おすすめは「低アミロース品種」

「玄米が苦手」という人におすすめなのは、低アミロース品種です。

お米のでんぷんはアミロースとアミロペクチンで構成され、その割合によって粘りややわらかさが決定づけられているのですが、通常のうるち米に比べてアミロースが低く、もちのようにやわらかく粘りが強いのが低アミロース品種です。

「ミルキークイーン」「ゆめぴりか」「ぴかまる」「縁むすび」「だて正夢」「淡雪こまち」「たきたて」「夢ごこち」などさまざまな品種があり、やわらかくもちもちとした特性があるため、玄米でも比較的食べやすいと感じます。

ミルキークイーンの玄米おむすび
ミルキークイーンの玄米おむすび

低アミロース品種のくくりの中でもアミロースの高低はあり、「たきたて」のようなほぼもち米のような品種もあれば、「夢ごこち」のようなアミロースの低さが中程度の品種もありますので、お好みに合わせて選んでみてはいかがでしょうか。

胚芽がナッツのような食感「カミアカリ」

低アミロース品種以外には、巨大胚芽米「カミアカリ」もおすすめです。

胚芽が通常の3倍ほどある玄米食専用米で、静岡県藤枝市の農家・松下明弘さんがコシヒカリの突然変異から10年かけて生み出した品種です。現在の生産農家は全国で7軒のみ。

玄米食専用米「カミアカリ」
玄米食専用米「カミアカリ」

玄米の胚芽部分がサクサクとしたナッツのような食感で、玄米でも軽やかに食べ進められるため、「玄米が苦手」という人にも食べやすいと感じます。

そのままおかずと一緒に食べるのはもちろん、おむすびや卵かけごはん、とろろごはんなどにもおすすめです。

玄米にはミネラルや食物繊維などが豊富ですが、消化が良くないので小さなお子さまや高齢者にはおすすめできず、胃腸が丈夫な人に向いていると言えるでしょう。胃腸が健康な人であっても白米以上によく噛んで食べることも大切です。

『お米がもっと好きになる。炊き方、食べ方、選び方』(技術評論社)
『お米がもっと好きになる。炊き方、食べ方、選び方』(技術評論社)

柏木智帆(かしわぎ・ちほ)
米・食味鑑定士、ごはんソムリエ、お米ライター。

柏木智帆
柏木智帆

米・食味鑑定士/ごはんソムリエ/お米ライター。大学卒業後、2005年神奈川新聞社に入社、編集局報道部に配属。新聞記者として様々な取材活動を行うなかで、稲作を取り巻く現状や日本文化の根っこである「お米」について興味を持ち始める。農業の経験がない立場で記事を書くことに疑問を抱くようになり、農業の現場に立つ人間になりたいと就農を決意、8年間勤めた新聞社を退職。無農薬・無肥料での稲作に取り組むと同時に、キッチンカーでおむすびの販売やケータリング事業も運営。2014年秋より都内に拠点を移し、お米ライターとして活動を開始。2017年に取材で知り合った米農家の男性と結婚し、福島県へ移住。夫と娘と共に田んぼに触れる生活を送りながら、お米の消費アップをライフワークに、様々なメディアでお米の魅力を伝えている。また、米食を通した食育にも目を向けている。2021年から「おむすび権米衛」のアドバイザーに就任。
著書に『知れば知るほどおもしろいお米のはなし』(三笠書房)、『お米がもっと好きになる。炊き方、食べ方、選び方』(技術評論社)がある。