柴田・高田の“天敵” 外木場のクセを知っていた伝説

徳光:
この「レジェン堂」という番組でいろんな打者の方が来られまして、必ず名前が出てくるのは、外木場義郎さん(広島)なんですよ。

[外木場義郎(78)1964年広島入団
ノーヒットノーラン3回(うち完全試合1回)のエース。1975年20勝で最多勝。カープ初優勝に導く]

外木場さんを末次さん、すごく打ってるんですね。

[末次 対 外木場義郎(広島)
打数174 安打53 打率.305 本塁打8・三振11]

通算で3割5厘打ってる。外木場さんをこれだけ打ってる人が今まで出てきてないんですよ。

2024年4月30日放送

高田繁:
僕は外木場。

柴田勲:
僕も外木場。大嫌い。
あいつのカーブというのがね。堀内よりもいいんですよ。
どんなカーブって、これ1回ポッといったら、ポンと1回上がるんですよ。

柴田:
それ得意だったのが末次さん。末さん得意だった。

高田:
なんで得意だって言ったら、クセでね。

柴田:
教えてもらってもね。

高田:
いやいや教えてもらってもね。「末さん、僕は外木場はもう全然打てないんだけど、何か(外木場のクセ)あるんですか?」
「いや何もないよ」って。
現役やめてから「あいつね、ここのところで分かるんだよ」
おぉ、勘弁してよってね。なんでその時教えない。

末次:
振りかぶって、このへんからもう。

徳光:
見えるんですか。

末次:
カーブ、真っすぐって何か。

徳光:
それも分かったんですか。

末次:
だからそれをね、みんなに説明するんだけど、ミーティングで。「分かんねえよ」って。

吉田:
でもね、本当のこと、スエさん言ってないんじゃないのかなって。僕らよく言ってたの。
スエさんが人に言っちゃうと、クセを言っちゃうと、外木場が直しちゃいけないから。

徳光:
ジャイアンツの中ではあったんですか?

末次:
俺の説明が下手だったのかな。

徳光:
それから、もう1人ジャイアンツを。ジャイアンツこそ自分の本領を、100%のピッチングをしなければいけないと思って投げてたのが、江夏さんだと思うんですよ。

[江夏豊(77)1966年ドラフト1位
“伝説の左腕”通算206勝193セーブ。「オールスター9連続奪三振」「江夏の21球」]

この江夏さんに対しましても、末次さんはこれまた結構いい打率なんですよ。

[末次 対 江夏豊(阪神)
打数190 安打54 打率.284 本塁打11・三振27]

ただコンコンと合わせてたのかなと思ったら、ホームランも11本打ってるんです。江夏からね。
これはあんまりいないんですよね。

末次:
僕はね、あれですよ。土井(正三)のバットをよく使ってたんですよ。

徳光:
江夏のときは。

末次:
「タイカップ」って言って太いんですよ。

[タイカップ型
グリップエンドに向かって太くなる形状のバット]

徳光:
タイカップモデルなんですか?土井さんの。

末次:
短く持ってって、詰まらないように打ってたのが成功してたんですよ。
だってボール速いですから。

徳光:
速かったですよね。

末次:
それとコントロールが抜群でしたから。

徳光:
やっぱり江夏はコントロールがよかったですね。

末次:
だから王さんが足を上げたときに、(投手は)遠慮して投げるから甘くなっていくんですよね。
ところが江夏は、そこのところに、足を上げたところに投げていくんですよ。もうギリギリのところに、ものの見事に投げていくんです。

吉田:
ただあの当時のピッチャーはみんな、真っすぐとカーブしかないんですよ、球種は。堀内恒夫もそうだし、高橋一三もそうだし、みんな真っすぐとカーブだけなんですけどね。
でもそのあと、球種を1つずつ増やしていってるわけですよ。

吉田:
(投手では)高橋一三が結構印象に残ってますね。同期だしね。

[村山実(1998年没61歳)1959年入団
フォークボールを駆使した「ザトペック投法」で222勝。最多勝2回・最優秀防御率3回・沢村賞3回]

吉田:
彼とフォークボールを覚えた時もね、村山さんに2人で聞きに行ったことがあるんですよ、甲子園で。
で、村山さんが本当に教えてくれたんです。

徳光:
そうですか。

吉田:
俺は人さし指に力入れたらシュートする、中指に力入れて投げると、フォークでもスライダー気味に落ちると。それやってみなさいと。
それを甲子園球場に行った時に教えてくれましたね。