長野県上田市にあるふとん店が2026年、創業100年を迎えました。時代によって変わる寝具のニーズに対応しながら、ぬくもりを伝える伝統の技術を守り続けてきました。


■創業100年 上田市の老舗ふとん店

綿でできたお布団。

こちらは、小さな子どものお昼寝用。カラフルでおしゃれな、座布団。

これも、綿100%です。

作っているのは2026年、創業100年を迎えた上田市の「ふとんのたけうち」です。

ふとんのたけうち 3代目・竹内強さん:
「(綿布団の魅力は)一番は再生可能。綿の良さは復元もできるし、(座布団などに)チェンジもできるしというところ」

■伝統技術「綿の打ち直し」とは

店には、今では珍しくなった、綿布団の工場があります。

竹内強さん:
「10年ほどお使いになった敷布団。それをこれから再生したいと思います」

布団を長く使うために行う、「綿の打ち直し」です。

長年使われた綿を専用の台に敷き詰めて機械に入れていきます。

機械の中で綿が細かくちぎられます。

竹内強さん:
「細かく手で裂いたくらいの状態のものが向こうのダクトに通って、上に回っているのがありますよね。風を吹いてこの綿を均等に落とすように仕組まれています」

細かくされた綿が機械を通る中でごみが取り除かれ、再びシート状になって出てきます。

■「打ち直し」でふっくら、ふわふわ

(記者リポート)
「こちらが打ち直す前の敷布団で、こちらが打ち直した後の綿です。触ってみるとこちらは全然弾力がないですが、こちらはふわふわです」

打ち直す前と比べると、3倍ほどの厚さ。

ふっくらと生まれ変わりました。

竹内強さん:
「作られたお客さんが、お渡しするときににっこりされる。やっぱりそれが仕事冥利につきる」


■高度経済成長期は「飛ぶように売れた」

店は大正15(1926)年に竹内袈裟平さんが創業。

当時は、家庭で布団を仕立てるための綿を売る店でした。

寝具の販売を始めたのは2代目の一郎さん。

昭和40年代の高度経済成長期には店は大繁盛だったそうです。

竹内強さん:
「最初のお給料が8000円か1万円くらいの時代、そのころにマットレス1枚が1万円した。それが飛ぶように売れた。今から比べると1軒の家族構成がたくさんおいでになりましたから、寝具を買うにしても最終的には人数分となっていく時代ですから」


■生き残りをかけ事業を多角化

店は規模を広げ、昭和60年にはビルを新築します。

しかし、時代とともに生活様式は変化。

ベッド向けのマットレスや羽毛布団の普及、量販店の増加などで綿の布団が次第に売れなくなりました。

この店でも売り上げは最盛期の10分の1。

かつては毎日稼働していた工場も、今では1週間に1度ほどになっています。

生き残りをかけ事業を多角化。

綿布団の需要が減る中、店が取り組んだのが事業の多角化です。

3代目の強さんは、新たなニーズを開拓しようと、葬儀場や合宿などで使う布団のレンタルや、保育園で使うお昼寝布団の販売を始めました。

竹内強さん:
「布団屋さん一つとってみても、また何軒減ったというのが寝具業界の現状ですから、あり続けるための努力とかアクション、方向性は常にアンテナを高くしてみていかないと」

健康ブームを受けて始めたのは、機能性を高めた靴の販売。

4代目の長男・伸和さんが引き継ぎ、ドイツ製の「コンフォートシューズ」などを販売しています。

4代目・竹内伸和さん:
「その人の状態に合わせて調節ができるので、外反母趾とかうおのめ、たこがある人にも調節がきくような靴になっている。(靴で)昼の健康と、(布団で)夜の健康。うちのフレーズじゃないですけど、『24時間健康ライフ』」

■「敷居が高い」イメージ払拭へ

さらに、伸和さんの妻・和美さんは、入りやすい店にしようと雑貨の販売を始めました。

竹内和美さん:
「(ふとん店は)敷居が高い、行きづらいというご意見があったので、布団と全然関係ないものを置いてみようと始めた」

そして、フローリングの部屋にも合うようなデザインの布団や座布団も売り始め、人気商品になっています。

竹内和美さん:
「どうしてもお布団の布が今までのがちょっとダサいっていうか、もっといい布があればいいなとずっと思っていて。嫁に来て綿入れの技術とか見てすごいなと思うけど、布が今の時代に合ってたらいいのになと」


■原点回帰で次の100年へ

家族それぞれの力を生かし、時代に合わせた柔軟な発想で、店を続けてきました。

そして、変わらず大事にしているのが、綿布団。

天然素材や寝心地の良さで根強いファンがいる上、こたつ布団や座布団などに打ち直して使えることは資源の再利用につながります。

強さんは、綿布団ならではの良さがあるとして、伝統の技術をこれからも守り続けていきたいと考えています。

竹内強さん:
「『たけうちさんのところの寝具は“殿様ぶとん”」と言われるくらい自信をもっておすすめしている寝具なので、次の世代にも受け入れられると思っている。今年でうちも100年を迎えたんですけど、原点回帰で工場を生かしたものづくり、布団づくりは生き残る一つの手だてかな」

長野放送
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