「食べるをつなぐ、HUBEAT」のコーナー「ごちそうのありか」。ハブイートアンバサダーの彦摩呂さんが石川県の誇る食材を掘り起こし、その魅力や生産者の思いとともに一流の料理人による調理法を紹介する人気企画だ。今回は金沢駅から徒歩5分、金沢市此花町にある「肉匠Jade金澤」から能登の名産品を紹介する。
「山のアワビ」と称される驚きの食材

「今日はなんだか教えていただいてもいいですか」と古賀アナウンサーが店長の北川さんに尋ねると、店長が手にした大きな椎茸が登場した。
「こちら、“のと115”でございます」

「すごい大きい椎茸。なんですかこれは」と彦摩呂さんは驚きの声を上げる。通常の椎茸とは比較にならないほどの大きさと肉厚さを持つ“のと115”。店長の北川さんは「山のアワビと言われる、肉厚で歯ごたえのある、香りも豊かな椎茸」と説明する。

“のと115”は奥能登の原木椎茸の一種で、特に厳選されたものは「のとてまり」としてブランド化されている高級食材だ。
のと115の誕生と地震からの復活

輪島市門前町で約1100本の原木椎茸を育てる農家の多賀忠雄さんは、かつて教師だったが6年前に両親から椎茸栽培を引き継いだ。多賀さんは「昔、自分の親も椎茸栽培してたんです。奥能登は椎茸栽培がすごく盛んで、乾燥椎茸を作って出してたらしいんですけど、それがだんだんと廃れてきて、今の会長さんとか副会長さんがなんとか復活させたいっていうことで、始めたって聞いてます」と語る。

農家の高齢化などにより衰退しかけていた奥能登の原木シイタケの栽培だが、2010年、県などがのと115の中でも直径8センチ以上、肉厚3センチ、巻き込みが1センチ以上、形が良いなど厳しい基準をクリアしたものを「のとてまり」と認定し、ブランド化に成功した。

栽培環境の温度計と適切な条件
実は、のとてまりの元となるのと115の種菌は、全国的に流通している鳥取県で生まれた品種だ。しかし、手間暇をかけ、能登の風土で育まれると大きく肉厚に育つという。多賀さんのハウスでは、乾燥させないように一つ一つ袋をかけ、室温が高くなりすぎないよう、ハウス内の温度や湿度の管理を徹底している。室温は10℃~13℃、湿度は60%以上に保つことで、まるまるとした品質の高いのと115を育つのだという。

こうした農家の努力により、知名度も上昇。かつては約100件の農家がのとてまりを目指し、のと115を育てるようになった。

しかし2年前の能登半島地震で、ハウスが倒壊したり、山道が崩れて原木のある場所まで行けなくなったりと、甚大な被害を受けた。その結果、栽培農家は40件までに激減してしまったのである。

高校生たちの挑戦と快挙
そんな苦境の中、明るい話題も生まれた。授業の一環でのと115を栽培していた穴水高校の生徒たちは、原木や建物に被害を受けながらも、地震から1カ月後にのとてまりを出荷することに成功したのだ。落札額も過去2番目に高い11万円。

高校生は「地震があった中でも一生懸命作ったものなので、しっかり味わって楽しんでくれたらいいなと思います。」と語る。彼らの思いと努力は多くの人に感動を与えた。

さらに今年の初競りでは、6個入りの“のとてまりプレミアム”が30万円という高値で落札された。1個あたりなんと5万円という価格だ。

栽培する人の手間と奥能登の自然が生み出した「山のアワビ」、のと115は少しずつ復活の兆しを見せ始めている。

多賀さんは「ここまでやってきたのをやめるっていうよりも、なんとか維持していければいいなっていうふうに思って、継続してやってます。『こんなの食べたことない』って言って、『また来年も食べたいな』って言ってくれるんで、それを励みにして、頑張ってます」と語る。

のと115の魅力を味わう
生産者の苦労と熱意を知り、実際にのと115を試食する彦摩呂さん。まずは焼きでシンプルに味わった。

「椎茸ジュースがたっぷり。あと香りがすごいね。椎茸の山の香りが、うわー、広がる」と彦摩呂さんは感嘆の声を上げる。

続いて「肉匠Jade金澤」の北川店長が用意したのは「のと115の石焼きチーズビビンバ」。のと115を丸ごと使った贅沢な一品だ。

「山のアワビ。すごいね。肉厚がすごいのと、チーズに合う」と彦摩呂さん。「ご飯がおいしいね。米粒がすごい、粒が独立してすごいおいしいご飯」と絶賛した。

北川店長によれば、このビビンバにはのと115を丸ごと使っているのと、石川県のオリジナルブランド米“ひゃくまん穀”を使用。地元の食材にこだわった一品だ。

他にも“のと115”を使った卵スープや、五郎島金時を使ったスイートポテトサラダなど、様々なメニューが用意されているという。

能登115フェア2026が開催中
この“のと115”を使ったフェアは2026年3月15日まで開催されている。肉匠Jade金澤だけでなく、県内21店舗の飲食店やカフェでのと115を使った創作料理が提供されるという。

カレーやおでんなど様々なアレンジでのと115を楽しめる期間限定のフェア。さらに期間中はフェア対象メニューを食べるとのと115などのプレゼントが当たるキャンペーンも実施中だ。詳しい情報は「のと115フェア2026」で検索すると確認できる。

「生産者の苦労がにじみ出てて、それがまたおいしい味に反映されていて、もうシンプルな椎茸がこんなにもおいしいんだっていうのが分かりました。これはもうブランディングとしてみんなで知って、みんなで食べて幸せになりたいと思います」と彦摩呂さん。

能登半島地震からの復興に向けて歩み続ける能登の食文化。この機会に「山のアワビ」と称される“のと115”を食べて、能登の復興を応援してみてはいかがだろうか。

(石川テレビ)
