複数の県職員に対するセクハラを認め杉本達治前知事が辞職したことに伴い、福井県知事選が2026年1月8日告示、25日投開票の日程で行われる。この知事選挙、保守分裂の様相を呈している。県議会の最大会派が推す山田賢一前越前市長に対し、福井市議会の保守系会派が別の新人候補を擁立。共産党候補も出馬を表明し、三つどもえの構図となっている。

県政に約40年携わった経験をアピール

トップ不在の県政を救ってほしいと山田賢一氏(67)に白羽の矢を立てたのは、県議会の最大会派である自民党福井県議会だ。12月10日に会派として全会一致で擁立を決定し、同日、直接出馬を要請した。

山田賢一氏
山田賢一氏
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要請を受け、山田氏は12月26日に市長を辞職。県職員や副知事として40年近く県政に携わってきた山田氏は「県の政策に差し迫ったものもいくつかあり、重要なものもある。トップ不在で進捗が難しくなっている状況で、緊急事態を解決するため、これまで行ってきたことが生かせる」と出馬の理由を語った。

また、北陸新幹線の小浜・京都ルートの実現や経済対策、恐竜ブランドのさらなるPRなど、杉本前知事がやり残した課題を引き継ぐ姿勢を示した。

35歳の元外務省職員を市議会保守系会派が擁立

しかし、県議会議員主導で進む候補者擁立に福井市議会の保守系会派などが強く反発。一時は杉本前知事の再出馬も取りざたされたが、最終的に、同市出身で元外務省職員の石田嵩人氏(35)を擁立した。

石田嵩人氏
石田嵩人氏

石田氏は12月26日に会見を開き「この福井県知事選挙は、私のふるさと福井への恩返しのチャンスだと思っております。福井県民としての自信と誇りを持って全身全霊で頑張りたい」と出馬を表明した。

県議会の自民党会派は山田氏を推薦
県議会の自民党会派は山田氏を推薦

山田氏を擁立した自民党県議会は、会派として山田市長に推薦を出し、反対する市議や同調しない県連幹部を牽制。自民党県連に対しては、山田氏側、石田氏側の双方から推薦願いが提出された。自民党本部は県連幹部を呼んで事情を聞いたが、本部としての見解は示さなかったという。

自民党県連は両者ともに推薦出さず

こうした中、県連は12月27日に執行部会を開いて協議をしたが、いずれの候補者にも推薦を出さないことを決めた。

県連会長で参院議員の山崎正昭会長は「両者とも推薦せず、党本部には上申はしないことになった」と述べた。これで、保守分裂のまま知事選を迎えることになる。

自民党は分裂選挙だが、ある出席者は「7対3の割合で山田氏を推す声が多かった」としている。

金元幸枝氏
金元幸枝氏

一方、共産党の金本幸恵氏は街頭演説などを行い、北陸新幹線の建設凍結や原発の稼働停止などを訴えている。

前知事のセクハラ問題に端を欲した福井知事選挙。2026年1月8日告示、25日投開票の日程で行われる。

福井テレビ
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