2025年8月、長野市で起きた猫の多頭飼育崩壊のその後です。保護された39匹の最後の1匹が譲渡されました。その縁をつないだのはSNS。そして、保健所で保護したペットの収容が、17年ぶりにゼロになりました。
■多頭飼育崩壊で保護された猫
推定10歳のオス猫「マツ」。
長野市保健所の職員・古田菜子さんの膝の上で甘えます。
長野市保健所 動物愛護センター・古田菜子さん:
「ここが気持ちいいんだよね」
2025年の夏、長野市で起きた猫の多頭飼育崩壊。飼い主だった60代の男性が急な病気で入院し、発覚。
39匹が保健所に収容されました。
「マツ」はその1匹です。
■最後の1匹になった理由
収容直後の譲渡会には160人以上が訪れるなど多くの関心が寄せられました。
1匹、また1匹と譲渡が進み―。
収容から4カ月たった2025年12月、ついに「マツ」だけとなりました。
性格は人懐っこく穏やか。
にもかかわらず、引き取り手がなかったのは―。
収容直後の「マツ」。
毛はゴワゴワ。口には歯石がたまり、ひどい口内炎がありました。
完治が難しい疾患です。
長野市保健所 動物愛護センター・古田菜子さん:
「痛みとかもあったと思うんです。(口から)よだれが出っぱなしというか、こう(口周りが常に)ぬれているような状態」
■SNSで39万回視聴の動画
保護動物の情報発信を担当する古田さん。
治療を受けながらかわいさを取り戻す「マツ」を撮り続けました。
長野市保健所 動物愛護センター・古田菜子さん:
「こういう感じで気ままに。思ったようにいかない時もあるので、気長に。(マツは)これだけ懐っこい子なんで、1匹になっちゃって寂しいよねって」
(長野市保健所 動物愛護センターのX)
「譲渡対象の猫はマツくん1頭のみとなりました。とても人懐っこく甘えん坊です。『ぼくのおむかえ、まだかにゃ〜?』」
2025年暮れ、SNS(X)とユーチューブで発信した13秒の動画。
人から人へとシェアされ広がったとみられ視聴数は39万回近くにのぼりました。
長野市保健所 動物愛護センター・古田菜子さん:
「予想以上の反響をいただいてびっくり。多くの方に関心を寄せていただいて(皆が)広めてくださったのも大きい」
この動画が「マツ」の譲渡につながりました。
■職員たちもメロメロに
強い思い入れは他部署の職員たちも―。
1匹だけで過ごした1カ月半は、昼休みなどに入れ替わり猫舎に立ち寄りました。
ネコ部員:
「人懐っこい猫は他にもいるけど、こういう感じの人懐っこさがたまらない。(保護猫は)来ない方がいいけど、(『マツ』がいなくなったら)どうしたらいいんでしょうね」
■お別れの日、千葉から迎えに
いよいよお別れの日。
「マツ」を迎えに来たのは20代の若い夫婦です。
「にゃーにゃー」
「こわいね、ごめんね」
家があるのは千葉県。
車で片道4時間ほどかかります。
1週間前、直接会って引き取ることを決め、準備を整え2度目の訪問です。
■新しい家族の温かい思い
武子祐也さん:
「(SNS)Xで画像・動画が流れてきて、それを見たときに、先代の猫に似ていた。耳の大きさ、目のまん丸具合とか。直感的に、この子を家で飼えたらなって」
実家で長く暮らした「おチビ」。(2025年7歳で天国へ)
長くピンと立った耳。じっと見つめる丸い瞳。
色は違ってもそっくりでした。
武子祐也さん:
「医療費とかどれくらいかかるか、大変なのは承知の上。それでも迎えたい気持ちがあって。僕らYouTubeとかインスタグラムで猫の動画とか見たりするから、(そこで見るように)一緒に布団に入る、ごはんを一緒に食べるとか、そんな生活がしたい」
武子遥さん:
「一緒に布団で寝たい。抱っこもいっぱいしてあげたい。あと、膝に乗ってほしい。いっぱいかわいがってあげたい」
■17年ぶり、収容犬猫ゼロに
2025年の夏、40匹以上の猫を収容し、ケージで埋め尽くされた猫舎は―。
「マツ」が去り、空になりました。
長野市保健所で犬猫の収容がゼロになるのは、2009年以来17年ぶり。
保護動物への関心や意識が高まる中、多くの力で実現しました。
長野市保健所 動物愛護センター・関口徳之さん:
「一過性かもしれないが、(犬猫が)いなくなったのは、ちゃんと飼育する人が増えていることも一つの要因。これから少しずつ、保健所に犬も猫もいない日が増えてくるようになればいい」
■マツのその後と今後の支援
さて、その後のマツは―。
武子さん:
「家の中をお散歩したりして慣れていってる感じです。ごはんもカリカリをお湯で軟らかくしたら食べてくれました。名前はそのままマツくんでいこうかと思っています」
保健所も―。
(2月3日の投稿)
「現在、長野市保健所に収容している犬猫は0頭です!!新たな犬猫の収容があった場合はホームページやXに掲載しますので、引き続きフォローをお願いいたします」
「マツ」の治療費など、収容した犬猫の管理にはふるさと納税を活用した寄付金が使われていて、市は、引き続き協力を呼びかけています。
また、今は保健所に犬猫はいませんが、ボランティアが保護する猫は多くいます。
2月も休日譲渡会は通常通り開催されます。