実際、売り場の部門を超えて関連する商品群を一カ所に並べてみたり、隣に並べたりする「関連販売」や「クロスマーチャンダイジング」の取り組みも多い。
ビールに餃子、ポテトチップスに糖質オフのノンアルコールビール、豆腐の横に麻婆豆腐の素――といった具合で、買い上げ点数をアップさせる狙いだ。
また、生鮮食品や惣菜を第1磁石の主動線上に直線的に配置するのではなく、一部を曲線的にしたりアイランド(島型)にしたりする店舗も増えている。コロナ禍では買い物に行く回数が減り、店内の滞在時間は短くなったが、この傾向はタイパ(タイムパフォーマンス=時間効率)を重視する価値観につながり、その流れは現在も変わっていない。
スーパーマーケット側にとっては顧客が買いやすく、メニューや利用シーンを容易に想起できる売り場づくりが最重要課題だ。
スーパーマーケットは単なる商品販売の場ではなく、消費者心理を熟知した仕掛けの宝庫であり、社会の縮図でもある。埼玉県を地盤とするヤオコーがJR宇都宮駅西口に2023年2月に開店したトナリエ宇都宮店は、生鮮食品と惣菜を連携させた一体型売り場が特徴だ。
入り口からベーカリーと青果、惣菜と生鮮、精肉と来て、第3コーナーに日配と酒類、第4コーナーには冷凍食品を配置している。
JRの乗降客や単身者をターゲットに、日本酒と食事を楽しんでもらうための提案を随所に散りばめたのも特徴的だ。
たとえば惣菜の「寿司屋のおつまみ」や、鮮魚の珍味、刺身の個食盛りを強化したほか、日配ではミモレットや青かびといったナチュラルチーズ、いぶりがっこのチーズやかずのこチーズなど、和風にアレンジしたチーズも扱う。日本酒はワンカップなどの飲みきりサイズを充実させている。
白鳥和生
日本経済新聞社に入社。小売、卸外食、食品メーカー、流通政策などを長く取材し、『日経MJ』『日本経済新聞』のデスクを歴任。日本大学大学院で企業の社会的責任(CSR)を研究し、2020年に博士(総合社会文化)の学位を取得。2024年、流通科学大学商学部経営学科教授に着任
