東京パラリンピックの代表に内定し、ユーチューバーとしても活躍するパラ卓球の岩渕幸洋(こうよう)選手、25歳(協和キリン)。

この記事の画像(8枚)

両下肢機能障がいのため左足に装具をつけプレーする彼の姿について、リオオリンピックシングルスで日本人史上初のメダルを獲得した水谷隼選手は、「僕も何度か練習風景を見たことがありますが、健常者と遜色がない。“一アスリート”としてやれていることがすごく尊敬する」と話す。

パラ卓球は“弱点”を狙う

パラ卓球はハンディを背負う選手たちが工夫を凝らし、しのぎを削り、相手の弱点を徹底的に突いていく競技。

岩渕選手もパラ卓球について「一見かわいそうだなと思ってしまうプレーもあるかもしれないですけど」と前置きしながら語った。

障がいの種類や程度によって動きが限定されるため、例えば相手が右腕に障がいがある場合、相手の右サイドを徹底的に狙う。

岩渕選手のスタイルは「前陣速攻型」。卓球台との距離を狭め、相手にプレッシャーをかけていくのが最大の強み。

このスタイルについて岩渕選手は「僕は足に障がいがあるので、球を振られるとやっぱり自分のハンディが出てしまう。なるべく卓球台に近づいて動く幅を狭めてプレーをしていく」と、自身のスタイルは弱点を狙われないためでもあるという。

2019年、日本の男子では史上最高の世界ランク2位をマークした。

そんな岩渕選手の東京パラリンピックでの目標は、「金メダル以上。いろいろな人にパラ卓球の良さを伝えるというところを含めて、金メダル以上を目標にしている」と宣言した。

ユーチューバーとしての顔も

そして、岩渕選手はパラ卓球とユーチューバーの二刀流でもある。世界トップ選手のスゴ技など、実際の試合映像を交えてYouTubeで配信している。

先日には、パラスポーツでは例を見ない自らが企画したクラウドファンディングによるイベント「IWABUCHI OPEN」が実現。試合の様子はライブで配信もされた。

自身の名前がついたこのイベントには、岩渕選手の特別な思いが込められている。

「新型コロナウイルスで試合がなくなって、試合ができる場を作れたらいいなと思って」

国内では2019年11月以来、試合が行われていないパラ卓球。パラアスリートに実践の場を作ることに加えてイベントの動画配信など、岩渕選手の強い思いが新たなパラスポーツの形を作った。

「多くの人にパラ卓球のすごさに触れてもらって、もっと前向きになってほしいと思いますし、何かを感じてもらえるんじゃないかと思っています。そうした思いを伝えられたらいいな」

東京の夢舞台で「金メダル以上」を目指す岩渕選手は、これからも前へと進み続ける。

パラ★DO!
パラ★DO!