「ほかの卵とは全然、違う感じです」と絶賛されるブランド卵。福岡を代表する卵生産者が新たな挑戦を始めた。

1日に約6万個の卵を生産

福岡・鞍手町の『野上養鶏場』。取材班が訪れたこの日、直売所にはオープン10分前にもかかわらず、既に大行列。行列に並んでまで客が求めていたのは“500円で野菜詰め放題”の企画だ。

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野上養鶏場では、毎週金曜の朝に『朝市』と銘打って、県内の市場から仕入れたさまざまな野菜の詰め放題販売を行っている。

朝市も人気の野上養鶏場だが、一番人気はやはり自慢の卵。養鶏場で毎朝、採れたものだけを販売しているブランド卵『味宝卵』だ。

野上養鶏場の卵工場では、1日に約6万個の卵が生産されている。エサや環境を工夫し、さらに生後120日から500日頃までの、若くて元気な親鳥からのみ卵を採取しているという。

さまざまなこだわりが詰まった『味宝卵』。割ってみるとトロリとした濃い黄身にプリッと卵白が盛り上がる。

採れたての新鮮な卵を卵かけご飯で、早速「頂きます!」と記者が一口。

「味が濃厚。黄身の濃厚でまろやかな味わい、醤油が引き立てていてすごくおいしい。味わいがはっきりとした卵です」と記者の頬っぺたも思わず落ちるほど。

建設会社で勤務の経験 異色の経歴

60年以上前から鞍手町で卵を生産する野上養鶏場。1993年に『味宝卵』が世に出て以来、福岡はもちろん、全国の人に愛されている。

4代目として事業を引き継いだ藤井豪さんは、青果店や建設会社で勤務した経験を持つ異色の経歴の持ち主。

その経験を活かし“殻破りな養鶏場”として卵だけでなく、朝市を開催するなどしてきた。そうした取り組みを勧めてきたのには、養鶏場を取り巻く環境の大きな変化にあるのだという。

壊滅的な打撃 鳥インフルエンザ

まずは餌に関わる問題。野上養鶏場が鶏に与えるこだわりのエサだが、その主になるトウモロコシが、近年の円安の影響を受け、海外からの仕入れ値が高騰。4年前の2倍の価格に跳ね上がっていて経営を圧迫しつつある。

そして、養鶏場が抱えるもうひとつリスクが、鳥インフルエンザ。昨シーズンは、全国14道県で発生し、約932万羽が殺処分されている。

「鳥インフルエンザになってしまうと、一度、殺処分して新たに揃うのが1年半くらいかかってしまう。その間は収益の保証も何もないので、かなり厳しい状況に追い込まれる。そして鳥インフルエンザになるリスクがすごく大きくて、新たに養鶏業をしようという若者が少なくなってきている」(『野上養鶏場』藤井豪社長)。

後継者不足にも悩む養鶏業界だが、野上養鶏場では、後継者不足の状況を打破しようと2026年から新たな挑戦を始めた。

独自の低温製法でじっくり焼き上げたプリン

店舗の入り口にかかるお洒落な暖簾。福岡市天神の新天町商店街に1月15日にオープンさせたのは新店舗だ。

「去年の9月にポップアップで1週間だけ新天町でやらせて頂いた経緯がありまして、そこですごい評判になってですね」と話す藤井社長。期間限定で天神に出店した際、1週間で約2500人が来店。大盛況だったという。手応えを感じた藤井さんは、新天町商店街に新たな店を開くことを決意したのだ。

毎朝、採れたての『味宝卵』を販売するだけでなく、旬の野菜や果物も並ぶ。なかでも、新たな店の看板商品が『味宝卵』の卵黄をだけを贅沢に使用し、独自の低温製法でじっくり焼き上げたプリン。鞍手町の直売所では毎月4千個以上売れる完売必至の商品だ。

これまた試食した記者は「溶けていきました!すっごく滑らかで。でも卵のうまみとほんのり優しい甘みが残って、うっとりするプリンです」と舌鼓。

藤井社長は「都心で、うちのこだわった卵で作ったプリンを味わって頂きたいなと思って、一番、目立つところにどんと構えてやっていこう」と意欲を見せる。厳しい状況だからこそ敢えて挑戦し、卵をはじめとする商品を知ってもらえる機会を増やしたいと話す。

「鞍手から出て来て、どれだけお客さんにたくさんアピールできるか。今後もここだけでなく、うちのお店を知って頂ける場所を作っていきたいなと思っています」

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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