イランの最高指導者として新たに選出されたのは、空爆で死亡したハメネイ師の次男、モジタバ師(56)です。これに対し、イランへの攻撃を行っているアメリカとイスラエルは反発を強めています。
新たな最高指導者モジタバ師について、「サン!シャイン」は、長年中東で取材を続けてきた戦場カメラマンの渡部陽一さんに話を聞きました。
戦場カメラマンが語るモジタバ師の“影響力”
戦場カメラマン 渡部陽一氏:
(モジタバ師は)兵士としてイランのために戦ってきた戦士なんですね。

「サン!シャイン」の取材にこう語るのは、長年中東で取材を続けてきた戦場カメラマンの渡部陽一さんです。
イランを何度も訪れているという渡部さんが注目したのは…。

戦場カメラマン 渡部陽一氏:
まず一つは、まさに黒いターバン。黒い布を頭に巻いているのはイスラム教の指導者としての高い高等教育を受けてきている指導者であるということ。国民からのリスペクトや敬意を集められる、宗教面での圧倒的な存在力ですね。
宗教的に国民から尊敬を集めているというモジタバ師。それに加え、戦争に参加した経験が大きな意味を持つといいます。

約4年前、イランの通信社が若き日のモジタバ師について掲載した記事にはこう書かれていました。
「当時、彼の父(ハメネイ師)はイランの大統領でしたが、彼自身は祖国、名誉、そしてイスラムを守るため戦場に赴き、軍服を着て、他の戦士たちと共に戦い、完全武装した (イラクの)サダム政権の軍に立ち向かいました」(イラン タスニム通信より)
若き日のモジタバ師が従軍したとされるのは、1980年代、隣国イラクとの間で、約8年に渡って続いたイラン・イラク戦争です。
戦場カメラマン 渡部陽一氏:
シーア派のための教えを守るために戦っていく兵士たちは、リスペクト・尊敬を集めるんですね。そうした兵士としての実績を持っているモジタバという人物は、まさに“聖なる兵士”という尊敬を集めるんですね。

モジタバ師が最高指導者となることで、この先、イランへの攻撃はどうなっていくのでしょうか?
戦場カメラマン 渡部陽一氏:
(モジタバ師は)国民からの宗教指導者としての存在力、キャリア、そしてイラン革命防衛隊に関わっていくイランの軍事的な一面からの、兵力からのタイプの忠誠。この2つをモジタバ師は持っている。
イスラエルや周辺国に報復攻撃を行っているといわれている精鋭部隊「イラン革命防衛隊」と深いつながりがあるモジタバ師が最高指導者に選出されたことを受け、イラン革命防衛隊は「現最高指導者・モジタバ師の命令に完全に従い命を捧げる覚悟であります」とコメントを発表しました。
トランプ大統領「戦争はほぼ完全に終わった」
日本時間の10日朝、トランプ大統領はCBSインタビューで「戦争はほぼ完全に終わったと思う。イランには海軍も通信部隊も空軍も存在しない」と語ったことが明らかになりました。

マイアミで行われた演説では…。

トランプ大統領:
我々は勝っているが十分ではない。長年の危険を終わらせるため最終的な勝利へ前進する。
これが終わるやいなやより安全な世界となる。これはすぐに終わるだろう。
イランに対し“勝っている” “すぐ終わる”などと言葉を強めていました。さらに、イランとの戦争を「短絡的な遠出」と呼び「我々は悪を排除するためにちょっとした遠出をしたのだ」と延べ、戦争は当初から短期的であるとの考えを繰り返し強調しました。

――トランプ大統領の発言の真意は?
キヤノングローバル戦略研究所 上席研究員 峯村健司氏:
まずは、戦争の影響での原油の高騰を落ち着かせたいという狙いがあると思います。
アメリカの人たちにとって、特にガソリンの価格というのは思いっきり支持率に絡んでくるんです。なので、まずはガソリンの値段を落ち着かせたい。そうしないと、ますます支持率が下がってしまうというところの焦りの裏返しがあると思います。
一方で、これで終わるかというと私は否定的でして、ヘグセス国防長官などは「戦争は始まったばかり」と言っていたりとか、軍は「これから本格的に活動を始める」と言っている。あと、イランが「これからまだ報復は本格化させる」と言っていることを考えると、トランプ氏には一時的なガソリン価格・石油価格を少し落ち着かせたいという狙いがあったのではないかとみています。

放送大学 名誉教授 高橋和夫氏:
トランプさんは本当に戦争やめたいんだったら、もうちょっと公式にやりますよね。記者会見の途中で質問が出たから「勝っているんだよ」というのは、考え抜いた政策の発表ではないように思います。なんとなく戦争を終える、世論の対策はしておきたいという感じは受けましたよね。

――アメリカの立場として、モジタバ師は停戦や終了に向けて協議する相手になり得る?
峯村健司氏:
私は可能性は低いとみています。トランプ氏自体もモジタバ師については「好ましくない」と言っていますし、そもそもアメリカ側の不安としては、アメリカに対立しない指導者が良かったのに、モジタバ師だと、前政権、ハメネイ師と変わらなくなってしましますので、そもそもこの戦争自体が何だったんだという話にもなりかねないので、そこも含めて後継体制への意見が一致していないということを考えると、私は長引くという可能性が高いと思います。
(「サン!シャイン」3月10日放送より)
