丸ごと買い取る「一船買い」
こうした中、限られた資源を有効に活用するスーパーマーケットも出ている。綿半ホールディングス傘下でグループの共同仕入れを担う綿半パートナーズ(長野県飯田市)は鮮魚の仕入れにあたり、契約した漁船が捕った魚を丸ごと買い取る「一船買い」を始めた。
新潟・直江津港で水揚げされた魚は当日昼前に長野市内の店舗に到着。カマスやアマダイとともにウマヅラハギなどの珍しい魚も売り場に並んだ。通常の漁では、規格外の魚や一般に知られていない魚は市場に出せず、廃棄されることが多い。
スーパーマーケット側では仲卸を通さないため、安い価格で魚を購入できる利点もある。漁師としても、水揚げ量などに関係なく、あらかじめ決まった料金で売ることができ、安定した収入の確保につながる。綿半ホールディングスでは一船買いによって規格外の「未利用魚」を減らし、資源保護に努める構えだ。
イトーヨーカ堂では、陸上養殖のサーモンを使った惣菜の販売を始めた。サミットなどが加盟するオール日本スーパーマーケット協会では、エリア単位で養豚業者と契約し、農家の経営を支援するとともに、将来の調達リスクに備えている。
田尻一階調は「バイヤーのこれからの仕事は、いかに商品を安定調達するか。自らが行動し、メーカー・産地・海外とのパイプづくりを行うかが重要になっている」と、自身がアドバイザーを務めるバイヤー塾で参加者にハッパをかけている。
白鳥和生
日本経済新聞社に入社。小売、卸外食、食品メーカー、流通政策などを長く取材し、『日経MJ』『日本経済新聞』のデスクを歴任。日本大学大学院で企業の社会的責任(CSR)を研究し、2020年に博士(総合社会文化)の学位を取得。2024年、流通科学大学商学部経営学科教授に着任
