合図とともに大きな枝や流木、色とりどりの花を選ぶ生徒たち。誰が、最も美しい作品を生み出すのか?『全国高校生花いけバトル』の福岡大会。高校生たちが、僅か5分間に青春をかけた熱く美しい戦いに挑んだ。

喜ぶ姿に泣く姿 その熱い戦い

福岡市の福岡舞鶴高校。『全国高校生花いけバトル』に向けて、この日も華道部の部員たちが本番さながらの練習を行っていた。

この記事の画像(16枚)

福岡大会を目前に控え、練習にも熱が入る。皆、真剣な表情だ。

『花いけバトル』は、2人1組で5分以内に花を生け、その出来栄えを競う競技で、“花の異種格闘技”とも呼ばれている。福岡舞鶴高校華道部は、福岡大会で2年連続優勝チームを輩出している創部35年の名門。今回、3チームが出場する。

そのなかでも特に強い思いで練習に励む2人の生徒がいた。華道部の部長、大野倖和さんと副部長の川村麻琴さんのともに2年生のコンビだ。

「私が、ガッツリ前に出たり、大きなモノや派手なモノが好きだったりするので、それを補ってくれるのが倖和さん」と川村さんが言えば、大野さんも「お花の1本ずつのきれいさや、そのお花の特徴を活かすのが得意です。2人で納得のいくかたちで、楽しく終わるのが大事かなと思っています」と話す。

すかさず川村さんが「私は優勝したいなと思っています」と笑った。

大胆さが魅力の川村さんと繊細な感性を持つ大野さん。2024年は別のペアで、それぞれ出場したが、いずれも予選敗退。その悔しさをバネに半年前から、2人で練習を重ねてきたのだ。

いよいよ最後の仕上げにかかったが…

そして迎えた大会当日。九州の15チームが参加。優勝チームのみが全国へ進める。

福岡舞鶴高校は、大野さんのチーム含め3チームが出場した。

5分という短い時間で、次々と勝敗が決まっていく。いよいよ大野さんと川村さんのチーム『ききょう』の出番だ。

開始直後、川村さんの大胆な動きに会場が沸く。「青コーナーご注目下さい。いくつもの髑木を組み合わせながら造形的な形を作っていきます」(実況アナウンス)。

さらに、さまざまな枝を重ねることで作品に立体感が生まれていく。続いて、大野さんが彩りを添える花を生けていく。「このタイミングで”晒しミツマタ”が登場してまいりました!」(実況アナウンス)。

そしていよいよ最後の仕上げ。青春の集大成だ。大きな枝を飾ろうとしたのだが、そこで無情にもカンカンカンと終了の合図が響いた。タイムアップ。最後の10秒で枝が少しバランスを崩してしまった。

果たして結果は…。

「私たちのチームは5位で、4位までしか準決勝にあがれないので…、5位は予選敗退です」。大野さんは涙に暮れた。4位とは僅か3点差だった。

舞鶴高校の3チーム、全てが敗退し、全国の切符を掴むことはできなかった。

「優勝はできなかったけど、自分がやりたかったこともできたし私は満足。本当に満足です」(川村麻琴さん)。「楽しいことばっかりじゃないし、辛いこともあったけど、今まで頑張ってきて、すごくよかったと思います」(大野倖和さん)。

大会後の表情は、2人とも清々しく、晴れやかだった。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。