学校に通うことが難しい子供たちにとって、安心して過ごせる「第三の居場所」が求められている。秋田市に新しくオープンした放課後等デイサービスは、全国でも珍しい“eスポーツ”に特化した施設。好きなゲームを入り口に、子供たちが仲間とつながり、学びや社会性を育む場として注目を集めている。
不登校が増え続ける現状

文部科学省によると、2024年度の全国の不登校の小中学生は35万3970人。12年連続で増加し、過去最多を更新した。

秋田県でも2027人と、前年度より80人増加し過去最多。子供の数が減少している中でも、9年連続で増加している。
背景には「無理に通学する必要はない」という意識の広がりがあり、家庭と学校以外の居場所の必要性が高まっている。
好きなことから始まる学び
秋田市広面に10月にオープンした放課後等デイサービス「ホアロハ・ディスカバリーラボ イースト」は、障害や発達特性の診断を受けた小学生から高校生までを対象に受け入れている。
不登校の子供はもちろん、学校で生きづらさを感じている子供たちに遊びや学びの場を提供しているこの施設。平日の午後には子供たちがパソコンに向かい、夢中でeスポーツに取り組む姿が見られる。
施設の代表の三浦義明さんは「学ぶことは好きから始まるのが一番大切」と語り、eスポーツをきっかけに子供たちが得意なものや大好きなものを見つけて伸ばしていけるよう支援している。
子供たちの声と変化
現在、秋田市の小中学生11人が、平日の放課後や休日に施設を利用している。
小学4年生の利用者は「eスポーツと聞いて楽しそうだと思って来た。パソコンのやり方を覚えて楽しい。友達と遊べるのがいい」と話す。
保護者からも「落ち着いてきた」という声が寄せられ、安心できる雰囲気が子供たちの変化につながっているようだ。
週2~3回通う子供も多く、社会性や協調性を育む場として機能している。
これからの時代に必要な居場所
施設には児童指導員や保育士資格を持つスタッフが常駐し、専門的な知識をもとに子供たちを支援している。
今後は習字や家庭菜園など新たな活動も追加予定で、子供たちの興味に寄り添った幅広い体験を提供していく方針だ。
不登校が増え続ける中、子供たちが安心して過ごせる「第三の居場所」として、こうした施設の役割はますます重要になっている。
eスポーツを入り口に、子供たちが自分の「好き」を見つけ、未来へとつなげていく――秋田市で始まった新しい挑戦は、これからの居場所づくりのヒントになりそうだ。
(秋田テレビ)
