パラ・パワーリフティングの西崎哲男選手、43歳。

10月3日に行われたパラ・パワーリフティング チャレンジカップ京都に出場した。

この記事の画像(10枚)

その数日前、西崎選手は「今、49キロ級で135.5キロの日本記録を出しているので、それ以上。136キロ、ベストを更新したい」と意気込んでいた。

パワーリフティングは、胸でバーをピタッと止めた後、バランス良く押し上げる競技。3回の試技の中で成功した一番重い記録が採用される。

約8カ月ぶりの試合となった「チャレンジカップ京都」。1回目は130キロ、2回目は134キロ、そして3回目で136キロの日本新記録をマークした。

その支えとなったのが、力強い応援団の存在。西崎選手も「実際、会場にはいませんが、同じ時間に応援してくれているのも感じることができました」と話した。

会場は無観客だったが、試合中には西崎選手が所属する会社、乃村工藝社のメンバーがリモートで声援を送り続けていた。

所属会社も手厚いサポート

普段は、乃村工藝社 大阪事業所で働いている西崎選手。

会社の同僚は「イケメンですし、爽やか。いいとこばっかり言っていますけど」と笑う。そんな仲間に囲まれて仕事と競技の両立をしている。

この企業は社員からの応援だけでなく、サポート体制も充実している。仕事を終えた西崎選手が向かった先は、職場の中にあるトレーニング場。

このトレーニング場は、アスリートの支援を通じ、社員の士気向上を目指すなどの目的から作られたもの。西崎選手は「会社をあげて応援していただいているので、責任も感じている」と気を引き締めた。

そして西崎選手には、もう1人の力強い応援団がいる。9歳になる娘の凜ちゃんの存在は大きい。

2001年の交通事故で障がいを負った西崎選手は、2003年にパラ陸上を始め、パラ陸上の選手として活躍していたが、2011年に凜ちゃんが生まれたことで陸上を引退する。

その後、2013年に東京パラリンピック開催決定をきっかけにパワーリフティングでの復帰を決意した。

「もともと体を鍛えるのは好きだったので、好きなことでパラリンピックを目指そうというのはありました。娘の年齢を考えたときに、自分のお父さんが出ているとイメージが湧くし、思い出に残る」

2019年には東京パラリンピックの出場を目指し、階級を54キロ級から49キロ級に変更。2020年2月には135.5キロの日本記録もマークした。

娘の応援で日本記録を塗り替え!

凜ちゃんは新型コロナウイルスによる自粛期間中、西崎選手の練習パートナーを務めた。

こうした環境が西崎選手の記録を支える原動力となっている。だからこそ、西崎選手はさらなる記録の更新に挑んだ。

パワーリフティングは、日本記録へ挑戦する場合、特別試技として4回目にチャレンジすることができる。

10月3日の大会で136キロの日本記録を出した西崎選手は、特別試技で138キロにも挑戦した。

「頑張れ、頑張れパパ!家で応援しているよ」と凜ちゃんもリモートでエールを送る。

138キロの挑戦で、西崎選手はややぐらつきかけるが、何とか成功。日本記録をさらに塗り替えた。

「4本目は、失敗と見なされても仕方がない精度だと思っている。実際に帰ったら(娘に)同じようなことは言われると思います。最近、ルールも分かってきて、厳しくなっているので」と西崎選手は笑う。

パラ陸上からパワーリフティングへと転向し、一度は現役を引退するも43歳で挑戦し続ける西崎選手。最愛の家族や会社から熱いエールを受けながら、東京パラリンピックを目指す。