東京を拠点に幅広い分野でエンターテインメント事業を展開するSTARBASEのCEO、日高良太郎さん(45)。タレントやアーティストのプロデュース、映像制作、ライブイベントなど多岐にわたる事業を手がける。その活動の根底には、宮崎県延岡市で育ったルーツへの深い思いがある。最前線を走り続ける日高さんの仕事と哲学に迫る。
「楽しい」を価値に変える戦略
「スポーツ選手みたいに、健康管理とかコンディショニングとか、すごく気を付けてますね。クリエイティブな仕事はアイデアが出てこないとだめなんで」と話す、日高良太郎さん(45)。

日高さんは、タレントやアーティストのプロデュースをはじめ、映像やライブイベントの制作など多岐にわたる事業を展開する「STARBASE」のCEOを務めている。

「STARBASE」のコンセプトは「『楽しい』を価値に。ボーダレスに」。エンタメを軸にした企業のブランディングや、自治体の観光再始動事業などにも取り組んでいる。
日高良太郎さん:
エンタメを使って何かをやるということの意義だったり、威力や効果だったりというのは、グローバルマーケットで考えるとすごく大きなもの。人が楽しいものを作って、それが対価になって返ってきて会社として成立するという、すごくシンプル。楽しいことを作って人が集まるみたいな、人とリーチできる、コミュニケーションを取れるというのがエンタメの性質だと思っている。企業との仕事では、企業のファンを作っていくとか、商品のファンを作っていくことをやっている。

音楽やアート、アニメなどの分野を服やグッズに落とし込んだ独自の商品開発販売を行う「YEN TOWN MARKET」も事業の1つだ。
YEN TOWN MARKET 田中康太さん:
レコードのジャケット。基本的に音楽だけを皆さんご存知だけど、それを自分の生活の中で着たりとか、使用したりする形で、「手に取ってほしい」という思いで商品化した。

日高良太郎さん:
デジタル社会になったけど、みんなモノで記憶が欲しいとか、思い出が欲しいみたいなことがあるので、グッズ・モノに落とし込んで人に届けるというのがコンセプト。いろんな人たちがいろんな目的でグッズを作って、人々にリーチしたいとか、販売することに使ってもらえるようなストアになってほしい。グローバルに向けて。
ヒットメーカーとしてのルーツとプロデュース哲学
宮崎県延岡市の高校を卒業した日高さんは、東京の大学に進学するも、すぐに中退。

当時、R&Bやヒップホップなどブラックミュージックにのめり込んでいたこともあり、レコードショップで働くようになった。レコード店のオーナーと一緒に海外へ買い付けに行き、そのまま仕事をすることに。
その後、インディペンデントのレーベルで働き、制作をするようになった。アーティストを見つけてプロデュースしヒットさせる、A&Rという仕事だ。

アーティストプロデュースの本格化と、当時流行り始めたiTunesなどのデジタルプラットフォームへインディーズ音楽を流通させる事業を始めるため、2007年6月、「STARBASE」の親会社でもある「onepeace」を設立。

その後、2017年6月に、総合的にエンタメ事業を担う「STARBASE」を設立した。
日高良太郎さん:
音楽をやりながらファッションをやったり、音楽をやりながらアートをやったりみたいなことが自然とあった。それでいろんな仕事が生まれるようになったので、会社として組織化して、子会社化して、そこにエンタメ事業は全部まとめてという風にしたのが多分8年ぐらい前。
曲作りの現場では
「STARBASE」がプロデュースする新人アーティストの曲作りを行うということで、制作現場を見せてもらった。

代官山の制作現場にいたのは、音楽プロデューサーのMatt CabさんとMATZさんだ。
「STARBASE」の制作スタイルについて、日高さんは「やり方として、セッションで作り上げていくことが多い。企画の根底を知っている僕がみんなにマインドセットしないといけない時もあるし、アーティストの新人の始まりとか、こうやってヒットさせたいとか伝えないといけないときは必ずスタジオに行く」と話す。
Matt CabさんはBTSやKing&Prince、安室奈美恵などの楽曲をプロデュースしており、No.1ヒットを引き出すプロデュース能力が高く評価されている。
音楽プロデューサー Matt Cabさん:
日高社長は自由にさせてくれて、最終的にいいかどうかを教えてくれるから、シンプルにいいやり方だと思う。

