富山県が寿司でブランディング戦略を推し進める中、「寿司職人お試し就職」制度が新たな担い手確保に成果を上げている。後継者を求める店舗と就職希望者のマッチングを行い、県外からの移住者には旅費や宿泊費を助成する仕組みだ。

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北海道から富山へ - 45歳の新米職人の挑戦

富山駅前の商業施設マルートにある寿司店。60年のキャリアを持つ職人から魚のさばき方を教わるのは、北海道出身の甲斐祐介さん(45)だ。中国の飲食店で働いた経験はあるが、魚の扱いは初心者という。

「とにかくお寿司をやりたくて北海道の田舎から出てきた。寿司を覚えるまで帰るつもりはないので、しっかり覚えて頑張りたい」と意気込む甲斐さん。指導する澤井久長さんは「真面目なので全然年は関係ないと思う」と期待を寄せる。

9人が参加、5人が正社員に

この制度は2024年5月から募集を開始。希望者は最短30日から最長3カ月まで、店を替えながら実際に働き、就職先を検討できる。これまでに9人が参加し、うち5人が正社員として勤務している。

元システムエンジニアや保育士など、前職は様々だ。兵庫県出身の山科亨士さん(38)は「県が募集していて官民一体となって寿司職人を募集していたので安心でき、移住を決めた」と話す。富山市内のマンションで一人暮らしを始め、「人も多くなくて移動しやすく、住みやすい街」と話す。

寿司文化の継承と富山県のブランディング

県知事政策局政策推進室ブランディング推進課の永井奈々子さんは「寿司店の人材不足の課題は多く聞いているので、今後もマッチングの支援をやっていけたら」と話す。

高齢化が進む寿司店の担い手確保につなげ、「寿司といえば、富山県」をより強くアピールする狙いだ。2026年春には民間の寿司職人養成学校も開校予定で、県は連携しながら人材確保・育成に取り組む方針だ。

(富山テレビ放送)

富山テレビ
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