水族館の全国人気ランキングで、2年連続1位を獲得した高知の桂浜水族館。一時は閉館の危機に陥ったという施設を復活させたのは、水族館の枠にとらわれない型破りな改革の数々だった。
動物ではなく…“イケメン飼育員”の写真集も
高知を代表する観光地、高知市・桂浜。そこにあるのが、その名も「桂浜水族館」だ。ニュースサイトが行った「全国の水族館人気ランキング」で、大阪の海遊館や沖縄の美ら海水族館を抑え、約50館の中から2年連続1位に輝いた。
人気の秘密は生き物との距離の近さ。カピバラの餌やりや、魚に手をつつかれる感覚がたまらないドクターフィッシュ体験ができる。
愛媛から訪れた人：
愛媛県からです。身近に触れ合える魚が多かったので、特に子どもは喜んだんじゃないかなと思います。結構、ユニークな水族館だなと
桂浜水族館は、1931年に民営の水族館として開館した。四国や九州に生息し「幻の怪魚」と呼ばれる魚、アカメなどが見られると人気で、多いときには年間20万人以上が訪れた。しかしその後、来館者が激減。一時は経営が傾き、閉館の危機に陥った。当時、館長だったおじに、水族館の再建を託されたのが現在の館長・秋澤志名さんだった。
秋澤志名館長：
水族館やから、水族館らしいことをせないかんっていう発想が、あまり好きじゃないんですよね。枠にはまりたくない。
秋澤館長は「私が責任を取るから自由に挑戦してほしい」と型破りな改革を進め、個性豊かな飼育員やスタッフのアイデアを実現させてきた。
川辺世里奈アナウンサー：
例えば、桂浜水族館は写真集を出版しているんです。生き物の写真がたくさん載っているかと思いきや、表紙にも裏面にも“イケメン飼育員”の写真ばかりです
SNS活用し人気の起爆剤に 山里亮太さんもファンを公言
カワウソ担当・ヤブさんの誰にも負けないことは、「スイカをめちゃくちゃキレイに食べる」ことだ。ハロウィーンにはコスプレを披露し、ギャップでファンをとりこにした。
飼育員・ヤブさん：
私の方がかわいいわ！
一方、ムキムキの筋肉を自慢し、アシカをキョトンとさせているのは、ファンクラブの会員が1,000人以上いる飼育員・まるのんさんだ。
まるのんファンクラブ会長：
（まるのんさんを）多い日で2,000枚くらい撮影します。生き物に愛される人、“この人なんだろう？”みたいな
人気の起爆剤となったのが、SNSの活用だった。桂浜水族館のマスコットキャラクター・おとどちゃんのシュールなツイートや、毎日配信している動画が話題となった。お笑いタレントの山里亮太さんもファンを公言していて、桂浜水族館でカピバラとふれあい笑顔に。
桂浜水族館の来館者数は、2014年から徐々に回復していたが、コロナ禍で一時落ち込んだ。しかし、全国的な人気となったことで、2022年はコロナ前よりも増加している。
そんな桂浜水族館にとって追い風となるのが、同じ桂浜公園内にある商業エリアのリニューアルだ。2022年10月に「桂浜 海のテラス」がオープン。カツオや土佐あかうしを使った料理を堪能できるレストランや、種類豊富な土佐酒が買える土産物店ができ、2023年度は年間80万人の来場を見込んでいる。
バックヤード巡りで飼育員の日常を体験
2023年の営業初日。桂浜水族館には開館前から行列ができていた。
秋澤志名館長：
はいどうぞ、楽しんでいってください
福岡から訪れた人：
人気の水族館なので寄ってみました
お客さんが集まっていたのは、新年1発目のスペシャルイベント「新春めっちゃ海獣ツアー」だ。お客さんたちは、普段見ることができないバックヤードを巡ったり、アシカに餌やりをしたりと、飼育員の日常を体験した。
客：
コツメカワウソとか全部担当してるんですか？
飼育員・まるのんさん：
やってます。屋外、全部やってます
客：
全部担当してるんですか！
飼育員・まるのんさん：
お魚以外全部やってます
また、まるのんさんが「めっちゃ海獣ツアーの方、私についてきてください」と歩き出すと、アシカのコエルが一緒についていく場面も。その様子にヤブさんは、「コエル～！ 参加者みたいだね」と話しかけていた。
秋澤志名館長：
うれしいね！（お客さんに）ようけ来てもらわんといかんですしね。楽しい思い出を作ってもらえるのが一番なので。お手伝いさせてもらえたらなと思います
桂浜水族館は2023年、館内の一部をリニューアルし全国の水族館でも珍しい「は虫類コーナー」を作る計画だ。ゴールデンウィークごろまでの完成を目指していて、担当の飼育員は、「は虫類と触れ合えるイベントも開催したい」と話していた。
これからもどんなアイデアでお客さんを楽しませるのか？ 桂浜水族館のユニークな取り組みに注目だ。
（高知さんさんテレビ）