MATZさんは、BE:FIRST、SKY-HI、キズナアイなどの楽曲をプロデュース。DJ活動やRemix、CM楽曲制作など幅広く手掛けている。
音楽プロデューサー MATZさん:
自分が北海道札幌市にいた頃に初めて会って、「純粋に音楽がいいね、一緒に東京でやってみようよ」と言ってくれた。東京のお父さんみたいな感じ。
起業して約20年。自分の好きなことを仕事に選び、エンタメ業界を突き進んできた日高さん。
日高良太郎さん:
ロールプレイングゲームみたいなもので、ボスキャラに会って、倒せなかったらレベル上げをして、また挑む。生み出すときは苦しくて、生み出したあとは楽しくて、の繰り返し。好きだから続けてるっていうサイクルだと思う。
韓国俳優 パクソジュンさん
「STARBASE」は、韓国人俳優 パクソジュンさんの日本におけるエージェントも務める。
2024年には、宮崎県の酒造会社が製造するウイスキーをパクソジュンさんが監修し、ウイスキー「26」を販売。その後、「STARBASE」とパクソジュンさんは、共同で宮崎市に新会社「1216」を設立した。

日高さんとパクソジュンさんは共通の知人に紹介してもらい、仲良くなったという。パクソジュンさんが休業後、活動を再開する際に、日本マーケットでサポートしてほしいと本人からの依頼があった。

俳優 パクソジュンさん:
実際に事務所に遊びに行ったり、仕事をする姿を見たり、家族と接しているところを見たりして、本当に心が温かい方だなと思った。時間がたった今も、社長のことが好きです。
故郷延岡への思いと地方創生
多忙を極めるエンタメ業界だが、年末年始はできるだけ地元に帰ることにしているという。日高さんのルーツは、宮崎県延岡市にある。

道沿いに植えられた桜並木。日高さんの祖父が「孫が学校から家までの帰り道に迷わないように」と、学校から家までの間に植えたという。

日高さんは3兄弟の長男として育った。実家は曾祖父の代から商店を経営。その家庭環境から、起業することに抵抗はなかったと話す。
日高良太郎さん:
家族全体が商売だから、商売をするということが物心ついた時からあった。そういう意味ではビジネスをするとか商売をするというのは、生まれた環境でできたのかもしれない。たまたま音楽とかエンタメが好きだったから、それを商売にした。

日高さんの帰省を聞きつけ、幼なじみが駆けつけた。生まれた時から中学生まで一緒だったという。
幼なじみの内田勝行さんは「(日高さんは)頭が切れた。リーダーシップもあったし。でも幼なじみが社長をしているというのは想像がつかない。誇らしい」と話す。

祖父が孫を思って植えた桜の木。今では地域起こしのイベントにも繋がっている。
幼なじみ 今井俊文さん:
桜が綺麗だったので、みんなでお金を募って神楽をしている。本当は各地区で神楽はあるけど、この桜をきっかけに良いイベントができるようになった。良太郎にもだいぶお金を出してもらっている。

日高良太郎さん:
イベントの前になると2人のどっちからか電話がきて、まあまたこの時期が来たな、と。
プライベートビーチのような海
小さい頃によく遊んでいたという海に案内してくれた。

日高さんの母の実家があり、夏休みはいつも来ていたという。
日高良太郎さん:
田舎ならではのプライベートビーチみたいな感じ。都会のエンタメ業界という華やかなところで働いていると自分のルーツがわからなくなるし、忙しくて色んなものに追われる。帰ってきた時は、ほぼ何もしない。こういうところでゆっくりとするだけで、それが多分一番自分にとってリセットになっている。
子どもの頃は、常に何をして遊ぶかを考えていたという日高さん。田舎で育った経験こそ、自分の持ち味としてエンタメ業界に活かせると話す。

日高良太郎さん:
こういう何もない田舎に生まれて育って、今、東京でエンタメを使った最前線のビジネスをしている。この「ふり幅」を大事にしたい。地域創生や新たな産業を作ること。宮崎だけに限らず、九州とか他のエリアでも、良いものと良い組み合わせがあればエンタメを使ったビジネスをやっていきたい。新しいスタンダード、僕らがやっていることが新しい形になっていけばいいと思う。目指しているところは壮大だけど、それに向けて着実にやっていきたい。
(テレビ宮崎)
