんでもらおうと、「AIを活用した美術教育」を研究のテーマとした。
子どもからお年寄りまで幅広い年代を対象にワークショップを開き、参加者がAIを活用して作り上げたオリジナルの作品を展示した。
(プロダクトデザイン学科・鴫原朋花さん)
「ゼロからイチを生み出すのは苦労するので、そこをAIを活用することで美術のハードルを下げて、より親しみやすく物づくりやデザインに参加してもらえたらいいと思って研究してきた」
春から中学校の美術の教員となる鴫原さんは、今後もAIを活用する方法を研究しながら、生徒たちにデザインの幅や入り口を広げていきたいと話す。
(プロダクトデザイン学科・鴫原朋花さん)
「子どもたちの造形に向き合う純粋な心を育てたり、共に私自身も成長できるような素敵な慕われる先生になりたい」
感性あふれる作品はほかにも…。
(プロダクトデザイン学科・遠藤千里さん)
「祖父母が亡くなってから急に誰もいない空間になってしまったので、この4年間の学びを生かして、また暖かな空間を取り戻したいという思いから制作を始めた」
亡くなった祖父母の家で日常的に見ていた景色や思い出を、障子を使って表現した作品。
制作にあたった遠藤千里さんは障子を介した柔らかな光の透過に着目し、自分の心の中にある情景と時間の移ろいを光と色で写し出した。
(プロダクトデザイン学科・遠藤千里さん)
「思い出をどのように形にするかすごく苦労した。一般の人に観てもらう機会がすごく少なかったので、最後に4年間の集大成としてこの作品を多くの人に観てもらえることは頑張ってよかったと思っている」
学生たちの個性的なアイデアを形にした「卒業制作展」は12日まで開かれている。