「放浪の天才画家」山下清の生誕100年を記念した巡回展が、2月14日から長崎県美術館で始まる。長崎会場限定の作品を含む191点でたどる、山下清の回顧展だ。貼絵で表現された山下清の才能に、とにかく圧巻の世界が広がる。

脅威的な記憶力で生み出された貼絵

会場では、山下清の生涯を5つの時代に分け、作品の変遷をたどる。

13日、内覧会が開かれた
13日、内覧会が開かれた
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幼少期の鉛筆画から遺作となった「東海道五十三次」シリーズの一部に至るまで、貼絵だけでなく、油彩、水彩画、ペン画、陶磁器の絵付けなど191点の多彩な作品と、リュックサックや愛蔵品などの多数の資料を見ることができる。

山下清(1922-1971)@Kiyoshi Yamashita/STEPeast 2026
山下清(1922-1971)@Kiyoshi Yamashita/STEPeast 2026

「放浪の天才画家」と称される山下清。波乱に満ちた生涯は映画やテレビドラマにもなったが、実はそこで表現されたイメージとは異なる。旅先でスケッチをすることはなかったのだ。

桜島 1954(昭和29年)貼絵 @Kiyoshi Yamashita/STEPeast 2026
桜島 1954(昭和29年)貼絵 @Kiyoshi Yamashita/STEPeast 2026

山下清は、驚異的な記憶力によって旅先で目にした風景を細部に至るまで思い出すことができた。見た風景をアトリエに戻ってスケッチにおこし、細かくちぎった色紙を貼り重ねて作品を完成させた。貼絵の技法を駆使して生み出される独自の風景画は、釘付けになってしまう。

ちぎり絵との出会いで才能が開花

1922年、浅草に生まれた山下清。

蝶々 1934(昭和9年)貼絵 @Kiyoshi Yamashita/STEPeast 2026
蝶々 1934(昭和9年)貼絵 @Kiyoshi Yamashita/STEPeast 2026

幼少期は虫取りと絵を描くことが楽しみだった。1934年に入園した養護施設「八幡学園」での「ちぎり絵」との出合いが、画家としての才能を花開かせたといわれている。

ともだち 1938(昭和13年)貼絵
ともだち 1938(昭和13年)貼絵

学園で出合った「ちぎり絵」をベースにテクニックを進化させ、独自の「貼絵」の手法を確立させた。のちに学園を飛び出して放浪の旅が始まり、有名な「桜島」や「長岡の花火」といった名作が生み出された。

「長岡の花火」の緻密さ!

山下清の作品は、色紙を幾重にも貼り重ねて作品を完成させる。点で表現する「点描」と、線を表すときには「こより状」にしたものを貼って表現する。

点と線で表現されている
点と線で表現されている

その緻密さは、思わず作品の近くに寄って目を凝らして見入ってしまうほどだ。貼絵の凹凸で光の濃淡ができ、立体的な作品に仕上がっている。「これが貼絵なの?」と思わずにはいられない。

長岡の花火 1950(昭和25年)貼絵 @Kiyoshi Yamashita/STEPeast 2026
長岡の花火 1950(昭和25年)貼絵 @Kiyoshi Yamashita/STEPeast 2026

「長岡の花火」は、放浪中に目にした新潟の花火大会の様子だ。漆黒の夜空に広がる花火と、その場に押し寄せた人々を貼絵で表現している。

見よ!大勢の見物人…
見よ!大勢の見物人…

見物人の細かさに、「いったいここに何人の人が集まっているんだろうか?」と思ってしまう。臨場感たっぷりで、でも温かみがあって、ほっこりしてしまう。

長崎会場だけの特別展示

長崎会場だけの「特別展示」の作品がある。十八親和銀行が所蔵する、長崎を描いた作品だ。

長崎の風景 1963(昭和38年)貼絵 十八親和銀行蔵
長崎の風景 1963(昭和38年)貼絵 十八親和銀行蔵

普段は銀行の社内に展示されいて、外に持ち出されることがないという。この機会にぜひ会場で自分の目で確認してほしい。

“手の感触”を感じる企画展

2022年に生誕100年を迎えて始まった「生誕100年 山下清展」は全国を巡回していて、15カ所目の長崎が最後の開催地となる。

2月14日~4月5日まで開催だ
2月14日~4月5日まで開催だ

昭和の風景がどことなく懐かしさを感じ、デジタルの時代に手の感触を感じる、温かい気持ちになる作品展。

放浪中に使用したリュックサック
放浪中に使用したリュックサック

4月5日(日)まで長崎県美術館で開かれている。

(テレビ長崎)

テレビ長崎
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