「浩宮さま」時代、天皇陛下は「末次ファン」伝説

徳光:
1971年の日本シリーズ、王さんがサヨナラで山田久志さんから打ったあの第3戦が。
日本シリーズの時の話っていうのが印象的なんですけども。

徳光:
その次の第4戦で、末次さんが満塁ホームランを放たれて、19打数7安打7打点と、その日本シリーズのMVPは末次さんが獲得されたと。

末次:
あれはね、作戦があったんですよ。
というのは、必ずシリーズの前には、相手のチームというのは見に来るんですよ。

徳光:
偵察に来る。

末次:
10試合ぐらいは。その時僕ね、ことごとくインコース詰まってたんですよ。
それを阪急の人は見てるわけですよ。
これはもう、絶対もうこっち攻めてくるなって分かってたから。
その時にインコース打ち名人の山内さん。いました、山内一弘さん。

[山内一弘(2009年没76歳)1952年毎日(現ロッテ)入団
「シュート打ちの名人」巨人・阪神などで打撃コーチ]

徳光:
山内一弘さん。シュート打ちの名人。

末次:
あの人から習ったんです、インコース打ちを。
1週間でみんな、そのインコース打ち。こっちばっかり投げてもらって。

プレーボールと同時にいきなりインコース攻めてくるわけですよ。
でもこっちの思うつぼですよね。
ことごとく打ち返して、これは僕の作戦勝ちだった。

[足立光弘(85)1959年阪急(現オリックス)入団
山田久志とともに阪急“下手投げ2枚看板”。通算187勝。浮き上がる直球とシンカーが武器。最優秀防御率1回]

徳光:
そういう作戦があったわけですか。
阪急の足立って当時、まったく打てなかったじゃないですか、どの球団の選手も。
その足立からの満塁ホームランというのは、これは末次さんにとりましては、自分をほめたい勲章じゃないですか?

末次:
もちろんそうですよ。一番苦手なタイプですから。

徳光:
足立投手からのホームランを見て、熱烈な末次ファンになったという方はご存知ですか。

末次:
それ知らないですよ。

徳光:
今の天皇陛下。浩宮さま。
これね、スタンドから当時、浩宮さまさんがご覧になっていらっしゃいまして。
学習院での少年野球の時は「背番号38」だった。

末次:
3から38に変わったんですよね。

徳光:
そうですよね。

末次:
それまで3だった。それが38に変わった。それは聞いてます。

徳光:
聞いてますか。

末次:
それはフィルムをもらいました。

徳光:
ああそうですか。
今の陛下、当時の浩宮さまは、おっしゃる通り、もともとミスターのファン、長嶋さんのファンだったそうですが、1970年の日本シリーズ、その時も観戦されていて、第3戦で3塁打を末次さんが放って、そこから末次さんのファンになったと。

[1970年10月31日巨人対ロッテ 日本シリーズ(東京球場)第3戦の7回に末次が3塁打を放った]

徳光:
ホームランではなく3塁打だからだと。
その時に観戦されているということは、ご存知だったんですか?

末次:
はい。

徳光:
その時の活躍と、その後の足立さんからの満塁ホームラン。それでさらにファンになって、ということですけど。皇后雅子さまは確か、学生時代、高田さんのファンだったという。

末次:
ジャイアンツ球場、来てましたよ。

徳光:
そうですか。
なので、今の天皇皇后両陛下は、お二人ともジャイアンツファンで、高田さんファンと末次さんファンという。ONではないということですね。

宿舎での王貞治 「寝相が悪いときほどよく打つ」伝説

徳光:
末次さんはあれですか、合宿の時は。キャンプの時は。

末次:
僕はね、王さんが多かったです。

徳光:
当時は王さんと同室だった。

末次:
最初の宮崎キャンプの時にびっくりしたのは、奥から国松さん、王さん、僕と3人こう並ぶじゃない、寝るじゃないですか、川の字に。
そしたら国松さんが、王さんとの間にこう布団高く積み上げているんですよ。
最初何やってるのかと思ったんですよ。そしたら夜分かりました。寝相が悪くて動くもんで、防波堤にしてるんですよ。防波堤を作って国松さん寝てるんですよ。

徳光:
ゴロンゴロン来るわけですか、王さんが。

末次:
あれがね、王さんのバロメーターにもなってたんですよね。
寝相が悪い時ってよく打つんですよ。
だいたい(布団を)1周するんですよね。で、朝元の位置に戻ってきてる。
寝相悪いときはよく打つんですよ。
調子悪いときはあんまり動かないですよ。
これは見てて、バロメーターになってました。

徳光:
遠征先で吉田さんの部屋に長島さんが突然入ってきて、素振りを始めたことがあるというふうに伺ったんですが。

吉田:
若い時で大部屋なんですよ。まだ。10人くらいの。
その時、長嶋さんが調子が悪い時だったんですよね。でもわれわれはもう寝ようかと。12時過ぎててね、1時ぐらい、12時半ぐらいかな。

吉田:
電気消してちょっとした時にね、タッとね、向こうの方から誰か来るんですよ。それで(その人が)電気ペタッとつけちゃったんですよ。
長嶋さんなんですよ、バスタオル一丁で。
長嶋さんがパーッと来て、みんなの枕、こうやって寝てる真ん中に来てね、バット振ってね。本当に何も言わないんですよ。真剣な顔でね、そこでカッ、カッ、フルスイングするんですよ。
「これだ!」って言ってね、「何だったんだ」って。

徳光:
それはあれですか、バスタオルを巻かずに。バスタオルを取ってほぼ全裸に近い形で。

吉田:
そうです。「これだ、この振りだ」って言ったきり、パッとバスタオル持って、スッて。

徳光:
自分で言葉に出して言ってるわけですか、「これだ」とか。

【後編に続く】
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