感震ブレーカーは地震が発生した瞬間に電気を遮断するため、通電による火災を含む電気火災全般のリスクを減らすことができる。

「ブレーカーを落とすという行動だけでも、地震が発生して混乱している中では忘れてしまうことがあるでしょう。災害時のひと手間を減らし、すぐ逃げられるようにするという意味でも、感震ブレーカーは重要だといえます」

感震ブレーカーの種類

感震ブレーカーには、次の3つのタイプがある。

■コンセントに内蔵されたセンサーで揺れを感知する「コンセントタイプ」

感震ブレーカー普及啓発チラシ(経済産業省)より
感震ブレーカー普及啓発チラシ(経済産業省)より

■バネや重りで物理的に揺れを感知する「簡易タイプ」

感震ブレーカー普及啓発チラシ(経済産業省)より
感震ブレーカー普及啓発チラシ(経済産業省)より

■分電盤に設置する「分電盤タイプ」

感震ブレーカー普及啓発チラシ(経済産業省)より
感震ブレーカー普及啓発チラシ(経済産業省)より

なかでも廣井さんのおすすめは「分電盤タイプ」。

「分電盤に設置するタイプが、もっとも性能が高いといわれています。ただ、数万円ほどしますし、電気工事も必要になるので、タイプはご家庭の事情に合わせて選んでください」

感震ブレーカー普及啓発チラシ(経済産業省)より
感震ブレーカー普及啓発チラシ(経済産業省)より

感震ブレーカーによって地震火災を防ぐことは、自宅を火災から守るだけでなく、地域を守ることにもつながるという。

「地震火災は、消防士の方々も余震や津波に注意しながらの活動となるため、消火が難しく、周囲に燃え広がりやすいといえます。建物が燃えてしまうと、避難所を頼る人も増えますよね。地震火災を防ぐことで周囲の住宅に迷惑をかけることがなくなり、避難所の負担の軽減にもつながるのです。生命や自宅、地域を守るためにも、個々人が火災対策を意識してほしいと思います」

なお自治体によっては感震ブレーカー取り付けの支援を行っているところもある。

内閣府防災情報サイトでは「都道府県・市区町村における感震ブレーカーの支援制度一覧(令和6年度)」を公開しているので、お住まいの地域の情報を確認してみよう。

「家具転対策」は火災対策になる

地震火災対策として、「感震ブレーカー以外にも意識してほしい部分がある」とのこと。

「地震が起きた際の火の始末は難しいと話しましたが、改めて『地震だ! 火を消せ!』を思い出し、火気器具を購入する際は倒れたら自動的に停止するような製品を選びましょう」

(イメージ)
(イメージ)

火災対策においても、家具の転倒防止対策は一定の効果があるそう。

「家具が転倒してケーブルが破断したり、コンロの火がついてしまったりして出火するケースもあります。火災を防ぐためにも、家具を固定しておきましょう」