新春恒例の宮中行事、「歌会始の儀」が14日皇居・宮殿で行われました。
天皇皇后両陛下や秋篠宮ご夫妻に加え、今回愛子さまの和歌が初めて詠み上げられ、悠仁さまも初めて出席されました。
「明」というお題で詠まれた三十一文字には祈りや触れ合い、「トンボ」への思いなどが込められていました。
お題は「明」陛下が選定
「歌会始の儀」は、陛下が主催される新年恒例の宮中行事です。
陛下が選ばれた今年のお題は「明」で、1万4千首を超える応募から選ばれた10人の歌が古式ゆかしい節回しで詠みあげられました。
今回最年少の新潟市の高校2年生、本間優大さん(17)は恋心を題材とした和歌で入選しました。
『明礬(みやうばん)の再結晶の実験は君への恋を形にしてる』
陛下に招かれて歌を詠む「召人(めしうど)」はアイルランド出身の翻訳家、ピーター・マクミランさん。
外国籍の「召人」は今回が初めてで、両陛下や愛子さま、秋篠宮ご一家など皇族方は歌の調べにじっと耳を傾けられました。
愛子さまはラオスの若者との交流を和歌に
儀式では、両陛下、秋篠宮ご夫妻、そして代表皇族1名の和歌が披露されます。
成年皇族となって以降、毎年和歌を寄せている愛子さまは、今回代表皇族として儀式で初めて歌が詠み上げられ、立ち上がり両陛下に一礼されました。
2025年11月、初めての外国公式訪問としてラオスに滞在中、地元の子ども達が通う中高一貫校で日本語の授業を見学されました。
「コーヒーを2つとショートケーキをひとつ下さい」カフェでの注文の仕方を復唱する生徒達の明るい大きな声が教室に響きます。
「積極的に大きな声で実用的な練習をされていて素晴らしいと思いました」笑顔で授業を見守った後、こう生徒に声をかけられた愛子さま。
自身の中高時代を振り返り、「日本の中学高校の英語の授業であんなにハキハキしゃべらないですよね」と側近に話されていたそうです。日本語を学ぶ生徒達の熱意を和歌に詠まれました。
『日本語を学ぶラオスの子どもらの明るき声は教室に満つ』
愛子さまの初めての外国訪問を支えていた両陛下は、独特の節回しで詠み上げられる愛子さまの和歌を、時折頷きながら穏やかな表情で耳を傾けられていました。
悠仁さま初の和歌は大好きな「マルタンヤンマ」
2025年に成年式を終え、儀式に初めて出席された悠仁さま。
初めて寄せた和歌は、幼い頃から親しんで来られたトンボが題材です。
『薄明かり黄昏とんぼは橋のうへ青くつきりと俊敏に飛ぶ』
ある夏の夕暮れ、赤坂御用地でトンボの観察中に悠仁さまは大好きな「マルタンヤンマ」の姿を目にされました。コバルトブルーの複眼が特徴的で、薄暗い早朝や夕暮れ時に高いところを飛ぶため観察しにくい「マルタンヤンマ」。
悠仁さまは去年(2025年)行われた成年の記者会見で「夏の休日に、お昼過ぎから、林の中や池の周りでトンボを観察していますと、気が付いたら日が暮れてしまっていたということもよくありました」と明かされています。
実は研究者による赤坂御用地でのトンボの調査では見つかっていなかった「マルタンヤンマ」の姿を突き止められたのは悠仁さまでした。
2018年には宮内庁の職員などによる文化祭に、紙粘土などで作った「マルタンヤンマ」を出品されたこともあります。時が経つのも忘れて観察に没頭していたら、思い入れのあるその姿を間近に確認できた喜びがしたためられていました。
皇后さまは手話での交流の喜びを
皇后さまは2025年11月、デフリンピックの水泳競技を観戦した際のメダリストの選手達との手話での交流を詠まれました。
『メダル掛け笑顔明るき選手らに手話で伝へる祝ひのことば』
競技会場では、手話を取り入れた「サインエール」を交えて選手を応援し、試合後にはメダリスト達に「おめでとうございます」「お会いできてうれしいです」と手話で直接思いを伝えられました。
側近によりますと、ご一家は事前にインターネットの動画で手話を学ばれたそうです。
3日前にラオスから帰国した愛子さまも短時間で練習を重ねられました。
「この機会に覚えたほんの片言の手話でも、聴覚に障害のある方々と直接会話できたことに喜びと楽しさを感じました」誕生日に寄せた文書にもこう綴られていた皇后さま。
直接交流し心を通わせたいという思いや、障害の有無にかかわらず、尊重し協力し合う「共生社会」への願いを和歌に込められました。
陛下が「明けの明星」に祈られた新年の平安
儀式では最後に、陛下の歌が披露されました。

『天空にかがやく明星眺めつつ新たなる年の平安祈る』
陛下は毎年、元日の午前5時半から宮中祭祀に臨まれます。
しんしんと冷える賢所の回廊を装束姿で移動中に、夜明け前の冬の夜空にひときわ輝く明けの明星(金星)を見上げ、新たな年の平安を祈られた際の気持ちを詠まれました。
「色々と大変なこともあるかと思いますが、本年が皆さんにとって穏やかで良い年となるよう願っております」
新年一般参賀で集まった人たちを気遣い、こう呼びかけられていた陛下。天体観測がお好きで、上皇さまから贈られた望遠鏡を半世紀愛用されています。
宮中祭祀や折々に眺める夜空に、様々な困難を抱える国民の幸せを祈られている陛下の穏やかなまなざしが和歌から感じられました。
佳子さまはブラジルの子ども達の未来への願い
『ブラジルと日本で会つた子どもらの明るい未来幸せ願ふ』
2025年6月にブラジルを公式訪問し、日系人の移住地を巡って多くの子ども達と交流された佳子さま。世界最大規模の日系社会を持つブラジルは皇室とのゆかりの深い国で、国交樹立130年を記念した節目の訪問を無事に果たされたことは「ご自身の幅を広げられる大切な機会になった」とある側近幹部は振り返っています。

「ブラジルでお会いした方々とブラジルでの出来事は、これからもずっと心に残り続けると思っています」現地でこう振り返られたブラジル訪問への特別な思い。
列の後方にも手を伸ばして握手を交わし、涙ぐむ女子生徒をハグするなど、1人でも多くの子ども達と触れあおうとされていたお姿が浮かび上がるような和歌を詠まれました。
来年のお題は「旅」で、きょうから9月末まで受け付けられます。
